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積立投資

国際分散投資⑤~リバランスとモニタリング~


ここまで主に投資初心者の方を対象に国際分散投資についてインデックスファンドを活用する投資方法を紹介してきたが、インデックスファンドは投資初心者から上級者まで幅広く応用できる優れた金融商品であるといえる。

インデックスファンドを活用することにより、投資家自身の運用目的や長期投資方針といった最重要課題にだけ専念すればよく、費用対効果が非常に優れているというのがその最大の理由だ。

このブログを読んでくださっている個人投資家の皆さんは、以下にご紹介するリバランス・モニタリングといったメンテナンス作業を定期的に実施していただくことを強くおすすめしたい。

国際分散投資⑦

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【リバランスとモニタリング】

投資を開始してから一定期間が経過すると、それぞれの商品が別々の値動きをし始め、当初設定したポートフォリオから構成比率が少しずつ変化していく。

このように運用資産の配分比率が、目標とする資産配分から乖離した分を一定の期間ごとに是正していく作業をリバランス(再調整)という。

リバランス1

リバランスは「相対的に高くなったアセットクラスを売り」、これとは逆に「相対的に安くなったアセットクラスを買う」作業となるため、いわゆる逆張り型の運用戦略となる。

上昇局面が続いた商品は実質価値より割高に評価されているため、いずれ価格が下落方向に転じ、
それとは反対に、下落局面が続いた商品は実質価値より割安に評価されているため、いずれ価格が上昇方向に転じることになる。

リバランスを実施する最大の理由は、多くの投資家が陥ってしまいがちな「割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売る」といった、本来とは真逆の行動(最悪の行動)を取ってしまうことを防止することに他ならない。

リバランスを定期的に実施することにより、資産配分が当初の構成比率から誤差が生じた際、比率の大きなものを売却し、比率が低いものを組み入れることにより、理想的な配分比率に修正することが可能となるわけだ。

リバランスの役割

割高になった商品を売る(値上がりして最初の構成比率よりも大きくなったものを減らす)

割安になった商品を買う(値下がりして最初の構成比率よりも小さくなったものを増やす)

複利効果と時間的分散効果」の項目でも説明したが、長期にわたる運用を継続することができれば、ポートフォリオ全体のリターンは、時間の経過とともに平均収益率へと近づいていくことになる。

リバランス②

このような統計的優位性に加え、リバランスを定期的に実施していけば、平均収益率の変動(ブレ幅)は時間の経過とともに非常に高い精度で安定していくことになる。

割安な商品を買い、割高な商品を売る。リバランスは非常にシンプルで地味な作業ではあるが、運用の基本ルールが機械的に実行できることに加え、運用結果の実に
80%もの多大な影響を及ぼすことになるため必ず実施してほしい。

感情的な投資

・注目されている割高な銘柄を買い、結果として高値掴みをしてしまう

・下落相場に耐えられず損切りを実行したところ、再び上昇に転じた

機械的な投資

・運用比率を調整し、割高な銘柄を機械的に処分する(リバランス)

・運用比率を調整し、割安な銘柄を機械的に組み込む(リバランス)

ただし、リバランスは頻繁にやれば良いというわけではない。ポートフォリオの組み換えに伴う売買には、手数料などのコストがかかる点には注意が必要である。

その理由は、わずかな誤差の微調整を繰り返してしまうと、取引コストのほうがかえって高くついてしまう可能性があるからだ(頻繁に銘柄の組み換えを勧めてくる営業マンがいれば手数料稼ぎ以外の何者でもないだろう
...)。

過去データの検証によれば、年
1回程度のリバランスはリターンにプラスの作用をもたらすことがわかっている。運用を始めたばかりの方であれば、始めは3ヶ月ごとに、慣れてきたら半年ごとを目安にご自身の資産構成比率の変化をモニタリングし、初期の投資比率と現時点の構成比が23%程度ずれてきたときに、リバランスを実施すれば十分だろう。

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【インデックス投資のメリット】

最後に資産運用にインデックスを活用するメリットを再度掲載したい。

投資家の多くは目先の利益を追い求めた結果、「感情的に投資をしてしまい、高値掴みをしてしまった」、「高利回りの商品に飛びつき、投資詐欺に遭ってしまった」など、欲望をコントロールできずに資産を目減りさせてしまった方が数多く見受けられる。

しかし、このような投資方法では、資産運用は確実に失敗に終わる。確実に
...。

資産運用の本質高利回りで資産を殖やすこと → ×
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと → 

すでに述べたとおり、資産運用において大切なことは、「資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと」であるといえる。そのためには、「市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続できるかどうか」に全てかかっているといっても過言ではない。

このブログを読んでいる皆さんが市場の誘惑に負けそうになった時、以下に記したインデックス投資の優位性を思い出していただき、長期に渡る資産運用を実現させてほしい。

① 相対的に高いリターンが得られる

長期的に見て、アクティブファンド全体の80%は市場平均に勝てず、どのアクティブファンドがトップ20%なのか事前に見極めることはほとんど不可能となっている。インデックスファンドを保有するだけで投資のプロの80%以上の成績を出すことができる。

② アクティブファンドに比べてコストが低い

インデックスファンドの運用報酬と管理費用は、年率で0.1%程度。一般のアクティブファンドでは12%程度となっている。さらにインデックスファンドは年間を通してポートフォリオの1割程度しか売買されないため、取引回数が少なく、結果として売買手数料が安く抑えられることになる。一方のアクティブファンドでは、毎年ポートフォリオ全体が入れ替わるため取引回数が多くなり、売買手数料が高くなる。また、インデックスファンドは複数銘柄の平均値(ベンチマーク)の取引であるため、値動きが小さく、実現損益も小さいため、結果として課税額も安く抑えられることになる(オープンエンド型=再投資型のバランスファンドを購入すれば、リバランスを自動的に実施してくれるため、利益を確定させるまで課税タイミングを先送りすることが可能となる)。

③ 無駄な労力をかけずに平均点が採れる

インデックスファンドは、あまり運用実績を管理する必要がない。インデックスファンドは無駄な労力をかけずに市場の平均点を取っていく投資方法であるといえる。

④ 相場動向や投資戦略を考える必要がない

インデックスファンドはアクティブファンドのように運用機関を選択する必要がなく、どのファンドを選択してもインデックス指数にほぼ連動するように商品が設計されている。そのため、値動きの異なるインデックス商品を複数保有することで、相場動向や投資戦略を考える必要がなくなる。さらにはインデックスファンド自体が、複数の商品に分散された商品であるため、特定個別銘柄・地域への投資割合も低く、株式であれば倒産リスク、債券(国債・社債)であれば国家破綻リスクや特定の会社の倒産リスクを低く抑えることができる。

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【コラム④:おすすめの証券会社】

国際分散投資を行うにあたり、おすすめの証券会社をご紹介したい。

カブドットコム証券

ひとつは「カブドットコム証券」だ。

現在、株式投資をすでに行っている方であれば短期投資(
Buy & Sell)を行う証券会社と長期投資(Buy & Hold)を行う証券会社は必ず分けていただくことをおすすめしたい。

その理由はアセットアロケーションを行う際に、長期で保有しているポートフォリオ比率の調整が短期のポジションと混同してしまうため、比率計算がとんでもなく大変になるからだ。

したがって、売却益(
キャピタルゲインβ)を確保する証券会社と配当収益(インカムゲイン=α)を確保する証券会社は必ず分けて考えるようにしてほしい。

マネックス証券

もうひとつは、「マネックス証券」だ。

こちらは実際の取引を行ってももちろん
OKだが、「MONEX VISION βという機能を使えば外国株口座の資産分析ができるため、ぜひ活用されることをおすすめしたい(取引しなくても分析機能は使えるのでご安心を笑)。

なお、上記の口座開設をする際には公式サイトから直接申し込むのではなく、ポイントサイトの【
ハピタス】を経由して申し込みをすると自己アフィリエイトでポイントが還元されるので、事前に登録されることをおすすめしたい(ハピタス以外にも自己アフィリエイトはあるが、還元率があまりにも低すぎるのでおすすめできない)。

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以上、長々と5回に渡って国際分散投資についてまとめたが、投資の本体の目的とは世界の経済成長の恩恵を受けながら少しずつ資産を殖やしていくプラスサムのゲームだと思っている。

以前、「集中と分散」でも書いたが、私自身は集中投資に向かない性格のため、分散投資の道を選んだ。

もちろん集中投資と分散投資、どちらにも優位性と欠点がある。

集中投資が得意な方はそもそもこのブログを読んでいないだろうし、集中投資をすればいい。

集中投資が苦手な方はトレードなんぞ止めてしまって、のんびりと分散投資をすればいい。

ご自身のお金を使って投資をされている個人投資家の皆さんを、私は心から尊敬している。

ただ、お金はしょせん手段にすぎず、目的にはなりえない。

お金とは経済の血液であって、誰かで止めてしまってはいけない。

だから皆さんが利益を出すことができたならば、その一部でいいから世界を良くするために使ってほしい。

それでは、また!



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(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)  

国際分散投資③~複利効果と時間的分散効果~


ここまで、リスクを最小化する方法として、「分散」・「積立」・「インデックス」を使った運用方法をご紹介してきたが、こうした運用方法を採用する最大の魅力は、何といっても「時間を味方にできること」にある。

リスクを極力抑えながら運用し、少しずつ資産を殖やしていくためには、「時間」は非常に有効な要素のひとつと成り得る。「複利」という言葉はすでに多くの方がご存知の通り、「
利息が利息を生む」という考え方のことだ。

資産運用は「正の複利効果」を生み出すことが期待できるため、「時間」+「金利」を味方にできる点が大きなメリットとなる。

これとは反対に、「負の複利効果」を生み出す借金は「時間」+「金利」を敵に回すことになってしまう(※資産運用が必ずしも「正の複利効果」を生み出すわけではないので注意のこと)。

*****

【複利効果と時間的分散】

資産運用の方針を考えるに当たり、「時間」という概念は良くも悪くもポートフォリオに多大な影響を及ぼすことになる。なぜなら、年々積み上がっていく運用成績は、時間の経過とともに平均収益率に近づき、収益率が発生する範囲は時間の影響に大きく左右されることになるからだ。

運用期間が長ければ長いほど、保有しているポートフォリオ全体の収益率は平均収益率に近づいていくため、収益率の変動幅が時間の経過とともに安定して行くことになる。さらには、投資家はポートフォリオのリバランス(組み換え作業)を定期的に実施することにより、銘柄の組み合わせを
最適な状態に持って行くことが可能となる。

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もし仮に、運用期間があまりにも短すぎた場合、非常にギャンブル性の高い運用方法となってしまう。
その理由は、運用年数があまりにも短すぎると良くも悪くも偶然の発生確率が上がってしまい、統計的優位性を享受することができなくなってしまうからだ。

その一方、十分な運用期間さえ確保することができれば、突然の暴落などに見舞われても、大きな不安を感じることなく運用を継続することが可能になるというわけだ。

*****

【積立てによる複利効果】

例として、元本ゼロで毎月
10,000円ずつ積み立てを行った場合、期間・利回り別の残高は以下のとおりとなる。

利回り期間
5年10年15年20年30年
元本(利回りゼロ)600,0001,200,0001,800,0002,400,0003,600,000
3%647,0001,397,0002,267,0003,276,0005,801,000
5%680,0001,549,0002,659,0004,074,0008,186,000

上図の「元本(利回りゼロ))」の数値は積み立てた元本額を示し、3%5%の利回りで運用した場合の期待収益率を示している。投資期間が長くなればなるほど、複利効果により、時間の経過とともに、資産が加速度的に増加していくことがおわかりいただけると思う。

なお、上図では
1年や2年といった短期間の利回りを掲載していないが、①「短期では複利効果の恩恵をほとんど享受できないため、資産の増加が期待できないこと」、②「どのような投資対象も短期的には価格変動リスクが大きく、期待収益率が安定しないこと」がその理由として挙げられる。

資産運用が全くの初心者の方であれば、年次リターンとしては年率
3%程度、多くても5%程度を目標にするのが理想的といえる。7%10%など、あまりにも高すぎる目標リターンを設定してしまうと、それだけリスクも高まり、変動幅(ボラティリティリスク)が大きくなりすぎてしまうためだ(※金融機関のトレーダーのパフォーマンスは、一般的に年利12%程度が契約更新の最低の目安とされている)。

こうして考えてみれば、年利
10%20%のリターン設定など、もはや論外だということがおわかりいただけると思う。著名な個人投資家であるウォーレン・バフェット氏でさえも年利22%程度なのだ。しかし、そのリターンを何十年も継続できているからこそ、彼は天才と呼ばれ、称賛されているのだから。逆に言えば、年利20%程度で運用し続ける投資家がたくさんいれば彼は凡人ということになり、これだけ称賛されることはなかったに違いない。それだけ、長期間に渡って利益を出し続けて行くというのは本当に難しいことなのだ。

投資を長く継続し、少しずつ超過リターンを確保していくためには、リスクを極力抑える運用方針を採用すべきだと考える。すでに述べたとおり、リターンの源泉がリスク(変動)である以上、高すぎる目標リターンを設定してしまうと、リスクも同様に上がってしまうからだ。

また、これとは逆に、
10年や20年と長期にわたって運用を継続することができれば、暴落などの急激な相場変動に見舞われたとしても、一定のリターンの確保が期待できるようになる。その理由は、資産を値動きが異なる複数の商品に分散して保有することにより、平均収益率が安定し、期待収益率に近づいていくためである[※1]。

図2

[※
1] 過去の暴落相場を検証してみると、ポートフォリオ全体は一時的に最大で「40%もの損失を被ることがわかっている。しかし、たとえば含み損が20%発生した場合、年利5%の配当益を確保していけば、この損失は4年で取り戻すことが可能となる。皆さんも投資信託のパンフレットに右肩上がりのグラフが掲載されているのを見たことがあるかもしれない。このグラフが右肩上がりになる理由は、配当益を再投資して積み上げていくため、ほとんどのパンフレットは右肩上がりになってしまうのだ。これは長期投資の複利効果が表れていることを示す一方で、アクティブファンドの運用成績が実はあまり大したことがないことを私たちに教えてくれる(これは完全なるデータのトリックである)。

*****

【残された時間はあと何年?】

ここでは、正の複利効果の例として「
毎月少額でも積立投資を行った場合」と「元本を貯金してから一括で投資した場合」を比較して検証してみたい。

グラフ1

上記は「元本ゼロで毎月
5万円ずつ年利5%25年間積み立て投資を行った場合」をグラフで示したものだ。時間の経過とともに複利効果が表れ、右肩上がりで運用額が積み上がっていく様子がお分かりいただけると思う。

これに対し、以下は「元本
1,000万円を貯金してから一括運用を開始した場合」をグラフで示したものだ。最大の致命点は1,000万円を貯めるまでに168ヶ月もかかってしまうため、複利効果の恩恵を十分に享受できず、元本をコツコツと積み立てて行った場合に比べて、資産の増加スピードが後半になってようやく加速し始めていく様子がお分かりいただけると思う。

るで「ウサギとカメ」の童話そのものだが、残念ながらウサギは複利の恩恵を受けるカメには絶対に敵わないのだ。

グラフ2

このように、積立投資は非常にシンプルな投資方法であるものの、毎月少額でも継続して投資し続けることのほうが、複利効果により一括で投資するよりも資産の増加スピードが加速していくことがおわかりいただけるかと思う。

たとえば、
65歳以後の老後のための資金を確保するためには、30歳の方であれば35年間、40歳の方であれば25年間もの時間的余裕があることになる。ゆえに、若ければ若いほど「時間」を味方にできるために、「資産運用は少しでも早いうちに始めた方が有利」となる。

その一方、
65歳での引退後の生活資金確保を運用の最終目標にした場合、50歳の方は15年間、60歳の方なら5年しか時間が残っていないため、時間的分散効果を享受できない点はデメリットでもある。

もっとも、
50代、60代の方々の中には、すでにある程度の金融資産をお持ちの方も多いと思うので、資産形成期とは異なり、資産を減らさない、守るという発想に切り替えて行く必要があるといえる。

このように、若年者向けの運用方法に対し、年齢が上がるにつれ、まとまった資産をお持ちの方も多くなっていることと思うが、こうした場合は、初期の元本を数回に分割しながら組み込んで行き、さらには複利の効果を活用することにより、インフレリスクを回避していく方法が有効となるだろう(※まとめて一括で元本を組み込むよりも、
3ヶ月に1度、6ヶ月に1度追加することで時間的分散効果が期待できるだろう)。

※資産運用には元本及び利息の保証がないため、必ずしも「正」の複利効果が得られるとは限らない。したがって、
2,3年といった短期の評価額は元本割れする可能性がある旨ご注意いただきたい。

*****

【コラム②:分配型ファンドは買ってはいけない】

一般的に、「元本再投資型」と呼ばれる投資信託は運用によって得た収益を元本に組み入れるため、複利効果により資産が雪だるま方式に膨らんでいく。

これに対して、分配金を毎月支払っている「毎月分配型投資信託」は運用によって得た収益から分配金の支払いを行うため、元本に組み込まれる金額が少なくなってしまう。

分配型ファンドは原則として毎月分配金の支払いを行い、基準価額を削って分配原資に充てる(「収益」でなく「元本」を分配する)ため、収益を上げられなかった場合には、元本を取り崩して分配金を支払うこともあり得る。

ここで、投資信託を活用して資産運用を開始するに当たり、最も注意しなくてはならないのが「分配金」の概念だ。

分配金という言葉のニュアンスは、どこか「元本」を運用したことによって獲得した「果実」を受け取っているかのように思ってしまいがちだが、証券用語で用いられる場合の「分配金」という言葉に関してはそのような意味は全くないので注意してほしい。

分配金は投資信託の「純資産」から支払われるため、ある期間の支払額よりも収益額が少なければ、その差額分だけ基準価格が下がる仕組みになっている(※預貯金の利子とは源泉が異なる点に注意)。

このように証券用語では、収益分配部分を「普通分配金」、元本取り崩し部分を「特別分配金」と、どちらにも分配金という名称を使うため、両者とも収益部分を源泉とした払い戻しと誤解してしまいがちだ。毎月分配型に魅力を感じて購入したものの、実際は投資家自身が支払った元本の取り崩しに過ぎないケースもあるため、分配型ファンドに投資するメリットは全くないと言っていいだろう。

こうした商品は特に引退世代の方が毎月の配当を年金とみなして購入するケースが多く見受けられるが、高い売買代金と信託手数料を取られた上、自分の元本を取り崩して配当にまわしているような商品を買うくらいであれば、普通預金を取り崩したほうがまだましである。

すでに説明した通り、投資の本質は、「なるべく長期間にわたって元本を取り崩さずに運用を継続し、複利の効果を享受することで、最終的に目標とするリターンを得ることである」といえる。

したがって、資産運用を開始される際には再投資型の信託を選択されることを強くおすすめしたい。

国際分散投資④~アセットアロケーション~
へ続く

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(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)

国際分散投資②~分散・積立・インデックス~


投資の世界では「大きな損失を出すリスクを極力抑えながら、少しずつ利益を増やしていく考え方(いわゆる「損小利大」)が非常に有効である。

以下の例は一見すれば金額は同じだが、比率で考えれば「
今あるものを増やす」よりも、一度失ってしまった「損失を取り戻す」ほうが難しいことがおわかりいただけると思う。

 ▼1,000円の金融商品が750円に下落した場合▼△750円の金融商品が1,000円に上昇した場合△
金額250円の下落(1,000円-750円)250円の上昇(1,000円-750円)
比率25%の下落(250円/1,000円*100[%])33%の上昇(250円/ 750円*100[%])

ここではリスクを回避する方法として、「分散」・「積立」・「インデックス」の3つのキーワードを用いて、最も基本となる運用方法をご紹介していきたい。

*****

【分散】

投資の世界には、「卵は
1つのカゴに盛るな」という有名な格言がある。

これは、「いくつかの卵を
1つのカゴに入れておくと、ひっくり返ったときに全部の卵が割れてしまうので注意しなさい」ということの教訓だ。投資においては、大切な資産をすべて1つの商品に集中して投資してしまうと、暴落など不測の事態により全財産を失ってしまう可能性が高いため、この格言は投資の教科書では頻繁に引用されている。

Don’t put all your eggs in one basket
画像:政府広報「
新しい投資優遇制度NISAがスタート」より

分散して投資を行う最大の意義は、「値動きが異なる複数の商品を保有することにより、資産全体の値下がりリスクを極力抑えること」にあるといえる。

たとえば、株式と債券は一般的に正反対の値動きをする傾向があると言われている。両者を例に考えた場合、株式と債券をバランス良く保有することにより、株式が暴落しても、株式の暴落分を債券の上昇分でカバーすることができればマーケットの変動リスク(=βリスク[1])を低く抑える効果が期待できることになる。例として「株式」は大きく上がって10%の利益を得たとしても、「債券」が10%下落した場合、両者の値動きのブレ幅は相殺されることになるからだ。

保有資産変動率相場変動による利益配当による利益期待収益率
株式のみ+10%+10%+3%+13%
債券のみ-10%-10%+1%-9%
株式と債券± 0%± 0%+4%+4%

したがって、相場変動による利益を享受することができなくなる一方で、安定した配当収入を継続的に生み出す効果が期待できるようになる(上図右下の+4%の部分)。

わかりやすいイメージとして株式の配当が3%、債券の配当が1%と仮定した場合、相場変動リスクを抑えながらコツコツと年利4%程度の配当収益を確保する効果が期待できるようになる。一般的にこのような相場変動の影響を受けない投資方法は、市場(マーケット)に対して常に中立的(ニュートラル)な立場を採るため、マーケットニュートラル投資法と呼ばれている。

このように資産を「
複数の値動きが異なる商品に分散して投資を行う」ことにより、「相場変動リスクを極力抑えながら安定したリターンを生み出す投資方法」が分散投資の本質であるといえる。

ちょっと小難しい話になるが、こうした商品間の値動きの相関性(
連動性)を測定する統計手法を相関分析という(どの程度の連動性があるかを図る指標として「相関係数」という数値を用いる)。

分散投資を行う際は、相関係数がマイナス(負)の値を取る商品のペアをバランス良く組み合わせ、グループ化することにより、相場の上下動に関わらず、安定した配当収益(α
 [1])のみをマーケットから獲得していく効果が期待できる。なお、相関係数は-1.0~+1.0の値を取り、+1.0に近づくほど両者は連動性があり、-1.0に近づくほど両者は正反対の値動きをする。

したがって分散投資は、単純にさまざまな投資商品をランダムに組み合わせればよいのではなく、必ず「異なった値動きをする複数の商品を組み合わせること」が重要なポイントとなる。同じ値動きをする商品を組み合わせてはいけない理由は、暴落などの予期せぬ相場変動が発生した場合、すべての資産が目減りしてしまうからだ
[2]。一度失ってしまった損失を取り戻すほうが難しいことはすでに説明した通りである。

もっとも、上昇相場が何年も続いてしまった場合、一方の上昇分の利益は、他方の下落分の損失で相殺されてしまうため、相場変動の恩恵が受けられず、この点はデメリットであるといえる。分散投資は相場変動リスクを回避できる一方で、相場変動によるリターンの恩恵を受けられないというデメリットがあることは覚えておいてほしい。

1 β(ベータ)とは、ベンチマーク(参考指標)に対するポートフォリオの感応度のことをいう。その一方、α(アルファ)とは、ベンチマークの動きにかかわらず生じる収益のことをいう。通常、インデックス指数がベンチマークとなるが、ここでは値動きの異なるインデックス商品を組み合わせることにより相場変動であるβを相殺するため、配当によるリターンがαとなる。

2 現実のマーケットでは、上記のような異なるアセットクラスで、全く同じ値動きをする商品も真逆の値動きをする商品も存在しない。同程度の期待リターンのアセットクラスがあった場合には、値動きの相関がより低いアセットクラスの組み合わせでポートフォリオを構成することにより、個別のアセットクラスよりもポートフォリオのリスク(変動率)が低減するということ。この点が、「期待リターンが同じであればリスク(変動率)は小さい方が好ましい」という前提があるファイナンス理論において、分散投資が推奨される理論的な背景となっている(実際は理論通りにうまくはいかないが、機関投資家はこれを巧みに営業トークに織り交ぜることになっている)。

*****

【積立】

投資とは「
良いものを買うことではなく、ものをうまく買うこと」によって成功する。

本質的価値から見て割安な価格で大量に購入し、割高になってから売れば、大きなリターンが得られるからだ。
日常生活と同様、本質的価値が同じものであればなるべく割安な価格で買ったほうが、よい買い物ができることになる。そのため「いつ買うか」「いつ売るか」について日々値動きを追っている投資家が多いのが現状のようである。

しかし、どういうわけか投資の世界においては、多くの方が正反対の行動を取ってしまいがちだ。多くの投資家が注目された銘柄に投資をするので、結果として高値掴みをして損をしてしまう。その一方、保有している商品が値下がりすればすぐに売ってしまう。

本来であれば、世間から注目されているような割高な銘柄は売り、注目されていない割安な銘柄を買うべきなのだが、どういうわけか多くの投資家は割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売るといった真逆の行動を取っているのが現状のようだ――。

しかし、売買のタイミングに悩んだところで、投資のプロでさえ最適な投資タイミングを知ることは不可能である。最安値のタイミングなんぞ、結局のところ、後になってみないと誰にもわからないのだ
[3]。

そこでおすすめしたいのが積立投資だ。答えが出ないことにあれこれ悩むよりも、継続的に積立投資を実行したほうが、時間を分散することにより、結果として取得リスクを分散することができる。毎月一定額を機械的に投資して行けば、価格が安いときに多く購入でき、平均購入価格が低くなる効果が得られることになる。

ドルコスト平均法
画像:三菱UFJモルガンスタンレー証券
ドルコスト平均法」より

これは「ドルコスト平均法」と呼ばれている。継続的な積み立て投資(ドルコスト平均法)を活用することにより、「時間の分散」によって大きな失敗を防ぐ効果が期待できるため、投資を始める方は積極的に活用してほしい [4]。

3 2013年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のファーマ教授、エール大学のシラー教授が行った「資産価格の実証研究」によれば、ファーマ教授は短期的な資産価格の予測は困難であると語っている。一方のシラー教授は35年先といった比較的長期の価格は予測可能なことを示している。

4 投資期間が一方的な下げ相場であれば、運用期間中の平均取得金額が少なくなるドルコスト平均法は有利であるが、逆に、一方的な上げ相場が続いてしまうと、ドルコスト平均法よりも一括で取得したほうが有利になる点はデメリットとなることに注意が必要。この場合、ドルコスト平均法で時間を分散したことにより、かえって機会損失になってしまうからだ。

*****

【インデックス】

インデックスファンドは市場の構成銘柄をパッケージ化した商品であるため、「
市場をそっくりそのまま再現できる金融商品である」といえる。

金融マーケットが機関投資家によって支配されるようになった現在、市場の平均値(インデックス)の値動きは投資のプロの動きをリアルタイムに反映する指標そのものとなってしまった。新しい情報が発生し、プロが判断を変えるたびに市場平均も連動することになる。

このように、市場平均そのものが投資のプロと呼ばれる機関投資家全体の判断による合成期待値となった今、世界中のトップトレーダーを含むプロの運用判断を
1つにまとめてしまうには、インデックスを活用することが合理的な選択肢であると考えられる。

また、インデックスファンドは売買手数料も安く、運営コストも安いため、わずかな手数料を支払うだけで「
プロの運用チームのスタッフを雇うのと同様のメリットが得られる」ことになる。

資産運用にインデックス投資をおすすめしたい理由は
2つある。

ひとつは、インデックスファンドは、「市場平均に連動していることにより、リスクがすでに分散されている商品であること」、「売買を頻繁に行う必要がなく、極論を言えば何もする必要がないため、手間がかからないこと」がメリットとして挙げられる。もっとも、デメリットとしては「平均点しか取れないこと」だろうか...

インデックス投資のメリット市場平均に連動していることにより、リスクが分散されている
売買を頻繁に行う必要がなく、ほとんど手間がかからない
インデックス投資のデメリット平均点しか取れない

しかし、プロの運用機関の80%が、市場平均値(インデックスファンド)を上回ることができていない現状を考えれば、彼らが市場平均を上回るために投入した膨大な調査や人件費等のコストを比較した場合、(ベンチマークを上回るために費やしたエネルギーとコストを信託報酬として1%弱支払うだけでいいのだから)、インデックスファンドを保有することは費用対効果が極めて高いと言えるのではなかろうか?

アクティブファンド売買手数料高い
運営コスト高い
インデックスファンド売買手数料安い
運営コスト安い

またコストの面でもインデックス投資はアクティブ投資に比べて優位性がある。アクティブファンドはインデックスファンドに比べ、非常に高コストである。インデックスファンドの場合、ネット証券などで販売されている商品は、多くがノーロード型と呼ばれる販売手数料がかからない商品になっているため、個人投資家の方はこうした商品を活用したほうが経済合理的である。また、信託報酬が低いファンドが多いのもインデックスファンドの特徴といえる。

すでに述べたとおり、上位
20%のアクティブファンドが市場平均を上回ることは事実であるが、それだけ優秀なファンドがあれば、それはすでにマスコミや週刊誌で注目され、私たちも知っているはずだ。しかしそれは結局のところ、「あとになってみないとわからない」のだ。

さらには、過去
23年間の運用成績が良かったとしても、510年と長期的に渡って市場平均を上回る大手の運用機関の数はさらに少なくなり、そのような運用成績のよい商品を選び出すことは簡単ではない。特に数年間だけの成績を見ても、標本データ(サンプル数)が少なすぎるため、運用方法がたまたま相場にフィットして運良く儲かったのか、実力により儲かったのか判断の見極めは難しいところだ。

これから投資を始める個人投資家の皆さんは、インデックスファンドを活用することにより、最小限の労力で平均点を取ることが可能となるため、将来の資産形成の手段として積極的に活用していただければと思う。

インデックスファンドは非常にたくさんの種類があるが、同じインデックスに連動するファンドであれば運用成績はほぼ連動するため、あまりこだわる必要はない。例えば、日本の株価指数である日経平均
225に連動するファンドであれば、日経平均が10%上がれば、どのファンドでもほぼ10%上昇するように設計されているので自分の好みで選べば構わないだろう[5]。

インデックスファンドの中には、投資対象の異なるインデックスファンドをシリーズ化しているものがあり、これらをバランスよく組み合わせることで、コストやリスクを最小限に抑えながら、世界中のマーケットに分散して投資を行うことが可能となるため、積極的に活用していただければと思う。

5 規模の小さなインデックスファンドを選択してしまうと、指数構成銘柄全てを組み込めずに本来10%上昇すべきところが、9%11%8%12%になり、本来の指数から±数%程度の誤差が発生してしまう可能性がある(これを「トラッキングエラー」という)。そのため、なるべく規模の大きなファンドを購入されることをおすすめしたい。仮にトラッキングエラーの大きな商品を購入し、本来の株価指数を上回るリターンを上げたとしても、同様に下回るリスクもあったため、結果論としては成功(結果オーライ)だが、商品選択の判断としては失敗といわざるを得ない。

国際分散投資③~複利効果と時間的分散~へ続く


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(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年) 

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