男女の仲は難しい。異性の取り扱いは永遠のテーマだと思う。
画像:「A Future Without War」
「愛」と「憎しみ」は表裏一体の関係だ。
愛が深ければ深いほど、憎しみも深いものになる。
一方に振れた振り子は、他方にも同じ振れ幅の作用をもたらす。
しかし、愛の方向に振れた振り子は、それ以上に憎しみに振れることがある。
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かつて、友人
がフラれた。
もう数年前の出来事だ。
彼は当時、就職浪人をしていて、将来は結婚まで考えていた恋人がいた。
就職活動が忙しくてなかなか会えないけど、これも彼女のため。
資格を取るために必死に学校に通う、これも彼女との将来の生活のため。
ところが女性のほうは、飲み会で知り合った商社マンの男性と知り合い、やがて二人は恋に堕ちた。
そして友人は捨てられた...
「くそー見返してやる!今に見てろよ!」
負のエネルギーというのは本当に恐ろしいもので、彼は人が変わったように人生を仕事に捧げて懸命に働いた。
彼は転職市場で自らの市場価格を吊り上げ、日系証券会社→外資系投資銀行→マクロ系ヘッジファンドへと超短期間で自らの労働力を転売し、ビジネスマンとしてのキャリアを積み上げた(らしい)。
現在は退職して、不動産投資会社のオーナーをやっているそうだ。
先日、数年ぶりに電話がかかってきた。
「あの日の事覚えてるか?オレが泣いた日のこと......」
「もちろんだよ。まさか!まだ根に持ってるのか?(笑)」
「そうじゃないんだ。復縁の要請があって困ってるんだ(笑)」
「ほぉ......
」
要点をまとめると、
現在、婚約中の恋人がいる
↓
かつての女性とはもう関わりたくない
↓
いかに自分が身勝手な要求をしているか代わりに説明してやってくれないか?
ということだ。
おかげで、「かつての筆頭株主様」に電話をかけさせられるハメになった。
これはマジでめんどくさい業務委託だ(笑)
プルルルル。。。
「もしもし、かつての筆頭株主様かな?
時間の無駄なのでわかりやすく要点だけお話しするよ。
君はかつてA
という銘柄を保有していた。
正確に言えば、Aという「当時」は投資家Bから適切に評価されていない割安株のコールオプション(ストックオプション)を全株保有していた。
ところが権利行使前に見切りをつけて、「将来値上がりした場合に受け取ることができる権利」を自ら放棄した。
今、君は保有していないコールオプションのキャピタルゲイン(売却益)を狙って、かつて見切りをつけた権利を取り戻そうと必死だ。
キャピタルゲインを享受できる資格を持つ人間は、「現時点」でオプションを保有している投資家だけだ。
まぁ簡単に言えば、「現時点」で株主名簿に君の名前はない。
よって、君はキャピタルゲインの恩恵にあずかることはできない。
以上だ、言いたいことわかるな?」
「もういいわ、ガチャ!」
わずか3分足らずで電話を切られた。
要点が的確に伝わったようだ(笑)
このことを友人に話したら、 大笑いされたが......
。_(_△_)ノ彡☆
「歴史に " i f " は無い」と言われる。
「もしもあの時、別のパートナーを選んでいたなら、今頃は違う人生だったかもしれない」
逃がした魚はあまりにも大きかった......
誰だって一度や二度、そんな経験があるだろう。
人間というのは何がきっかけで株価が暴騰するかわからない。
適切に評価されていない潜在価値を持った優良銘柄を見つけるのは本当に難しい。
この話の感動的なところは、
恋人に捨てられた惨めな就職浪人男 < 商社マンに乗り換えた尻軽女
という劣勢ポジションから一転して、
悠々自適な不動産投資家
> 売却時の価格で買い戻しを目論む投資家
というマウントポジションに形勢が大逆転したことにある。
何と見事な下克上だろうか!
あまりにも恍惚としたメシウマ感のせいで、
電話中に思わず○○してしまいそうになったではないか(笑)
おかげで、自称ドMの私でさえも、サディスティックな快感を覚えてしまったようだ。
友人には、「君のおかげで今は幸せに暮らしているよ、感謝するよ」くらいの皮肉の1つでも言って欲しかったのだが。
私の性格がクズだからなのか......
まぁ、お幸せに!
『愛の反対は憎しみではなく、無関心です』
マザー・テレサ
友人にとって、
「愛」の反対は「憎しみ」ではなく、
いつしか「無関心」に変わったようだ。