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金融・マーケット関連

理論と現実の誤差について考える~科学とエセ科学~


理論と現実の誤差について考える~正規分布とベキ分布~】の続き


エセ科学とは、

「科学的方法に基づく、あるいは科学的に正しいと認められている知見であると主張されているが、実際にはそうではない方法論、信条や研究を指す」

"A pretended or spurious science; a collection of related beliefs about the world mistakenly regarded as being based on scientific method or as having the status that scientific truths now have."より

とされている。

文中に「実際にそうではない」と書かれているように、そこには再現性・再帰性が見出されず、「こうあるはず」「こうあるべき」というイデオロギーが先行し、あたかもそれが正しいと思うように大多数の人間が信じ込んでしまう現象のことだ。

なお、ここでいう再現性・再帰性とは、「『「絵を描く人の絵」を描く人の絵』を描く人の絵を...」のように同じ構造を繰り返しあてはめることができる性質(いわゆる入れ子の構造のこと)をいう。

ヒアルロン酸、コラーゲン、ゲルマニウム、デトックス、etc...

日常生活を見渡しても、一見すると説得力があり、なるほどと思ってしまう自称「科学製品」がたくさんある。どういうわけか、私の家の風呂にもたくさんあるようだ(笑)

 

さて、本題に入り、ここでは金融マーケットを考えてみたい。

金融の取引現場ではマーケットが正規分布であると仮定し、リスク・リターン分析が行われている。

正規分布の概念を基に設計された有名な指標に「ボリンジャーバンド」があるが、σ±2の中に全体のデータの95.44%と仮定されたマーケットでは、これを逆張りで用いることによって、効率的に利益を上げられるはずだ。

ところが実際にやってみると、頻繁にσ±3を超えるようなブラックスワンが頻繁に登場し、なかなかうまくいかない。

私を含め、コントラリアン(逆張り投資家)の皆さんには耳が痛い話ではないだろうか?

私は統計学や金融工学などの専門家ではないし、金融商品を販売する証券マンでもない。

あくまでも、現場で取引をしている一人のトレーダーとして書かせていただきたい。

多くのトレーダーが私と同じことを経験しているはずだからだ。


【前提条件がそもそも間違っているという事実】

金融工学はマーケットを「正規分布」であると仮定して設計されている。

私が株式投資を始めた学生時代、授業もろくに出席せずに、図書館に引きこもって株式投資の書籍や文献を片っ端から読み耽った記憶がある[1][2]

私が投資関連の書籍で最も興味を持った項目が、テクニカル分析の書籍に載っていたボリンジャーバンド(標準偏差)だった。

書籍には順張りで用いる場合に加えて、

「マーケットを正規分布と仮定した場合、σ±2の中に標本データの95.44%以上のデータが含まれていると考えられる」ため「逆張り投資が有効である」

といったニュアンスの説明文が書かれていた(もちろん逆張り投資で用いる場合の注意点も書いてあった)。

あらかじめ申し上げておくが、これは、執筆者の方々が間違っていたわけではなくて、前提となる「金融工学そのもの」に根本的な問題がある。

というよりも、この根本的な問題に理論と現実の矛盾があるのだ。

なぜならば、前提としている金融工学が「正規分布であると仮定する」としている以上、テキストの内容は理論的には正しいのだが、現実のマーケットにおいては、必ずしも正しいとは言えないからだ。

なお、この現象を経済物理学の観点から説明すると、「マーケットはベキ分布にしたがう」と説明されている。

マーケットは「ベキ分布」にしたがう

その一方で、

マーケットは「正規分布」を前提とした金融工学によってマーケット分析をしている


上記の矛盾点は、簡単に解決できる問題ではないのだが、
ここで私が言いたいのは「標準偏差の概念を使わないほうがいい」ということではなくて「前提条件が異なる概念でマーケットにアプローチをかけている」ことを認識しておく必要があるということだ。

そう、マーケットは複雑系世界のスモールワールドなのだ。


【正規分布の落とし穴】


私たちは前もって未来を知ることはできない。

あくまでも、辿ってきた過去の記録(事実)を確率・統計的に分析して、未来を予測することしかできない。

ここでは、ボリンジャーバンドを例にあげるが、「テクニカル分析そのもの」の注意点として書いておきたい。おそらく多くの方が勘違いされていると思うのでぜひ読んでみてほしい。

たしかに、ボリンジャーバンドのチャートを眺めるとσ±2付近でトレンドが方向転換していることがわかる。

でも、よ~く考えてみてほしい。

バンドラインは「後出しじゃんけん」のように、後から被せた結果がチャートに表示されているのだから、σ±2付近で方向転換しているのは当たり前なわけだ。

その証拠に、翌日の終値データが公表されてからボリンジャーバンドを眺めてみてほしい。

ボラティリティが急激に跳ね上がっても、バンドラインはキレイに被さるように表示されているはずだ(いわゆるバンドウォークと呼ばれる現象。ペアトレードの場合は、スプレッドが又裂きになる状態のこと)。

これは大切な話なので、もう一度書いておく。

株価チャートは、「ボリンジャーバンドのσ±2付近で方向転換している」のではなく、「マーケットを正規分布に当てはめて考えているため、バンドを後から被せて標準偏差σ±2の中に95%のデータが収まるように被せられているにすぎない」。

これが正解となる。

この違いがおわかりだろうか?

ボリンジャーバンドの場合、「トレンド相場」ならば「順張りが有効」で、「レンジ相場」ならば、「逆張りが有効」と言われているが、それは結局のところ、後になって見ないとわからない。

これは非常に間違えやすいのだが、株価が95%「収まる」のではなく、95%「収めている」といったほうが正しい表現だと思う。

そう!バンドラインは後から被せているのだ。

この点を理解できていないと逆張り投資で痛い目を見ることになる。


【科学とエセ科学】


最後に、確率・統計を基にしたテクニカル分析は科学的投資法であるかどうかという私の考え方を示しておきたい。

 結論先行で言えば、テクニカル分析は、

過去の事実から類推する「観察科学」の1つとなる「可能性がある」

と考えている。

ただし、これは実践で役に立たなければエセ科学にすぎない。

だから、「可能性がある」という表現にとどめた。

ここで言うエセ科学とは、再現性のない手法であったり、標本データが十分でないため偶然の発生確率を排除し切れていないような手法のことをいう(テクニカル分析には高度な数学が用いられるが、実際にやってみるとたいてい上手く機能しない)。

まず、投資にかぎらず、物事を科学的に考えるのであれば、その根底には必ず何らかの哲学が存在するはずだ。

私の投資哲学は、

①「自分で仮説Aを立てる」

②「自分で立てた仮説Aを対立仮説Bによって徹底的に論破する」

③「論破された仮説Aを補強してさらに対立仮説Bを論破する」

④「論破された対立仮説Bを補強してさらに仮説Aを論破する」

といった思考プロセスによって論理を補強して、

最終的に「論理的な矛盾が解決した場合」、あるいは「矛盾を他の論理と組み合わせることによって妥協できると判断した場合」にかぎって自己責任で投資判断をするようにしている。

① 仮説A ⇔ 対立仮説B

↓ ABの根拠を明確にする

② 対立仮説Bの根拠 ⇒ 仮説Aを論破

↓ Aの根拠を補強する

③ 仮説Aの根拠 ⇒ 対立仮説Bを論破

↓ Bの根拠を補強する

④ 対立仮説B ⇒ 仮説Aを論破

このような思考作業を繰り返し、BAに反論できなくなった時点でAの考え方を採用するようにしている。

また、この一連の思考プロセスに矛盾がないかどうか、矛盾があった場合は解決策があるか、解決策がなければ他の論理と組み合わせて妥協できる方法はないか。

可能なかぎり周りの友人・知人たちにアドバイスしてもらう。

そして、周りの友人・知人たちにも議論を吹っ掛ける。

こういったプロセスを経て、「自分の思考のズレ」を軌道修正したり、人間の最大の弱点でもある「感情的な行動」をコントロールするようにしている。

また、このプロセスから新たなアイデアが生まれることもある。

そして、そのアイデアも当然、徹底的に批判することになる。

私は教科書に書いてある内容が100%正しいとは思わないし、自分の考え方が100%正しいとも思っていない。

だからこそ、常識と言われていることでも徹底的に批判するし、自分の考え方も批判する。

そして批判した内容をもう一人の自分に別の考え方をさせて頭の中で議論させて、様々な角度から矛盾点を解消し、思考を整理するように工夫している。

そして、すべて「自己責任」において最終的な判断を下すことにしている。

私は、学生時代に科学哲学の授業で学んだカール・ポパー氏の反証主義という考え方に非常に感銘を受けた(私はここから物事を批判的に考えるという視点を学んだのだと思う)。

反証主義とは、「①観察」→「②仮説」→「③予測」→「④検証」→「⑤結論」の5つのステップによって成り立つ分析手法のことだ(仮説演繹法)。

仮説演繹法を例にあげて私の思考プロセスを批判するならば、

「①観察」→「②仮説」の段階で、「ベキ分布」にしたがうとされているマーケットに対して、「正規分布」であると仮定した考え方でアプローチをかけているという矛盾点が完全に解消できていないという事実だ。

その結果、「③予測」→「④検証」→「⑤結論」の段階で、「②仮説」の前提条件が異なっているという矛盾を認識しつつ行うわけだから、「⑤結論」によって試行した結果、理論通りに行かない可能性が高いことを常に意識しながら仕事をしていることになる。

私が出した「⑤結論」が正しかったかどうか「④検証」するには、「結果」という「事実」(数字・パフォーマンス)こそが全てを物語る。

正しいと思う判断を下してトレードしても、なかなか思い通りに結果を出せない期間があった。

「確率論から考えて試行回数を増やせば大数の法則により、期待している結果に近づくのではないか?」と「⑤結論」を出して、トレードしてもやはりうまく行かないこともあった。

 うまく行かない経験を積み重ねたからこそ、矛盾点を解消する方法として「正規分布の概念を他のアイデアと組み合わせて用いるのが現実的な妥協策となり得る」という1つの「⑤結論」に至り、数字が改善されるようになった。

たくさんの「真実」を考えだし、「真実」にバイアスをかけ、「事実」に反映させたということだ。

確率・統計を根底として成り立っているテクニカル分析は決して万能ではない。

トレードの試行作業を繰り返すうちに、「きちんとした理論的裏付けを行ってもうまく行かないことがある」という実体験から私自身、多くのことを学び、そして反省してきた[3]

今日に至るまで、理論を完全にマスターした、いわゆる優等生たちが、現場に出てパフォーマンスを出せずに最前線から離脱していく光景をずっと見てきた。

おそらく、「理論をマーケットに当てはめて考える」よりも、実際にトレードをして、「マーケットから理論を考える」ほうがよほど重要だと思う。

私の言いたかったことはこれが全て。

・「理論をマーケットに当てはめて考える」

・「マーケットから理論を考える」

両者は似て非なるものだ、あくまでも私の考え方は、

前者が「エセ科学」、後者が「科学」だと思っている。

テクニカル分析は「エセ科学」!?

これは問題発言かもしれない。

テクニカル分析は、過去の事実から類推する「観察科学」の1つとなる「可能性がある」と考える。

ただ、私に言わせれば、「観察科学」も実践で使い物にならなければ、どんな立派な理論もしょせんは絵に描いた餅にすぎない。

その意味では、テクニカル分析は100%の科学的投資法ではないと考えている。

ようは、「常識を疑え」ということだ!

意外にも99.9%の論理の外側、すなわち0.01%の感性は大事ということ。

ブラックスワンのような「偶然」も、アイデアの組合わせ次第では「必然」に変わるかもしれない。

99.9%の白鳥がじつは黒鳥で、0.01%の黒鳥がじつは白鳥だったりするかもしれない。

一見すると「矛盾」する事象も、よくよく考えると根本は同じ、ということはよくあるのだ。

その意味では、サンプル数が1つしか存在しない「人生」というのは、「偶然」も使い方次第ということだろうか...


※余談だが、このブログを読んでいるのが投資家の方であれば、ぜひ聞いてみたいことがある。

「順張り投資家」の方は「逆張り投資家」とは考え方が違うという方がいらっしゃるかもしれないが、「逆張り投資家」は「順張り投資家」でもあると考えている。

「順張り投資家」 → トレンドの出ている方向に仕掛ける

「逆張り投資家」 → トレンドとは反対の方向に仕掛ける

「トレンドとは反対の方向に仕掛ける」ということは、「トレンド転換の初動に乗ることを期待する」ことと同義だと思う。その意味で、私は「順張り投資家」だと思う。

ゆえに、命題「逆張り投資家 ならば 順張り投資家」はトートロジーである。

果たしてこれは屁理屈だろうか?

[1]私は「経済学」「統計学」「金融工学」等を教科書ベースできちんと学んだことがない人間なので、「理論」という意味では間違いがあるかもしれない。授業の単位だけは一夜漬けで取ったが、本業(!?)の水商売にどっぷりハマってしまい、大学のキャンパスにはほとんど行った記憶がない...

[2]「経済学」については、まわりの経済学者にお金持ちが誰一人としていないので、お金持ちになるには経済学の知識はあまり関係ないのかもしれないと思うのだが、どうだろうか...

[3]人間の感性が入る「裁量トレード」も、機械任せの「システムトレード」も相反すると思われるが、私は根底は同じだと思う。というのも、「システムトレード」にも実は作者の心が入っているからだ。一見すると、無機質なアルゴリズムも、きちんと作り手の心によって動いている。心とは、すなわち感性だ。他の人間と99.9%同じことをやっても勝てないかもしれない。ただ、この微妙な0.01%の部分にこそエッジ(優位性)があるのではないかと思っている。私はアルゴリズムを設計したが、設計したアルゴリズムは、未だに自ら考え、学習し、行動を起こせるレベルには至っていない。日々、機械学習にもチューニングという心を入れる作業が必要なのだ。

(参考: Oxford English Dictionary Second Edition 1989. "A pretended or spurious science; a collection of related beliefs about the world mistakenly regarded as being based on scientific method or as having the status that scientific truths now have.")
(参考: R. C. Vreeman and A. E. Carroll, Medical myths, BMJ, 335 (2007), 1288-1289.)
(参考: ジョン・アレン・パウロス「天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方」ダイヤモンド社,2004年)
参考:カール・フティーア「逆張りトレーダー」パンローリング,2010年) 
(参考: 伊勢田哲治「疑似科学と科学の哲学」名古屋大学出版会 ,2002
(参考: カール・R.ポパー 「科学的発見の論理-上」恒星社厚生閣,1971年)

理論と現実の誤差について考える~正規分布とベキ分布~


金融取引の世界を見ると、「
100年に1度の危機」と言われる大規模なマーケット変動が数年ごとに起こっている。

私たちはブラックスワンの存在に怯えながら、日々ポジション管理を行っている。

確率論に支配される正規分布の世界では、平均や変動、分散、標準偏差などの概念を使ってシミュレーションを行うと、平均からの距離に基づいて一定の確率で標本が分布していることがわかる。

その一方で、私たちが住んでいるこの世界はベキ分布に基づく複雑系世界なのだという。

地震を例に考えれば、プレート同士がぶつかり合う活断層地帯では、私たちが体感できないような微小地震が頻発している。そして、ある日突然、東日本大震災のような壊滅的な地震が起きる。

正規分布を基にリスク管理を考えると、微小地震の寄与率があまりにも高すぎて、震度1にもカウントされないようなところに標本数が多く分布することになる。

つまり、正規分布の中心に標本数が最も多く分布するということだ(参考:「正規分布」)

ところが、マグニチュード8とか9といった巨大地震が起こると標準偏差σ±23の想定域を一気に突き抜け、σ±56といった大規模な変動が起こる。


現実世界では、標準偏差が想定を超える事象が稀に起こる、しかし平均の位置は変わらないままだ。

山を崩し、谷を埋めれば、すべての事象は平均化され、標本の持つ本来の個性が失われてしまう。

標本の中には、想定を超えるブラックスワンも隠れている。

稀に起こる想定外の事象をいかにしてリスク管理に組み込むか?

さて、この問題、どう解決したらよいのだろうか。


【正規分布とベキ分布】

sd

画像引用元:「Metrology: The Science of Measurement

正規分布はあくまでも、金融モデルをわかりやすい関数に置き換えて考えるための空想の確率モデルにすぎない。当然、現実の世界に当てはめて考えた場合、そこには必ず誤差が発生する。

というよりも、これはこれでどうしようもないことなのだが、問題なのはこの「誤差」だ。

株式や為替でも、マーケットの95%の変動については正規分布で説明できるような変動に収まるものの、残りの5%が壊滅的な大打撃を投資家に与えてしまい、めったに起こらないと言われている標準偏差σ±3でさえも遥かに上回る桁違いの変動が、マーケットの世界では数年ごとに見られる(少し前の事例としてはアジア通貨危機、ITバブル崩壊。最近の事例ではサブプライムショック、リーマンショック、東日本大震災、など)。

この時までは、マーケットに参加していた多くの投資家たちは、95%の確率(いわゆるσ±2)ではコツコツ利益を得ていたものの、残りの5%の大きな相場変動によって、今までの利益を一気に吹き飛ばすような莫大な損失を被ったと思う(※95%の確率でコツコツ利益を得る商品とはオプションの売りのこと)。

実は、正規分布の欠点はこの5%の部分にある(正規分布の概念を用いた指標に「ボリンジャーバンド」があるが、開発者であるジョン・ボリンジャー氏も実際の説明度は90%弱であると言っていたはず)。  

「初期の金融工学では、原資産の価格変化率の分布が対数正規分布に従い、裁定機会が存在しないなどの仮定の上で、オプションの理論価格を導くことができた(ブラック・ショールズ方程式)。

あくまで、数学的に扱いやすいから正規分布としている。

この段階での金融工学の理論は、時間が明示的に入っているため動学的ではあるが、実際の価格変化率の分布は正規分布ではなくパレート分布(ベキ分布)に従うため、現実的なモデルとはなっていない。」


(「経済物理学の発見」より)


上記の引用は、いわゆる「正規分布」を前提としている「金融工学」に関する批判というか限界の指摘なのだが、経済物理学の世界では、金融マーケットは「ベキ分布」に従うとされている。
[1]

また、
 

95%を占める小さな変動は、ランダムウォークの理論に近い変動なのですが、大きなスケールでの為替の変動にはほとんど寄与していないのです。

金融工学で中心的な役割を担っているブラックショールズのオプションの公式はノーベル賞の対象となり有名ですが、市場の変動を単純な確率モデルで近似して捉えているのは、この
95
%の小さな揺らぎの部分だけです。

一番大事な大きな変動の部分をすっぽり無視してしまっていることになりますから、金融の現場では、この公式をそのまま使っている人はいません。

(「経済物理学の発見」より)

 

では、ベキ分布とはいったいどんな分布のことを言うのだろうか?
 

【ベキ分布】
 

以下の分布図を参照していただきたい。

 

cauchy_distribution
x0:分布の最頻値を与える位置母数
γ:半値半幅を与える尺度母数


これは一見すると、正規分布のようにも見えるが、「正規分布」ではなく、ベキ分布の一種である「コーシー分布」と呼ばれるものだそうだ。

正規分布とは根本的に大きな違いがある。詳しい説明は、【期待値が定義されない理由】を参照いただきたい。

簡単に言えば、標本の「中心値(μ)」や「最頻値」は存在するものの、「算術平均」や「分散」の概念が存在しない。

それゆえに、データ分析を行う際、正規分布のように「分散」や「標準偏差」を算出するにはかなり強引な手法であるということだ。

ベキ分布のわかりやすい例としては、
 

「岩石に衝撃を与えて破砕するとその破片の大きさの分布はベキ分布になることが知られています。

ガラスのコップを固い床に落として割ったときに出来る破片も同じです。

大きな破片はほんの数個で、中くらいの破片はかなりの数になり、小さな破片は無数にあります。

目に見えないような小さな破片の数はさらに多くて、顕微鏡で拡大してみても同じような分布が観察されます。顕微鏡でも見えないくらいのほこりのような破片の数が最も多いので、
1
つずつの破片の大きさの平均値を求めると、事実上ゼロになってしまうのです。

破片の大きさの標準偏差を計算すると、今度は小数の大きな破片の寄与が無視できなくなり、非常に大きな値になります。

何桁も大きさの違う破片が混在しているのですからゆらぎの幅を表す標準偏差が大きな値になるのは当然といえるでしょう。」

(「経済物理学の発見」より)

 

つまり、ベキ分布では「平均はゼロの値をとり、標準偏差は非常に大きな値となる」ということだ。

なるほど、考えてみればインターネットの世界も同じようなものではないだろうか。

GoogleFacebookYahooAmazon...

膨大なアクセス数を誇る巨人がわずかに存在していて、無数のガラスの破片のようなほとんどアクセスのない(私のブログのような)サイトが膨大に存在していることがわかる(参考:AlexaThe top 500 sites on the web」より)。

これは、インターネットの世界では、検索エンジン、ポータルサイト、ソーシャルネットワークといった巨大な中継点(ハブ機能)を中心に、無数のサイトがぶら下がっている仕組みだからであろう。

確率論を基にした正規分布の世界では、身長1.7メートルくらいの人間を平均として、1.6メートルと1.8メートル、1.5メートルと1.9メートルのように分布が広がっていくのに対して、ベキ分布化する複雑世界では、身長1メートルくらいの小さな人間がほとんどを占めるのに対して、身長2メートルとか3メートルの人間が稀に存在しているということになる。

インターネットのような複雑世界は、ベキ分布に従って分布がなされていることがおわかりいただけるだろう。
 

 【まとめ】


以上をまとめると、
 

株価変動や為替変動の分布も、「ベキ分布」に従うと考えられる[2]。マーケットの変動は、小さな変動が圧倒的に多く、大きな変動は少ないものの、実際のマーケットの世界では、大きな変動は、「正規分布」の場合に比べてかなり多く発生する

といえるだろう。

ボリンジャーバンドを逆張りで使っている投資家の方は、「バンドラインを超えたのに、移動平均線になかなか戻って来ない」という経験があると思うのだが、つまるところ、ベキ分布に近い分布をする実際のマーケットでは、理論として使っている正規分布との間に誤差が生じてしまうのが原因ということになる[3]

もし、誤差が小さければ、もっと勝率は高くなっているはずだからだ。

たしかに、考えてみれば、標準偏差という数字は、正規分布に対して非常に良くできている。

というより、むしろ話は逆で、「正規分布に都合よくあてはまる数字として標準偏差が選ばれた」というのが実情なのだろう(参考:「正規分布」)

そう考えると、「正規分布」ではなく「ベキ分布」に従うとされる実際のマーケットでは、「正規分布」をもとに設計された金融工学の考え方でリスク・リターン分析をすること自体に、もはや限界が生じているのでは?と思ってしまう。

ただし、マーケットは「正規分布」を前提とした、「金融工学」によって作られた多くの方程式によって影響を受けていることもまた事実であるから、その意味では、標準偏差を基にしたボリンジャーバンドを逆張りに使うのも、ある意味では有効だろう(参考:「ボリンジャーバンド」)。

これを全部「ベキ分布」の仕組みに作り直したら、想像もつかないような大変な作業になると思う。

まず、「ベキ分布」に当てはめるもの(「正規分布」でいうところの「標準偏差」)を見つけて、「正規分布」→「標準偏差」→「分散」→「変動」→「偏差」→「平均」のように、前提条件を逆算して全部見直さなくてはならないからだ(参考:「統計学基礎まとめ①」)

この意味がおわかりだろうか?

「正規分布」そのものの考え方を否定してしまうと、「標準偏差」の概念はもちろんのこと、金融取引に用いられる「分散投資」「ポートフォリオ理論」など、今まで私たちが常識だと信じていた概念そのものを根底から否定することになってしまうということだ。

で、どうするのか?

ベキ分布には「平均」や「分散」の概念が存在しないのだが。

「平均」や「分散」の概念を使わずにどうやってマーケット分析をするんだろうか??

それとも「平均」や「分散」の概念を前提としているマーケット分析がそもそもおかしいということなのか???
what
画像引用元:「hyderabadsocialmedia


これ以上のことは、私にはわからない...

理論と現実の誤差について考える~科学とエセ科学】へ


[1] [2] 正確に表現すれば、マーケットは「ベキ分布」にもならない。
[3] ボリンジャーバンドの場合、「トレンド相場」ならば「順張りが有効」で、「レンジ相場」ならば、「逆張りが有効」と言われているが、それは結局のところ、後になって見ないとわからない。これは間違えやすいのだが、株価が95%「収まる」のではなく、「95%」収めているといったほうが正しい表現だと思う。バンドラインは後から被せているにすぎない。この点を理解できていないと逆張りで痛い目を見ることになるので注意のこと。
 

(参考:高安 秀樹「経済物理学の発見」光文社,2004年)
(参考: ジョン・アレン・パウロス「天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方」ダイヤモンド社,2004年)
(参考:ベノワ・B・マンデルブロ、リチャード・L・ハドソン「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」東洋経済新報社 ,2008年)
(参考:マーク・ブキャナン「歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学」早川書房,2009)

グローバル社会と日本経済の未来について思うこと

 

【世界規模の裁定取引】


グローバル化の本質を一言で説明すれば、「山を崩し、谷を埋め、世界が均衡化すること」だろう。


世界を大きく二分割すると「豊かで恵まれた
A国」と「貧しくて恵まれないB国」に分けられる。

「豊かで恵まれた
A国」の企業は、利潤を最大化するために、「貧しくて恵まれないB国」に工場を作り、労働者を雇用する。

「貧しくて恵まれない
B国」の企業は、自分たちの生活水準を上げるために、「豊かで恵まれたA国」から仕事をもらい、必死になって働く。

人件費が割高な「
A国」から、人件費が割安な「B国」に仕事が流れた結果、

A国の労働者の仕事はB国に奪われるため、仕事が減り、生活水準も下がる。

B国の労働者の仕事はA国から奪うため、仕事が増え、生活水準も上がる。


したがって、

(「豊かで恵まれた
A国」 + 「貧しくて恵まれないB国」) ÷ グローバル化

のように表現できるだろう。


グローバル化とは、割高な
A国と割安なB国が平均に向かって収斂していく、壮大な世界規模の裁定取引ということになるだろうか。




それは、国境・言語・文化の壁を越えて、すべての労働者の能力は、すべての国の、すべての地域で均一化することが要求され、
すべての人間は、同じ賃金で同じマニュアルを見ながら同じ結果を出すことが要求される。

また、年齢・性別・国籍・生い立ち・肌の色は違えども、個体間の誤差(個性)は是正され、強制的に均一化されていく。

これはまるで、巨大なコンビニやファーストフードのチェーン店のようではないか...
 

「自分の生産物の販路をたえず拡張していく必要性にうながされて、ブルジョアジーは全地球上を駆けまわる。彼らはどこにでも腰をおろし、どこにでも住みつき、どこにでも結びつきをつくらなければならない。 ―省略― 古来の民族的な産業は滅ぼされてしまい、なおも日々に滅ぼされていく。それらの民族的な産業は新しい産業によっておしのけられ、これらのあたらしい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活問題になる。それはもはや国内の原料ではなくて、はるか遠い地域で産出される原料を加工する産業であり、これら産業の製品は、自国内だけではなく、同時にあらゆる大陸で消費される。国産品で充足されていた昔の欲望に代わって、はるかに遠い国や地域の産物でなければ満たされない新しい欲望が現れてくる」

「共産党宣言『マルクス=エンゲルス全集』第
4巻」より


グローバル社会を冷静に眺めてみると、すでに多国籍企業や金融経済は世界地図から国境線を消しており、世界は均衡点に向かって収斂し始めている。

かつて、マルクスが予見した資本主義の未来は、グローバル社会そのものに見えるのは気のせいか――。 




【グローバル社会と日本経済の未来について思うこと】


21世紀はグローバル社会、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて相互に行き来する時代。


たしか小学校
4年生くらいだったと思う(だから1992年くらいかな)、

社会科の授業で、「近い将来、中国が巨大経済大国になる」、「
NIESASEANと言った新興諸国(発展途上国)が経済発展を遂げて日本は追い越されてしまうかもしれない」みたいな事を先生が真顔で言っていたのを思い出す。

 

私は笑いながら言い返した。

 

「そんなバカな、中国ってチャリンコ乗ってる人しかいないじゃないですか。東南アジアってエビとかしか特産品がないじゃないか」、と。



あれから
20余年が経った。

あの頃とは、すっかり世界が変わってしまった
...



中国は
2010年にGDPで日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に発展を遂げた。


NIESは、韓国を例にとればSAMSUNGLG電子などの企業が輸出額を伸ばし、日本の家電メーカーに甚大なダメージを与えた(NECの株価が98円を付けたときは株価ボード眺めながらマジで泣きそうになった)。

かつて、「東を見よ、日本を見習え!」と当時のマハティール首相がルックイースト政策を掲げた
ASEANの一角であるインドネシアは、今やIT起業家たちにとって、オフショア開発の重要な拠点となりつつある。

そして、香港・シンガポール。

都市国家という属性を持つこれらの国家は、自国で輸出資源を持たないため、世界中から優秀な頭脳という人的資源を輸入、アジアの金融センターというサービス財を輸出し、外貨を獲得するというビジネスモデルを構築していった。

ビジネススクールの設立を積極的に誘致し、そこで
MBAを取得した学生に就労ビザを付与し、国内で引き続き働いてもらい、国家の発展に寄与してもらう。まさに都市国家ならではの国家戦略だなと驚くばかりだ。

今や、香港とシンガポールは多国籍企業にとって、アジアの最重要拠点となり、東京の地位は相対的に低下してしまった。

また、かつては、世界の
3大証券取引所といえば、東京(アジア)・ロンドン(ヨーロッパ)・ニューヨーク(アメリカ)であったが、今や香港・シンガポール(アジア)にその座を明け渡してしまったように思う。


一方、日本を見てみると、

出生率の低下と医療制度の発達による少子高齢化社会の到来、それによる労働人口の減少、さらに労働人口の減少と増加する高齢者のアンバランスな比率が引き起こす年金問題など、様々な課題に直面している(まぁどこの国でも厄介な問題はあるんだけど...)。

たしかに、
1980年代後半のようなバブルの時代は、株を買って長期保有しているだけで含み益が出た時代もあった。

どこまでも続く一方通行の上昇相場。

その波にうまく乗ることができれば、テクニカル分析の教科書どおり売買シグナルに従って売買をするだけで、極端な話、誰がやっても面白いくらいに利益を上げられる相場だ。まぁ数年ごとにこういう相場がある。

しかし、
2020年の東京オリンピックが終わった後の日本の成長戦略を考えると、私は個人的に日本の株式市場全体が緩やかに下降していくような気がしてならない。長期戦略が読み取れないのだ[1]。また、外国人投資家の日本株に対する興味も低下し、取引高が減少していくように思う[2]


日本という国は、そもそも発展途上国から資源を調達して、それらを加工して製品を作り、それに付加価値をつけて先進国に売る、すなわち「世界の工場」になることによって、サヤ取りを行い、外貨を獲得してきた国家だ。

いわゆる「加工貿易」というビジネスモデルによって、経済を発展させてきた経緯がある。

しかし、
1973年の変動相場制の導入以来ドル円のチャートを眺めると年々、少しずつ円高が進行していることがわかる(最近は円安になっているけど。どこまで持つのかな?[3])。[4]




円高になると何が起こるかというと、モノを海外に売る時に、粗利率が減ってしまうこと、そして相対的に通貨安の国家と勝負したときに、価格競争で負けてしまうことだ。

そこで経営者は次のように考える。

「安く人件費を調達するために、円と比較して相対的に通貨安の国に工場を作ってモノ作りをすれば、原価を抑えて粗利を増やすことができるようになる」、と。

すなわちそれは、日本国内の工場が閉鎖され、そこで働く労働者の人たちが就業機会を失うことを意味する。言い換えれば、「失業輸入国」・「雇用輸出国」になってしまうということだ。

今の日本人の平均所得が年々下がり続けているのは、グローバル化により、「失業輸入国」になってしまい、圧倒的多数の労働者の仕事が奪われたことで、労働力が割高になってしまったことが一因だろう。

また、その一方で、年々所得格差が広がっていくのは、グローバル化により、「雇用輸出国」になったことで割安な労働力を使って利潤を増やした資本家が増えたことが一因だろう。

東京の街を歩いていると、昔と比べて、いわゆる「中流」という人たちが減っているのを感じる。


世界規模で見ると、社会は均衡に向かって収斂していく。

国家規模で見ると、社会は平均から乖離し、二極化していく。

何とも不思議なねじれ現象。

富める者と貧しき者、もはやグローバル化は遠い世界の物語ではないのだ。


残念ながら将来、日本が「モノづくり国家」として再び世界の工場の地位を取り戻すことは難しいだろう。さらにこれから先、予想される人口減少は、国内のマーケットの縮小をもたらすことになるだろう。

日本の企業は(内需産業も含めて)、国境・言語・文化の壁を越えて世界を相手に販路を拡大し、商売をしていくということを、もっと当然のごとく考えていかなければならないと思うのだ。


アメリカはかつてモノ作り国家であったが、今はその国家戦略を知的財産輸出国家にシフトしている。

特許権や商標権、著作権などのライセンサーとなり、
OEM契約(委託生産)によってライセンシーであるNIESASEAN国家の工場でモノ作りを進めさせ、そのまま海外へ売ってライセンス料という名目で利益を得る。

そのようにして、アメリカという国家は、自国にヘッドオフィスを構えながら
[5]、遠隔操作によって遠く離れた諸外国からライセンス収益を得るビジネスモデルを構築させ、多くの多国籍企業を育んできた。


幸いにも、日本には多くの素晴らしい技術力を持った企業が数多くあり、そこで働く優秀な人材がたくさんいる。

そう、名前もあまり知られることなく、業務の成果が適正に評価されず、定年間際に子会社への片道切符を受け取ることになるであろう旧態依然の仕組みの中に埋もれてしまっている優秀な人材が。

そういった人たちを掘り起し、彼ら(彼女ら)を登用し、社内ベンチャーなどの仕組み作りをもっともっと活発に推進し、民間レベルでの構造改革を進めていかなければならないと思うのだ。

 

 

こんな言葉があったと思う。
 

「最も強いものや最も賢いものが生き残るのではない。

最も変化に敏感なものが生き残るのだ
[6]

 
生物の進化法則の中にも、企業存続の条件も見出せるのではないだろうか。


日本の政治家や企業幹部の方々が、柔軟な発想力を持ち、優秀な人材を活用して、時代の変化に取り組んでくださるよう心から願いつつ...



[1] 個人的に、メタンハイドレイトの採掘や再生可能エネルギーの活用には大いに期待している。

[2] 私は経済音痴の短期トレーダーなので、長期予想はあまり当てにしないでほしい...
[3] 現在の円安になっている原因が、①「原発停止→火力発電フル稼働→化石燃料の輸入量増大→貿易赤字の発生⇒円安」にあるとすれば、原発再稼働を転換点として、「化石燃料の輸入量減少⇒円高」となるだろうか。また、②「日銀による金融緩和→インフレ率2%上昇目標→2年後の達成⇒円安」にあるとすれば、2年後(つまり来年2014年の1112月頃)の金融緩和政策(継続⇒円安、中止⇒円高)が転換点になると考えられるだろうか。
[4] 赤:1973年の変動相場制導入後のドル円チャート、アメリカがいかにドルの通貨発行量増やしまくっているかがわかるだろうか...
[5] 実際には、本社所在地をタックスヘイブン(租税回避地)に登記して、税率をコントロールしている企業が多い。
[6] 出典は「ダーウィンの進化論」ではないようだ。

愛と憎しみの振り子


男女の仲は難しい。異性の取り扱いは永遠のテーマだと思う。

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画像:「A Future Without War


「愛」と「憎しみ」は表裏一体の関係だ。

愛が深ければ深いほど、憎しみも深いものになる。

一方に振れた振り子は、他方にも同じ振れ幅の作用をもたらす。

しかし、愛の方向に振れた振り子は、それ以上に憎しみに振れることがある。



*****


かつて、友人
がフラれた。

もう数年前の出来事だ。


彼は当時、就職浪人をしていて、将来は結婚まで考えていた恋人
がいた。

就職活動が忙しくてなかなか会えないけど、これも彼女のため。

資格を取るために必死に学校に通う、これも彼女との将来の生活のため。

ところが女性のほうは、飲み会で知り合った商社マンの男性と知り合い、
やがて二人は恋に堕ちた。

そして友人は捨てられた
...


「くそー見返してやる!今に見てろよ!」

負のエネルギーというのは本当に恐ろしいもので、
彼は人が変わったように人生を仕事に捧げて懸命に働いた。

彼は転職市場で自らの市場価格を吊り上げ、日系証券会社→外資系投資銀行→マクロ系ヘッジファンドへと超短期間で自らの労働力を転売し、ビジネスマンとしてのキャリアを積み上げた(らしい)。

現在は退職して、不動産投資会社のオーナーをやっているそうだ。



先日、数年ぶりに電話がかかってきた。


「あの日の事覚えてるか?オレが泣いた日のこと
......」

「もちろんだよ。まさか!まだ根に持ってるのか?(笑)」

「そうじゃないんだ。復縁の要請があって困ってるんだ(笑)」

「ほぉ
......



要点をまとめると、


現在、婚約中の恋人がいる



かつての女性とはもう関わりたくない



いかに自分が身勝手な要求をしているか代わりに説明してやってくれないか?


ということだ。


おかげで、「かつての筆頭株主様」に電話をかけさせられるハメになった。

これはマジでめんどくさい業務委託だ(笑)



プルルルル。。。

「もしもし、
かつての筆頭株主様かな?

時間の無駄なのでわかりやすく要点だけお話しするよ。

君はかつて
A という銘柄を保有していた。

正確に言えば、
Aという「当時」は投資家Bから適切に評価されていない割安株のコールオプション(ストックオプション)を全株保有していた。

ところが権利行使前に見切りをつけて、「将来値上がりした場合に受け取ることができる権利」を自ら放棄した。

今、君は保有していないコールオプションのキャピタルゲイン(売却益)を狙って、かつて見切りをつけた権利を取り戻そうと必死だ。

キャピタルゲインを享受できる資格を持つ人間は、「現時点」でオプションを保有している投資家だけだ。

まぁ簡単に言えば、「現時点」で株主名簿に君の名前はない。

よって、君はキャピタルゲインの恩恵にあずかることはできない。

以上だ、言いたいことわかるな?」



「もういいわ、ガチャ!」




わずか
3分足らずで電話を切られた。

要点が的確に伝わったようだ(笑)


このことを友人
に話したら、 大笑いされたが......

。_(_△_)ノ彡☆




「歴史に 
" i f は無い」と言われる。



「もしもあの時、別のパートナーを選んでいたなら、今頃は違う人生だったかもしれない」

逃がした魚はあまりにも大きかった
......

誰だって一度や二度、そんな経験があるだろう。


人間というのは何がきっかけで株価が暴騰するかわからない。

適切に評価されていない潜在価値を持った優良銘柄を見つけるのは本当に難しい。


この話の感動的なところは、


恋人に捨てられた惨めな就職浪人男 < 商社マンに乗り換えた尻軽女

いう劣勢ポジションから一転して、

悠々自適な不動産投資家
 > 売却時の価格で買い戻しを目論む投資家

いうマウントポジションに形勢が大逆転したことにある。



何と見事な下克上だろうか! 


あまりにも恍惚としたメシウマ感のせいで、 電話中に思わず○○してしまいそうになったではないか(笑)


おかげで、自称Mの私でさえも、サディスティックな快感を覚えてしまったようだ。



友人には、「君のおかげで今は幸せに暮らしているよ、感謝するよ」
くらいの皮肉の1つでも言って欲しかったのだが。


私の性格がクズだからなのか......



まぁ、お幸せに!
 

213


『愛の反対は憎しみではなく、無関心です』

マザー・テレサ



友人にとって、

「愛」の反対は「憎しみ」ではなく、

いつしか「無関心」に変わったようだ。

実体空間と電子空間

  

去る1114日のこと。

民主党の野田政権が
衆議院を解散し、12月に総選挙を行うと発表があった。


遂に来たーーー!


自民党側は
ここぞとばかりにデフレ脱却を目指すと発言した。


解散総選挙では、自民党が圧勝し第
2次安部政権が誕生するだろう。

いわゆる「アベノミクス」というやつだ。


まぁ、ほぼ確実だろう。


私は今、シンガポールでこのニュースを聞いている。

私の財布の中には、シンガポールドルが入っている。

ふと脳裏に
98年のアジア通貨危機がよぎった。


ここ数日間、私の財布の中の通貨価値が突然暴騰している。


そう、私は今この瞬間、アジア通貨危機の真逆の現象の真っただ中にいる。

何とも不思議な感覚だ
...(笑)


普段モニター画面の前で取引していても、この感覚はなかなか理解できるものではない。

社会は決して
2次元の世界だけで成り立っているものではないことを身を以て実感している。


日本経済はとうとうデフレから脱却できるのか?


インフレが起こった場合、もっとも得をするのは通貨価値が下がるのを望んでいる人間だ。

つまり、大量の借金を抱えている人間=日本政府ということになる。

おそらく、これがラストチャンスだろう。


これから安部政権は、大きな勝負に出るはずだ。

今の日本政府の抱える莫大な借金を返すためには、

①インフレを起こし借金の返済負担を減らす
 

②増税して返済に充てる資金源を確保する

上記の
2点しかない(他にも方法あるのかな...)。



消費税は確実に
5%から8%に上げるだろう。

そしてゆくゆくは
10%へと。

(うまい棒が
11円になっちゃうよー



連続的に金融緩和を実行すれば、一方通行的に相場が上がって行くのだろうか?

一方通行的に相場が上がって行くのだろうか?

一方通行で?

ホントに? 


今の日本のマーケットはファンダメンタルによる期待感で株価がどんどん騰がっている。

こうなると、テクニカル分析が全く機能しない。

強烈な上げ相場到来、パラダイムシフトの予感だ。


金融緩和によって、


水(金)の量を増やす。



水面(株価)が上がる。



水(金)の量をさらに増やす。



水面(株価)がさらに上がる。



年末に書店を覗いてみてほしい、

日経平均
20,000円説、30,000円説の書籍が店頭に平積みになっているだろう。


ただ、忘れてはならないことが
1つだけある。

買いが買いを呼ぶ相場、
信用取引の期限は6か月だ。

まだ数日しか経っていないが、
今、市場参加者が増えて急激にマーケットに資金を投下するとどうなるか考えてみてほしい。



今日から
6か月後は2013年の519日だ。

20121114日 半年後→ 2013514

20121115日 半年後→ 2013515

20121116日 半年後→ 2013516


アベノミクスは、現段階で何も成果を上げていない(そもそもまだ誕生していないが)。

あくまでも期待感から買われているだけだ。

1か月後、2か月後は調整が入らずに上がって行くだろうけれども、3か月後くらいにいったん調整が入るのかな。

さてさて。

先週、今週、株式や外貨を買った人物は、
果たして2か月後3か月後に手仕舞うだろうか?

人間とは自分にとって都合のよい解釈をする生き物だ。

まだ上がる、まだ上がる。

信用期限を迎える
6か月後が怖いと思うのは私がチキンだからか。


データ分析が得意な方がいれば、
過去の強いトレンドが出た半年後に何が起きたかを検証してみてほしい。

また、「どこで出来高が
急激に増えたか」も併せてチェックするとよいだろう。

いずれ彼らは利益確定をする日が来るからね。 



ジャングルで二人の男が虎に遭遇した。

ひとりは一目散に駆け出した。
それを見たもうひとりは

「ムダな真似はするな。虎と駆けっこして、勝てるわけないだろう?」

もう一人の男は振り返りながら言った。

「そうじゃない、俺はお前より速く逃げようとしているだけだ。

なぜなら虎は一番弱い相手を餌食にするからさ」



せっかくなので、さらに付け加えておくと、


おそらく円安が進行する(と思う)



そうなると資源価格・燃料価格が高騰する。



製造物の原価が上がる。



商品価格に上乗せされる。



おまけに消費税が上がる。



増税分が商品価格に上乗せされる。



さてさて。

景気は本当に回復するのかな?


物の価格が上がってインフレになったとして、
企業は果たして人件費を上げてくれるだろうか?

インフレの正体が「円安による資源価格高騰分の上乗せ」と、
「消費増税分の上乗せ」というオチではないのか?

そうだとすると、アベノミクスの本質は「消費税を上げる」ための名目に過ぎなかったいう笑えない話になる。


物価が下落し、所得も下落する → デフレーション



物価が上昇し、所得も上昇する → インフレーション


ならいいけど、


物価が上昇し、所得は下落する
    → スタグフレーション


結果的に、スタグフレーションになりそうな気がするのは私だけだろうか?


企業側は、金融緩和はいつまでも続かない一時的な刺激策だと考えれば、
人件費を上げずに内部留保にまわすだけの結果になるのではないのか?


金融緩和をやめる



水面(株価)が下がる



人件費が横ばいまたは下がる



でも、消費税率は下げずにそのまま

(かつてデフレになっても消費税は下がらなかったことは承知のとおり)



増税を嫌がる富裕層は海外へ逃げ出す


納税者が減る



残った納税者で税金を負担する



残った納税者の負担が増える
 



これ、最後どうやって終わらせるつもりなんだろう?



※殴り書き失礼しました。

私はマクロ型のトレーダーではないから突っ込みは入れないように
...

モニター画面の外もきちんと見ないと感覚がおかしくなりますね。

なお、上昇方向に確信が持てず、両建てポジション
を組んだものの、12月限の85プットを大量ロスカットしたのはここだけの話...

集中と分散

19987月、スイス・ジュネーブ。国境を超えた隣国のフランスではサッカーのワールドカップが開催され、大変な盛り上がりを見せていた。

時代背景を説明すると、翌99年の欧州統合通貨(ユーロ)の発足に向けてヨーロッパ諸国が足並みを揃えていた頃の話だ。

ジュネーブには、いわゆるプライベートバンクと呼ばれる富裕層専門の銀行が立ち並ぶ金融街がある。私は、銀行の扉の向こう側に1度だけ足を踏み入れる機会があった(友人の祖父に連れて行ってもらっただけだが)。

銀行の中はカウンターが完全個室になっていて、そこでバンカーとのやり取りが行われていた。

「キャッシュ比率はこのくらいで、クーポン債がこういう比率で5年後にこれとこれが償還になって、償還予定の金額がいくらくらいで、この償還予定金額を株式で運用して...

0のケタがあまりにも大きすぎて私には理解不能だったが、大人になってから、「仕組み債」の商品のようにポートフォリオを設計していたようだということがわかった。

私は非常に気になったので質問した、「何でわざわざこんな面倒くさいことしているんですか?」、と。

担当バンカーの方と友人の祖父から全く同じ答えが返ってきた、

「世界中、いつ、どこで戦争やテロ、災害などがあるかわからないから、いろいろな商品や地域に分散して資産を守っているんだよ。万が一、どれかの資産価値が0になっても、どれかが生き延びれば全部の資産は失われずに済むからね。これはリスクヘッジと言う考え方なんだ。株式と債券、それぞれの地域の通貨も違う値動きをするから、うまくブレンドして組み合わせるとプロテクトが効くんだよ」。

さらに...

「そうそう、スイスが永世中立国でいられるのも同じようにプロテクト機能を効かせているからこそなんだ。この国にはボーディングスクールがたくさんあって、世界中から政治家や実業家など有力者の子どもたちを集めて教育をしているんだ。だから子どもたちを担保(人質)にすることで、この国にはどこの国も攻撃できない仕組みになっているんだよ。なかなかのリスクヘッジだろ?」。

何とも!

政治的な話はここではしない。

とりあえず当時16歳の私にわかったのは、「お金持ちは世界中のいろいろな商品に分散して投資を行っている」ということ、もう1 つは「目の前の老人を誘拐したら身代金がたくさん取れる」ということだった(笑)
 

それから約5年後。

学生投資家になった私は、異なる2つの考え方に出会った。

1つは、20039月(当時21歳の時)に訪れたアメリカ・ラスベガスでの出来事。

ホテルLUXORのカジノで同席したユダヤ系の個人投資家の方が、ルーレットの赤と黒のボードの上にせっせとチップを乗せている光景を見て、あの日の記憶が甦った(いわゆるアウトサイドベット)。まさかと思って理由を尋ねてみることにした。

彼は私にこう言った、
 

「長くゲームを続けるコツは分散することだよ」


ユダヤ系の特徴は、一か所に資産を留めておくよりも、できるだけ多くの国や地域、株式や債券など複数の金融商品に分散して投資する傾向がある。これは彼らの思想の原点である「タルムード」にも書かれている(「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言はここから来ている)。

ユダヤ人の悲しい歴史を考えれば、バビロン捕囚以来、祖国を追放された彼らには、しぶとく生き延びるためのDNA が深く刻み込まれているようだ。

彼らは、子弟教育に関しても、一人はアメリカへ、一人はヨーロッパへ、もう一人はアジアへと、分散して子どもたちを留学させる傾向がある。

 「誰かが死んでも誰かが生き延びれば次の世代へとDNAを継承することができる」、何とも合理的な考え方だ。 

『お金持ちには「子ども」はいない、「相続人」がいるだけ』

タルムードの言葉だ。


もう
1つは、20047月(当時22 歳の時)に訪れた香港での出来事。東シナ海上空で発生した台風の乱気流の中を、天空の城ラピュタのパズー少年のごとく飛行機が突入して行った記憶がある。本当に死ぬかと思った。

幸運にも、香港を代表する個人投資家の方の誕生日会に出席させていただける機会があり、数日後、彼のディーリングルームに招待していただいた時の事。

私はそこで信じられない衝撃的な光景を見た。

おそらく私の生涯で忘れることはないだろう。

その御仁は、証券会社のOBをアナリストとして雇用し、たしか4050銘柄くらいの銘柄を絞りに絞って、わずか2銘柄に莫大な資金を集中投資していたのだ。

私は恐る恐る質問した、「この投資方法は個別株に2つしか分散していませんよね?これって予測がはずれたら莫大な損失になりますよね?この投資方法はハイリスクハイリターンではないんですか?大変失礼ですがポートフォリオってご存知ですか?」

ただちに反論が返ってきた。

「バカ者!分散して投資するのは、自分の選択した銘柄に自信を持っていないからだろ?そんな中途半端な意思決定では投資は絶対にうまく行くわけがない。こっちは経営者の素性から企業の主力商品、業績、市場の占有シェアに至るまで、収集できる情報は全部集めさせて徹底的に分析しているんだ、わかるか?やると決めた以上は徹底的にやるんだ、投資は遊びじゃないんだよ!」。

私は疑問に思って質問しただけなのに、なぜか延々と説教を喰らってしまった...

華僑系の特徴は、戦争で言えば人的資源・物的資源を1 箇所に集中する「局地戦」のように、大金を1箇所に集中して投資する傾向が強いように思う(ルーレットで言えばストレートアップベット、1つの数字に賭ける行為)。

これは投資にかぎらず商売にもその傾向が強いように思う。

商売で稼いだ利益は株式や不動産などの不労所得で増やし、不労所得だけで生活できる水準に達した後でも、彼らは自分が選んだ商売そのものに一切手抜きをしない。

なお、子弟教育だけは分散させているようだ。


言葉足らずなので誤解のないように書くが、「○○系がこういう考え方である」というステレオタイプ的な見方や偏見ではなくて、あれから約
10年が経ち、その後、私が実際にお会いした方々は、思い出せるかぎり上記のような考え方をする傾向が強かったように思う。

あくまでも私の実体験での話だが...

 「ユダヤ系」と「華僑系」、どちらも祖国を離れて異国で暮らすディアスポラ(離散の民)だが、考え方が真逆だったことが、当時の私にとっては非常に新鮮だった。

この両者は、書籍等には商売上手のイメージで描かれているが、少なくとも私の経験上、考え方については真逆の傾向がある。

なお、イスラエル出身のユダヤ人はお世辞にも商売上手とは思えない(笑)


投資を始めた頃に出会った
2つの異なる考え方。

どちらも一理あって正しい考え方だと思う。

ただし教科書的に言えば、

ユダヤ系の個人投資家の方の考え方は、「期待収益率」の観点からすれば間違った考え方であり、

華僑系の個人投資家の方の考え方は、「リスク分散」の観点からすれば間違った考え方ということになる。

私は、

世の中には絶対の正解は存在しない

どんな考え方にも長所と短所が存在する

ということを、身を以て体験させていただいた。

さらには、十分に分散する資金があるお金持ちであっても、必ずしも全員が分散投資をしているわけではないという事実があることがわかった。

私は、ジュネーブでの経験から、「お金持ち=分散投資をしてリスクヘッジをする」ものだとばかり思っていたので、香港での出来事は衝撃的だった。

一方はギャンブル、もう一方は金融取引。

ラスベガスと香港の話は、同じ土俵で比べていないので相対比較ができるものではないのだが、投資を始めた頃、2つの場所で「全く異なる考え方」に出会った。


私はいろいろ考えた結果、「ゲームを長く続ける」というユダヤ系の個人投資家の方のベット(賭け)の仕方を参考にすることにした。

こちらの考え方を選んだ最大の理由は、単に私の価値観の問題だ。

おそらく私の価値観は16歳の時の経験が強烈に脳に刷り込まれてしまっていたのだと思う。

「増やす」よりも「減らさないように」投資するという考え方そのもの』が、結局のところ、ゲームを長く続けるコツだと思っている。

時々、ふとあの頃を思い出していろいろ考えるのだが、職業として金融取引をするようになった今でも、どちらに優位性があるのかは正直言って未だにわからない。

「集中」と「分散」、どちらも一理あると思う。
 

世の中には絶対の正解はない。

3.11東日本大震災


少し気持ちが落ち着いたので書き残しておく。


先週末の
3111446分、

三陸沖を震源としたマグニチュード
9.0という未曾有の大震災が東日本を襲った。




(2013.11.24追加)

私たち市場関係者にとって3月の第2金曜日というのは、先物市場のメジャーSQと呼ばれる特別精算日を迎えるまさにその日だった。

実は、前日に食中毒で入院して家に帰ったのが
14:30頃。

朝の速報データによれば、日経
225先物のSQ価格は10.286.48円。

相変わらずパッとしない数字だな
...

ベッドでボーっとしながらモニター画面を眺めていた。


1447、間もなく東京のマーケットがクローズする時間だ。


突然、
PCのタスクトレイに起動させていた地震計のアラームが部屋中に響き、ポップアップが表示される。

 

最大震度5
マグニチュード
7.7
震源地:三陸沖

到達まであと53


と表示されていた。

地震域が拡大しながら台風の暴風域のように東京方面に向かって少しずつ近づいてくるのが見えた。


「はぁ、マジで
!?


一瞬、頭の中が真っ白になった。


電話して事実確認する時間がない。

どうしよう...


脳裏をよぎった。

「非常口確保」「ポジション決済」

どうしよう...


1448、少しずつ揺れが始まる、思ったより揺れが小さい。


正直言ってたいしたことない。


画面を見ると最大震度
5に変わっていた。


震源地が三陸沖... 海!?

沖合のプレートがズレた反動で海面が急激に跳ね上がれば、津波が来るかもしれない。

津波 → 幹線道路に被害 → 人間と物資の輸送経路が遮断 → 莫大な経済損失
...

どうしよう
...


ポジションを一括で
全て手仕舞うか、それともこのまま大きくカバードポジションを作って耐えるか。


あるいは、両建てご法度のロング
ポジションだけ手仕舞って、ショートポジションだけ残すか。

ダメだ
ダメだ、そんな器用なことしてる時間がない。


どうしよう...


せっかくの含み益が名残惜しいが、ポジションを一斉に手仕舞うことにした。



14:49、地震を感じてから40~1分秒後くらいの間に揺れが1段階、2段階とどんどん強くなる、人生で感じたことのない強い揺れだ。



いや、揺れというか、海のど真ん中で浮き袋に体を突っ込んで自分がグルグル回っているような不思議な感覚だった。

どうやら誤報ではなかったようだ。

揺れたり、物が落ちるのはともかく、天井と壁の間からギシギシと音が聞こえるのが恐怖だった。

震源地から300km以上も離れてこの揺れの強さ。


「これ、マジでやばいな
...

非常口確保、急いでドアを開けてストッパーを挟む。

やはり本能からか、人間いざとなったら無意識に自分の命を最優先に守るように
DNAにプログラミングされているらしい。

これでいつでも逃げられる。


手が
2本しかない、とりあえず自分の体を犠牲にしてPCを守るのに必死だ。

揺れがさらに
1段階強くなる、もう立っていられない。

PCの前にしがみつく、商売道具守らないと。

建物が倒壊したり天井が崩れて生き埋めになったらどうしよう...

「28歳で死ぬのかな...」

いや、死ぬことそのものよりも、

意識の存在しない世界がこれから果てしなく続くことを想像していたら、なんだか気が遠くなった
...



一瞬、モニター画面の先物TICKチャートが下落方向に振れているのが見えた。


早い、もう下がってるのか...」
自分も早く売らなきゃ...」
でも逃げなきゃ...」
だめだ、売らなきゃ...」
動けない、急がないと...」



1450、ようやく小康状態に入る。初動から2分くらい続いたと思う、とにかく揺れが長かった。



昨年末から
1万円台に乗せて少しずつ回復の兆しを見せていた日経平均株価だが、パニック売りと投機筋による空売り注文が殺到して週明けには1万円割れを起こすことは明らかだった。

下がることは確信した。問題はそんなに大きく下げないか。それとも大幅に下げるか。

大幅に下げなければ先物をショート、大幅に下げるならプット買い、注文出したら脱出準備、どっちかだ、どっちで行くか。

ポジションは手仕舞いしたから、どっちみちシングル(片張り)で下落方向にベット(賭け)することになる。

今日はメジャー
SQを迎えたばかり、4SQまで1ヵ月も残っている。

最悪
...ミスっても紙クズにはならないか、まだ1ヵ月あるし。

少し手が震える。揺れてるからか。


1451、あと9分しかない、どうしよう。

あー、どうしよう
...


「異常事態はファーアウト
の屑プット買い」、いざという時に使おうと頭ではわかっていたが、人間いざという時はパニックになるようだ。


「エイヤ!!



大暴落に賭けて、プットオプションの買い注文を入れることにした。

ボラティリティが急激に跳ね上がる(と思われる)局面ではこっちのほうが都合がいいと判断したからだ。

無我夢中だった。

ポジションはあえて
4月限95」~「80」の間をランダム買いとだけ書いておく。


我に帰ったら、
虚無感からか、自分のやっている事があまりにも滑稽過ぎて呆れたからか...

完全に力が抜けて床に座り込んだ。


地震速報画面

TVを付けてニュースを見ると、お台場の施工中のビルの屋上から出火して煙が立ち込める様子が中継されていた。

さすが技術大国日本、埋立地も崩れないし建物も倒壊していないようだ。

相変わらずのんきな性格だ。

窓の外を見ると、みんな立ち止まって空を見上げて固まっていた。

正直、この時点では、まさか数十分後に巨大津波が福島原発を襲うとは全く想像していなかった。


とりあえず、家族や関係者に電話。

でも、携帯電話が通じない。

どうなってんだよ!? 

メールを打つ、打ちまくる。 

誰からも返信がない。

ダメだ、連絡手段が
絶たれた。

駅前の公衆電話まで急いで走る。

長蛇の列で
30分くらい待たされた。

とりあえず、みんな無事らしい。

どこで何をやっていたのか聞かれる。



仕事してたよ
...



ロンドンマーケットがオープンしてから、モニター画面に映し出される日経
225先物価格が下落していく。

ドル円チャートを見ると、日本円が買戻しされている。いつも一瞬、判断に迷うところだ。どうして被災国の通貨が売られずに買われているのか?阪神大震災
も中越地震の過去データもそうだった。

きっと企業が海外資産の売却をして資金を確保するためなのだろう。保険会社も同様に、莫大な補償金の支払いが生じるのを見越して大量の資金
必要になるために早急に円転させる必要があるのだろう。


一方、
TV画面を見ると、そこには津波に人や車や家屋が流されていく地獄絵図が映し出されていた。

これは映画の世界ではない、東京からわずか
300km先で起こっている現実世界の映像だ。

ガソリンスタンドの重油が水に混じって発火したのか、海が赤く燃えていた。

いや、さっきまでここは海ではなかったか。

さっきまでここには人々がごく普通に生活を営んでいた場所だったはずだ
...

大自然の前では、人間とは何と無力な存在なんだろう
...


何だろう、涙が止まらなかった
... 





地震直後から、どこの
TV局も津波と原発の様子が中継されていて、何日経っても通常放送に戻らない。これは本当に異常事態だ。

それにしても、
ACの広告がしつこくて頭にくる。アナログ放送終了のお知らせが画面の幅を取りすぎててマジでウザい。

CNNBBCも津波の映像、海外メディアも取り上げてるのか。

そうか。まぁそうだろうな。

TVをまともに見なくなって何年も経つが、日本政府の「段取りの悪さ」と原発の状況悪化を「大丈夫です」と必死に弁明している御用学者の姿を醒めた目で見つつ、家でゴロゴロしながら週末を過ごした。

コンビニ行っても弁当が全部売り切れだ。

しょうがないからこの前スーパーで大量に買った缶づめでも食べることにした。

ときどき来る大きな余震で風呂に入るのも本当に怖かった。

揺れが長すぎて体の感覚がおかしくなってしまったのか、今も少し揺れてる感じだ。



週明け、東京マーケットは大幅な下落から始まった。そりゃそうだ、シカゴがクローズするまで先物がずっと下がってたんだから。
311日の終値が10,254円、314日の終値が9,620円。

そして翌
15日、前場引け後に菅首相が「原発が危ない」発言。あの声のトーンと顔の表情を見て多くの投資家は同じ事を感じたはずだ。

後場ではさらに暴落が加速し
8,605円で取引を終えた。


何とも皮肉な話だが、私にとってこの取引は、過去最高のリターンとなった



断っておくが、私はトレーダーだが、このブログはトレーダーのブログではない。

「私は
2日で10億円稼いだ」、「私は20億だ!」という浮ついた話なら、自己顕示欲が旺盛なブロガーさんがたくさんいるのでそちらを参照してほしい。


そうではなくて。


私がこの文章を書き残した意図は
2つある。


1つ目は、確率・統計を駆使しても必ずしも最適なパフォーマンスが出せるわけではないということ。

標準偏差を基に設計された金融工学のリスク管理モデル(いわゆる±σ
2)では95%の確率でうまく管理できるかもしれないが、残りの5%の事態には完全にお手上げだ。

おそらく、今回の大震災でプットオプションの売りポジションを建てていたトレーダーは相当の致命傷を負ったはずだ。

このブログを読んでいるあなたがトレーダーだったら、
951月の阪神・淡路大震災の時に、ニックリーソンが莫大な含み損を出して、イギリスの名門ベアリング商会が経営破たんに追い込まれたのを思い出してほしい。

金融取引の世界では、±σ
3ならまだしも、±σ4、±σ5といった異常事態が頻繁に起こりうる。

頭脳明晰な優等生が机の上の理屈で説明できるのはせいぜい
2割程度、8割は運や感覚に左右されることがあるということ。

想定外の事態はサンプル数が少ないため、たまたまベット(賭け)したポジションでは良くも悪くも偶然の発生確率は上がるということだ。

よって私の今回のパフォーマンスは「まぐれ」によるものであるということ。

これは自分への戒めでもある。


2つ目は、この出来事を風化させないため。

おそらく、この震災は
2年後、3年後、日本史の教科書に載るレベルの大惨事だろう。

もう一度言うが、このブログはトレーダーのブログではない。

1人の名もなき人間が想定外の事態に直面し、何を感じ、どう行動したかを記録したものだ。

この角度から今回の大震災を語ったブログは今のところ存在していないため、私が書くことにした。

私の祖父は既に他界したが、戦時中の体験を風化させないように次の世代に語り継いでいた。

だからそれを見習って、私も自分が見た角度から思い出せるかぎり書き残すことにした。

客観に基づく「事実」は
1つしか存在しないが、主観に基づく「真実」は人間の数だけ存在する。

被災者の方、救援者の方、電車に乗っていた方、
街を歩いていた方、いろんな方が自分の角度から見たこの「事実」に「真実」を加えながら書き残してほしいと思う。


記憶の傷跡に、記録し、そして語り伝えよ。




いつの日か
...




誰かが私の記事を偶然見つけて、何かを感じ取ってくれたら幸いだ。

想定外の事態に直面しても冷静な判断ができるように心がけてほしい。

もちろん私自身もだが。





最後に、


この度の想像を遥かに超える事態に直面し、私自身、言葉としてうまく表現できません。

もうすぐ桜の咲く季節がやって来ますが、東北の春の訪れは遅く、肌寒い夜が続いていると聞きます。

今も行方不明の方々並びにご遺族の方々、昼夜問わず必死に捜索活動に当たっている方々、
原発事故の対応に当たっている方々、公民館や体育館で十分な食料や寝具も配給されず辛い思いをされている方々...

みなさん、いろいろな立場で今、この瞬間を必死に生きていると思います。

私は、人権を
最大限に尊重しようと努めますし、自分以外の誰かの人生に対して、「最終的な意思決定」を強制することは決して許されるものではありません。


それでも
...

亡くなってしまった方々のためにも、私たちは強く生きなければならない責任があると思うのです。

無責任な発言であることは重々承知の上ではありますが、どうか
...

ご自身でその「責任を放棄すること」だけは思いとどまっていただきたい
...
 


寒い夜を過ごされているおじいちゃんおばあちゃん、
暖かい毛布を届けるので少しだけ時間をください。

食料が十分に確保できず、周囲の方々と分け合ってお腹を減らして困っている皆さん、
お腹いっぱいの食料を届けるので少しだけ時間をください。

赤ちゃんに十分に授乳させてあげられないお母さん、
栄養素の高いミルクを届けるので少しだけ時間をください。


そして、
 

学校が無くなって授業を受けられない子供たち、未来への長期投資です。

机と教科書を届けるので
少しだけ時間をください。

君たちが大きくなって、街を復興させるんだよ。

大人たちに任せても、どうせロクな事がないからね。 
 


テレビを付けて画面の向こう側の映像を見ると、胸が痛くなり、涙が止まらなくなります。


私も当事者である「日本人」として、被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。


この投稿内容は賛否両論あるかもしれませんが、
それでも、今、この瞬間...

生きている誰かが未来を生きる誰かのためにやらなければならない大切な仕事なのです。

私も自分にできることとして書き残すことにしました。


果たして、これが「正解」か「不正解」かは私にはわかりません。

それでも「柱の裏の落書き」として、こっそり
書き残すことにしました。


私一人ができることには限界がありますが、自分のできるかぎりのことをやります。

普段はどうしようもない人間ですが、今回は少しでも誰かの役に立ちたいと思います。

みんなで力を合わせて、明るい希望を未来につなげていきましょう。


がんばろうぜ、日本!


(2013.11.24追加)

行き過ぎた資本主義

 

「鳥はいいなぁ、どこまでも自由に飛んで行ける...



人類はかつて、
空を飛ぶことに憧れた。

やがて、
空を自由に飛べる技術を手に入れた人類は、さらに高く飛ぶことを夢見た。


そしてとうとう、人類は夢を叶えたのだ。

これで私たちはどこまでも高く、遠くまで飛んで行ける。


そしてある日、





燃料が切れた。




915日未明。

連邦倒産法第
11章の適用を申請し、リーマンブラザース社が破産した。


「もしもし、もしもし?

もしもーし?

全身鳥肌が立って、思わず携帯電話を落とした。


結局、アメリカ政府は
AIGを守ったわけだ。

Too big to fail...

救済資金
9兆円か...

そうか。


まぁそうか
...


日銀の定例市場報告を見ると、
デリバティブ取引の全体の残高(想定元本ベース)は、36.4兆ドルと記載されている。

いやいや、もっとあるだろ(笑)


リーマンブラザーズの取引残高が
7,000億米ドル超と言われているが(約70兆円≒日本の国家予算並み!?)、市場規模に対してはあまり影響がないと判断されたのだろうか?


一方で、


AIGCDS(クレジットデフォルトスワップ)の引き受けをしている。

これは簡単に言えば、オプション取引の売り手のことだ。

AIGは、債務不履行があった場合に債権者に対して無限責任の支払い義務を負っている。

CDSの発行残高が4,500~6,000兆円超とも言われているから、デリバティブ取引と比較すれば、こちらの市場規模のほうがはるかに大きい。


結局、
「守らなかったのか」「守れなかったのか」、私のような末端の金融マンにはわからない。



AIGを破綻させると、CDSという保険を契約している債権者はお金を回収できなくなる



債権者は世界中の金融機関だ



AIGを破綻させると、世界中の金融機関は代金を回収できず破綻する



世界中の金融機関が破綻すると、現在の
金融制度は維持できなくなる




リーマンブラザーズはレバレッジを掛けて運用しているイケイケの金融機関に過ぎないから、
そこまで大きな影響はないだろう



だからリーマンブラザーズを見捨てて、
AIG
を救済した


ということなのかな?



月曜日の朝、出社して端末を立ち上げたら、

カバーディール先一覧に、見慣れた「
Lehman Brothers, Inc.」の文字が見当たらなかった。


「本当に倒産したんだ。。。」


先日、六本木ヒルズにブラブラと散歩に出かけた。

ずんぐりとそびえ立つビルの前には巨大な
クモのオブジェクトが屋根のようになっていて、訪れる人たちは足の中をくぐってビルの中に吸い込まれて行く。

足元に「
Lehman Brothers, Inc.」と書かれた石碑がポツンと置かれたままだったのが印象的だった。


river

ゆく川の流れは絶えずして、
しかも、もとの水にあらず。

淀みに浮かぶうたかたは、
かつ消え、かつ結びて、
久しくとまりたるためしなし。

世の中にある人とすみかと、
またかくの如し。 

(鴨長明「方丈記」冒頭より)


A「ふぅー、だいぶ遠くまで来たな。やばいな、燃料持つかな。隣に飛んでる人がいるからちょっと頼んでみようか。すいませーん、燃料を少し貸してもらえませんか?ちゃんと借用書書きますから!着陸したら多めに返しますよ。私こういう者です。ほら、信用できるでしょ?」

B「おー、わかった。そのかわり私も遠くに行く予定だから足りなくなるかもしれない。そのときは少し返してほしい。燃料は今取り出せないから代わりにこの受渡書を先に渡しとくよ」

A「ありがとう、助かります。周りもたくさん同じこと考えてる人がいるからお互いに貸し合ってもっと高度を上げて行きましょう!この上昇気流に乗らないやつはバカですよ、バカ。」

B「それもそうだな!足りなくなったら他から借りて増やす方法があったのか!君はなかなか賢いやつだな」

A「レバレッジってやつですよ。この紙を書くことで無いはずのものを作り出せるんです!人類はすごい発明をしたものですよ。」



昔、経済は社会の血液のようなものだと教わった。

そうだとすれば、
心臓から流れ出た血液は動脈を通って、体中を巡りながら栄養素を運び、静脈を通って再び心臓に戻ってくる。

ここで、血液の量が突然消えると何が起こるのか考えてみてほしい。

人間はこのような状況に陥ると、生命力を維持することを最優先するように
DNAにプログラムされている。

すると、優先順位を決めて後回しにされた部分には血液が送られず、逆に戻すように命令される。

肌のキメが粗くなったり、髪の毛が抜け落ちるのは、生命維持のための優先順位が低く、栄養素の運搬が後回しにされるからだ。

血液が流れなくなると、栄養が行き渡らなくなり、細胞の活動は停止する。

やがて細胞は息絶える。



A「すごいな、100tまでしかつめないはずの燃料がいつの間にか3,000tに増えてるぞ!借用書さえ書けば、燃料は無限に増やせるんだ!これは偉大な発明だ!」

B「おい、そろそろ燃料返してくれ。」

A「おー、必要になりましたか、あなたもだいぶ遠くまで来ましたね。今、用意しますよ。あれ、あと5tしかない、というかこっちも燃料が足りないかもしれないな、まずいぞ。おっかしいな、CさんDさんEさんたちからも100tずつ借りてたくさんあるはずなのに。モニター画面には3000tも残ってるし。Bさんごめんよ、モニター画面上にあるはずの燃料がどういうわけかタンクにないみたいなんだ。悪いけど他の人から調達してください。私は受渡書しかないので。それではごきげんよう。」

B「バカな?借用書ちゃんとあるんだぞ。こんな紙いらないからさっさと燃料返せよ。CDも同じこと言われて困ってるんだよ。地上のEに電話して用意してもらえ、早くしろ!」

AB「~というわけなんだ」

E「無理ですよ、あなたたちのいる場所は遠すぎて運べません。お言葉ですが、燃料なんて最初から存在しなかったんですよ。あなたは100tしか積めないジェット機を打ち上げて周りに借用書を書いて3,000tまで燃料を増やした。いや、正確に言えば増やしたことにした。でもそんなもの最初から存在しなかったんだ。
100tしか積めない燃料タンクのどこに30倍以上の燃料を積めるというのでしょうか。Bさんもそうですよ。あなたは100tしか積めないはずの燃料タンクを満タンにして飛び立ちました。Aさんに100t貸して、Cさんにも100tDさんにも100tBさんは100tしか持ってなかった、自分で100t消費したので差引マイナス300tだ。Bさんの燃料タンクの大きさはそのままです。この意味わかりますか?」


A「それもそうだな、Bさんそういうわけなんだ」

B「なるほど、私たちはうっかり計算ミスをしてしまったようだな」



これから数年後、何が起きるのだろうか。



資本主義というジェット機は高く遠くまで飛び過ぎてしまった。

もうすぐ、燃料切れを起こしたジェット機の群れが一斉に地上に墜落を始める。

墜落するときに緩衝材を敷いておかないと、
ダイレクトに地面に叩きつけられる。

いや、それだけでは済まず、地下の奥深くまでめり込むだろう。

そして、地上に巨大な亀裂が入り、やがてどこかで止まる。

どこか、まではさすがに私には想像できないが
...



景気はあがるときもあれば下がるときもある。

あがったものは下がり、下がったものはあがる。

底なし沼ではない。必ずどこかで止まる。



昔、経済は社会の血液のようなものだと教わった。

血液の循環を止めて一度だけ、じっくりと立ち止まって考える時間があればいいのだろうが、

資本主義の宿命は立ち止まって考えることが許されないのだ。


農家のヒトが小麦を作るのをやめてしまう



小麦がないとパンを作る材料がなくなる



材料がないと、パン屋さんはパンを作れなくなる



パンがないと私たちは食べるものがなくなる



食べるものがなくなると人々は残ったパンを奪い合って戦争になる



やがてパンはなくなり、人々は絶滅する




これから先、どれだけの致命傷を負っても、
地上の亀裂は完治する間もなく歩き続けなければならない。

資本主義の悲しい宿命だ。

立ち止まって考える時間はないのだ。


では、どうなるのか。


無理がたたって、いずれまた同じことを繰り返すだろう。


おそらく、一般論からすれば、

アメリカの株価が大暴落し、日本の株価も連動して大暴落する(と思う)。

アメリカドルの価値が暴落し、日本円の価値が上がる(と思う)。

これは決して日本円が強いというわけではなくて、相対的にアメリカドルの価値が弱くなるからだ。

日本円が強くなるということは、向かい風をもろに受ける輸出関連株を筆頭にやはり日本株は大暴落する(と思う)。

ということでやっぱり日本株は大暴落する(と思う)。

こんな感じだろうか(諸事情により断定表現は控える)。


すでに暴落が始まっているが、どこまで落ちるか想像できない。

現時点で株を持っている投資家の方は今のうちにロスカットしてポジションを直ちに決済するか、ファーアウトの屑プット(プットオプション)でも大量に買っといたほうがいいかもしれない。

プットオプションというのは先に述べた保険商品のようなもので、不幸な出来事が起こったときに受け取れる宝くじのような商品だ。もっとも掛け捨てなので、満期日には紙くずになる可能性もあるが。

ボラティリティ(相場変動率)が急激に跳ね上がる(と思われる)現在のような局面では、屑プットが緩衝材の役割を果たすことで、ポジション全体の受ける衝撃波をうまくカバー(ヘッジ)できるかもしれない。

あくまでも投資は自己責任で、だが。


たいしてこのブログ、アクセスないけど。。。



以前も書いたと思うが、今は国際化社会ではなくてグローバル社会だ。



ウォール街の金融マンたちは、浴槽にオーバーブローするほどの大量の水を注ぎ込み、こぼれないように張りぼての囲いを作り、さらに何倍、何十倍もの水を入れられる仕組みを作った。

高速に墜落して来るジェット機の群れが地上に衝突した瞬間に風呂の栓が抜けてしまうと、世界中の水は栓に向かって一斉に流れ出し、やがて消えて行くだろう。

さらに地上への衝突エネルギーの反動が大きすぎて、無理やり作った張りぼての囲いは津波によって崩壊するだろう。



お金が消える、でもお金は必要だ。

お金を用意するために、先進国は新興国から資金を引き揚げるだろう。

新興国も株価が暴落する。

なんとも悪循環ではないか。


最後になるが、今や実体経済と金融経済は主従関係が完全に逆転してしまった。

実体経済は金融経済に完全に引き連られてしまっている。

地震にたとえれば、実体経済は初動の
P波が到達したに過ぎない。

実体経済は、時間をおいて少しずつ悪化し、やがて本震の
S波が到達するものと思われる。

少なくとも半年、
1年後には立派な大人たちが過去の足跡をたどって答え合わせをし始めるだろう。





もっとも、資本主義の仕組みが維持できていればの話だが
...

膨張する風船

 

嵐の予感だ。


先日参加した勉強会の内容をまとめてみたのでメモしておく。

友人を夜のディーリングに誘ったら、逆に連れて行かれてしまった次第だ。

なかなかの優良銘柄を揃えたというのに
...


しかしこの問題、調べれば調べるほど怖くなる。


*****


現在、金融市場では、「サブプライム」という言葉が話題になっている。

「サブプライム」とは、サブ(準)+プライム(優良顧客)、

つまり、

優良顧客と比べて返済能力が劣り債務不履行の可能性が高い低所得者

のことを指す。

また、「サブプライムローン」とは、「上記①②③の条件を満たすサブプライムに対して販売する変動金利商品

のことを言う。


1990年代後半、ITバブルに湧いていたアメリカ経済であったが、2000年初頭からバブルが弾け、翌2001年にかけてIT株を中心に株価が暴落を引き起こした。

こうした市場の混乱を抑制するために、
FRBは金融緩和措置を講じることになった。

その結果、
2つの現象が起こった。


・一方において、金利が低下してお金が借りやすくなった。
・他方において、株式市場や不動産市場の価格は上昇した。


このような状況で、住宅市場が活性化し、金融機関はプライム(優良顧客)にとどまらず、サブプライム(準優良顧客)にまで裾野を広げ、ローン対象者を拡大させていった。

住宅市場が活性化し、ローンを組む人が増えると

需要>供給

となり、不動産価格が上昇する。

不動産価格が上昇するということは、不動産担保価値が増えてサブプライムたちの与信枠が拡大する(もっとお金を借りられるようになるということ)。

「金利の低下」と「与信枠の拡大」という
2つの現象が組み合わさってサブプライムローンの貸し出し残高は爆発的に増加していった。


そういえば!

CNNを付けると、ブッシュ大統領が演説していたのを思い出した。


「アメリカは自由の国だ。かつて移民たちは無一文でこの国にやってきた。

それが今はどうだろう。

彼らは資本主義の恩恵を享受して自分の家を持つことができたのだ。

おまけに不動産価格の上昇により、住宅の担保価値が上がっている。

彼らは担保枠を活用してふかふかのベッドを手に入れた。

もうスラム街にダンボールを敷いて寝る生活とはおさらばだ。

これで夜は快適に眠ることができるようになったのだ。

庭を見てみよう。彼らは担保枠を活用して素敵な車を手に入れた。

なんとかっこいい車。妻と子どもを連れて週末はドライブだ。

実に、実に素晴らしいことではないか。

かつて移民たちは無一文でこの国にやってきた。

それが今はどうだろう。

彼らは多くを手に入れることができた。

これこそまさにアメリカンドリームではないか!

共和党万歳! アメリカ万歳! 資本主義万歳!」


なるほど! そりゃあ素晴らしい
...


勘の鋭い方ならここまで読んで「ピン!」と来るはずだ。

レバレッジを掛けすぎてマーケットが思惑と逆の方向に振れたときに何が起きるのか。。。

私もそこまで資金は多くはないが、
4年前から自分のお金を使ってトレードしている。

ハイレバレッジをかけて思惑と逆の方向に動いたときに何が起きるのか、身を持って体験した人間だ。


さらに、問題は続く。


上記のサブプライムローンを証券化して小口化する。

これにより商品を
10分割、100分割することにより、マーケットに流動性が生まれる。

これらの業務を行っているのは連邦抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅抵当貸付会社(フレディマック)と呼ばれる「民間」の金融機関だ(政府系の「公的」な金融機関ではないようだ)。

こうして流動性が生まれた商品を複雑に組み合わせ、
MBS(住宅担保証券)という「優良な!?」金融商品が作り出され、世界各国の金融機関は「適格!?」投資対象としてポートフォリオに組み込んでいった。

こうして資金が資金を呼び、大量資金の流入により、アメリカの住宅市場はさらに活性化していった。


ところが、昨年から住宅着工件数が低下し、不動産価格は下落し始めた。

さらに悪いことに、サブプライムローンという商品の仕組みを調べると、金利が「固定金利」ではなく「変動金利」になっているではないか。

金利が上昇し始めると、住宅ローンを組んでいた顧客は返済に苦しむようになる。

私の説明が下手だったら申し訳ない。

冒頭のサブプライムの定義を思い出してほしい。


「①優良顧客と比べて返済能力が劣り、②債務不履行の可能性が高い、③低所得者」

①優良顧客に比べて返済能力が劣る
②債務不履行の可能性が高い
③所得が低い人々

まるで消費者金融の顧客のようではないか。

お金も担保もない人間が④変動金利商品を購入し、借金を返済するときに金利が上昇したらどうなるか考えてみてほしい(実際はノンリコースローンなので、不動産が担保になっている。言い換えれば、お金を返せなくなったら債権者に家の鍵を送り返せばそれ以上、ローンの返済を請求されない仕組みになっている)。


不動産価格の下落とともに、金利は上昇する。

不動産価格の下落 → 担保価値の低下
金利の上昇    → 返済負担金額の増加

「債務不履行の可能性が高く、所得が低い人間にローンを組ませて家を買わせる。返済時に金利が高くなる」。


そして、とうとう
...


住宅バブルが崩壊した
...


返済が滞った低所得者たちの住宅の差し押さえが増加し始めたのだ。

これにより
2ヵ月前、ベアスターンズ傘下のファンドの破たんニュースが報じられた。

そして先日、
BNPパリバ銀行がサブプライムローン関連の商品の解約の凍結を発表したという流れだ。

上記は、いずれもローンの返済が滞り、不動産担保を回収したものの、肝心の不動産価格自体が元本割れを起こしている状態だろう。


ベアスターンズはアメリカの投資銀行だが、
BNPパリバはフランスの銀行だ。

経済がグローバル化した現在、もはやアメリカの問題はアメリカだけの問題では済まない。

一昔前までは「国際化」という言葉が使われていたが、今や「グローバル化」の時代と呼ばれるようになった。


たとえるならば、国際化時代は各国が「桶」のようなイメージで「ひしゃく」を使って、水(お金)をすくってお互いの桶に移し合っていた。

ところが、グローバル時代というのは、地球全体が巨大な「風呂」のようなイメージではないだろうか。

浴槽の栓を誰かが抜いてしまうと何が起きるか?

地球上の水(金)は栓の抜けた穴に向かって一斉に流れて(消えて)いく。



子どもの頃、近所の公園で風船を膨らませてよく遊んだ。

風船を目いっぱい膨らませると、膨張力に耐えられなくなり
...



やがて弾ける
...



あと半年、
1年持つだろうか...

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