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国際分散投資⑤~リバランスとモニタリング~


ここまで主に投資初心者の方を対象に国際分散投資についてインデックスファンドを活用する投資方法を紹介してきたが、インデックスファンドは投資初心者から上級者まで幅広く応用できる優れた金融商品であるといえる。

インデックスファンドを活用することにより、投資家自身の運用目的や長期投資方針といった最重要課題にだけ専念すればよく、費用対効果が非常に優れているというのがその最大の理由だ。

このブログを読んでくださっている個人投資家の皆さんは、以下にご紹介するリバランス・モニタリングといったメンテナンス作業を定期的に実施していただくことを強くおすすめしたい。

国際分散投資⑦

*****

【リバランスとモニタリング】

投資を開始してから一定期間が経過すると、それぞれの商品が別々の値動きをし始め、当初設定したポートフォリオから構成比率が少しずつ変化していく。

このように運用資産の配分比率が、目標とする資産配分から乖離した分を一定の期間ごとに是正していく作業をリバランス(再調整)という。

リバランス1

リバランスは「相対的に高くなったアセットクラスを売り」、これとは逆に「相対的に安くなったアセットクラスを買う」作業となるため、いわゆる逆張り型の運用戦略となる。

上昇局面が続いた商品は実質価値より割高に評価されているため、いずれ価格が下落方向に転じ、
それとは反対に、下落局面が続いた商品は実質価値より割安に評価されているため、いずれ価格が上昇方向に転じることになる。

リバランスを実施する最大の理由は、多くの投資家が陥ってしまいがちな「割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売る」といった、本来とは真逆の行動(最悪の行動)を取ってしまうことを防止することに他ならない。

リバランスを定期的に実施することにより、資産配分が当初の構成比率から誤差が生じた際、比率の大きなものを売却し、比率が低いものを組み入れることにより、理想的な配分比率に修正することが可能となるわけだ。

リバランスの役割

割高になった商品を売る(値上がりして最初の構成比率よりも大きくなったものを減らす)

割安になった商品を買う(値下がりして最初の構成比率よりも小さくなったものを増やす)

複利効果と時間的分散効果」の項目でも説明したが、長期にわたる運用を継続することができれば、ポートフォリオ全体のリターンは、時間の経過とともに平均収益率へと近づいていくことになる。

リバランス②

このような統計的優位性に加え、リバランスを定期的に実施していけば、平均収益率の変動(ブレ幅)は時間の経過とともに非常に高い精度で安定していくことになる。

割安な商品を買い、割高な商品を売る。リバランスは非常にシンプルで地味な作業ではあるが、運用の基本ルールが機械的に実行できることに加え、運用結果の実に
80%もの多大な影響を及ぼすことになるため必ず実施してほしい。

感情的な投資

・注目されている割高な銘柄を買い、結果として高値掴みをしてしまう

・下落相場に耐えられず損切りを実行したところ、再び上昇に転じた

機械的な投資

・運用比率を調整し、割高な銘柄を機械的に処分する(リバランス)

・運用比率を調整し、割安な銘柄を機械的に組み込む(リバランス)

ただし、リバランスは頻繁にやれば良いというわけではない。ポートフォリオの組み換えに伴う売買には、手数料などのコストがかかる点には注意が必要である。

その理由は、わずかな誤差の微調整を繰り返してしまうと、取引コストのほうがかえって高くついてしまう可能性があるからだ(頻繁に銘柄の組み換えを勧めてくる営業マンがいれば手数料稼ぎ以外の何者でもないだろう
...)。

過去データの検証によれば、年
1回程度のリバランスはリターンにプラスの作用をもたらすことがわかっている。運用を始めたばかりの方であれば、始めは3ヶ月ごとに、慣れてきたら半年ごとを目安にご自身の資産構成比率の変化をモニタリングし、初期の投資比率と現時点の構成比が23%程度ずれてきたときに、リバランスを実施すれば十分だろう。

*****


【インデックス投資のメリット】

最後に資産運用にインデックスを活用するメリットを再度掲載したい。

投資家の多くは目先の利益を追い求めた結果、「感情的に投資をしてしまい、高値掴みをしてしまった」、「高利回りの商品に飛びつき、投資詐欺に遭ってしまった」など、欲望をコントロールできずに資産を目減りさせてしまった方が数多く見受けられる。

しかし、このような投資方法では、資産運用は確実に失敗に終わる。確実に
...。

資産運用の本質高利回りで資産を殖やすこと → ×
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと → 

すでに述べたとおり、資産運用において大切なことは、「資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと」であるといえる。そのためには、「市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続できるかどうか」に全てかかっているといっても過言ではない。

このブログを読んでいる皆さんが市場の誘惑に負けそうになった時、以下に記したインデックス投資の優位性を思い出していただき、長期に渡る資産運用を実現させてほしい。

① 相対的に高いリターンが得られる

長期的に見て、アクティブファンド全体の80%は市場平均に勝てず、どのアクティブファンドがトップ20%なのか事前に見極めることはほとんど不可能となっている。インデックスファンドを保有するだけで投資のプロの80%以上の成績を出すことができる。

② アクティブファンドに比べてコストが低い

インデックスファンドの運用報酬と管理費用は、年率で0.1%程度。一般のアクティブファンドでは12%程度となっている。さらにインデックスファンドは年間を通してポートフォリオの1割程度しか売買されないため、取引回数が少なく、結果として売買手数料が安く抑えられることになる。一方のアクティブファンドでは、毎年ポートフォリオ全体が入れ替わるため取引回数が多くなり、売買手数料が高くなる。また、インデックスファンドは複数銘柄の平均値(ベンチマーク)の取引であるため、値動きが小さく、実現損益も小さいため、結果として課税額も安く抑えられることになる(オープンエンド型=再投資型のバランスファンドを購入すれば、リバランスを自動的に実施してくれるため、利益を確定させるまで課税タイミングを先送りすることが可能となる)。

③ 無駄な労力をかけずに平均点が採れる

インデックスファンドは、あまり運用実績を管理する必要がない。インデックスファンドは無駄な労力をかけずに市場の平均点を取っていく投資方法であるといえる。

④ 相場動向や投資戦略を考える必要がない

インデックスファンドはアクティブファンドのように運用機関を選択する必要がなく、どのファンドを選択してもインデックス指数にほぼ連動するように商品が設計されている。そのため、値動きの異なるインデックス商品を複数保有することで、相場動向や投資戦略を考える必要がなくなる。さらにはインデックスファンド自体が、複数の商品に分散された商品であるため、特定個別銘柄・地域への投資割合も低く、株式であれば倒産リスク、債券(国債・社債)であれば国家破綻リスクや特定の会社の倒産リスクを低く抑えることができる。

*****

【コラム④:おすすめの証券会社】

国際分散投資を行うにあたり、おすすめの証券会社をご紹介したい。

カブドットコム証券

ひとつは「カブドットコム証券」だ。

現在、株式投資をすでに行っている方であれば短期投資(
Buy & Sell)を行う証券会社と長期投資(Buy & Hold)を行う証券会社は必ず分けていただくことをおすすめしたい。

その理由はアセットアロケーションを行う際に、長期で保有しているポートフォリオ比率の調整が短期のポジションと混同してしまうため、比率計算がとんでもなく大変になるからだ。

したがって、売却益(
キャピタルゲインβ)を確保する証券会社と配当収益(インカムゲイン=α)を確保する証券会社は必ず分けて考えるようにしてほしい。

マネックス証券

もうひとつは、「マネックス証券」だ。

こちらは実際の取引を行ってももちろん
OKだが、「MONEX VISION βという機能を使えば外国株口座の資産分析ができるため、ぜひ活用されることをおすすめしたい(取引しなくても分析機能は使えるのでご安心を笑)。

なお、上記の口座開設をする際には公式サイトから直接申し込むのではなく、ポイントサイトの【
ハピタス】を経由して申し込みをすると自己アフィリエイトでポイントが還元されるので、事前に登録されることをおすすめしたい(ハピタス以外にも自己アフィリエイトはあるが、還元率があまりにも低すぎるのでおすすめできない)。

*****

以上、長々と5回に渡って国際分散投資についてまとめたが、投資の本体の目的とは世界の経済成長の恩恵を受けながら少しずつ資産を殖やしていくプラスサムのゲームだと思っている。

以前、「集中と分散」でも書いたが、私自身は集中投資に向かない性格のため、分散投資の道を選んだ。

もちろん集中投資と分散投資、どちらにも優位性と欠点がある。

集中投資が得意な方はそもそもこのブログを読んでいないだろうし、集中投資をすればいい。

集中投資が苦手な方はトレードなんぞ止めてしまって、のんびりと分散投資をすればいい。

ご自身のお金を使って投資をされている個人投資家の皆さんを、私は心から尊敬している。

ただ、お金はしょせん手段にすぎず、目的にはなりえない。

お金とは経済の血液であって、誰かで止めてしまってはいけない。

だから皆さんが利益を出すことができたならば、その一部でいいから世界を良くするために使ってほしい。

それでは、また!



*****

(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)  

国際分散投資④~アセットアロケーション~


人類は歴史上、同じような過ちを何度も繰り返してきた。

投資の世界でも同様に、これまでに何度となくバブルや暴落を繰り返してきていることは周知のとおりだろう。実際に大暴落が起こるたびに、マーケットから退場していく投資家があとを立たない。

資産運用においてもっとも重要なことは、「
市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続する」ことにある。市場の誘惑に惑わされないためには、まず、運用の基本方針と目標を決めることである。

そのためには、「
どれくらいの期間で、最終的にどれくらいの資産を確保したいのか」を明確に設定しておく必要があるだろう。

アセットアロケーションの検討項目・現在の年齢
・運用の目的(何のために運用するのか)
・運用期間(いつまで運用するのか)
・リスク許容度(どの程度のリスクが取れるのか)

ここでは、運用成績に最も影響を与えるアセットアロケーションについて説明して行きたい。

*****

【アセットアロケーション】

資産運用の結果を決める要因は主に以下の
3点に集約される。

1.銘柄選択どの商品を買うのか
2.投資タイミングいつ買うのか
3.アセットアロケーション資産をどのように配分するのか

米国バンガード社が2003年に発表した「5年以上の運用実績を持つ420本のアクティブ運用バランス型ファンドを1962年~2001年(40年)の過去データをもとに分析した研究」によれば、「アセットアロケーションの違いが月次リターンの77%の差異を決める」という大変興味深い調査結果が出ている。

つまり、この調査結果によれば、ポートフォリオが投資リターンに与える影響は非常に大きく、リターンの実に
80%はポートフォリオの内容で説明できるとしている[1]。

なお、多くの方が重視する投資タイミングはわずかに
8%程度、ポートフォリオをどのような個別銘柄で実現するかの銘柄選択はわずか6%程度しか投資リターンに影響を与えないことがわかっている。

投資リターンに及ぼす影響力
ポートフォリオの内容月次リターンの約77%
投資タイミング月次リターンの約8%
銘柄選択月次リターンの約6%

多くの投資家の方を見ていると、「どの商品を買うのか」「安く買える投資タイミングはいつか」に多くの時間を費やしているが、結果の出る運用を最優先に考えるのであれば、これからはアセットアロケーションに多くの時間を費やしたほうが合理的であると言えるのではなかろうか?

アセットアロケーションが「リターンへの影響度」を高めるためには、多くの銘柄に幅広く分散投資が行われていることが前提条件となる。つまり、少数の銘柄に集中投資を行った場合は、事業継続リスクが高まり、企業の倒産確率が上昇するなど、「銘柄選択の影響度」が高くなると考えられる。したがって、集中投資には上記の理論は適用されない。


*****

【資産配分を考える】

現在では、株式、債券、商品等、それぞれのアセットクラスに対応するインデックスファンドが存在しているため、それらを組み合わせることによって、誰でも簡単に運用を開始することができるようになった。

国際分散投資③

すでに、リスクとは投資の世界では「変動」を意味することは説明したが、それぞれの性質に合わせ、資産を地域や商品、時期を分散することにより、リスクを低減させる効果が期待できることになる。

さらに、値動きが異なる商品同士を組み合わせることにより、全体としての運用の安定性を確保することが可能となるわけだ。

もちろん、しっかりとアセットアロケーションを実行したとしても、短期間では価格は大きく上下に変動してしまうことは覚えておいてほしい。

確率統計上、どのような投資方法であれ運用開始直後の数年間はブレ幅が非常に大きく、利益や損失が予想以上に拡大してしまうこともあるだろう(「複利効果と時間的分散効果」の説明を思い出してほしい)。

図2

しかし、長期で継続していくことにより、年次リターンのブレ幅は次第に小さくなり、やがて平均収益率へ近づいていくため、資産運用は最低でも
10年は続けて行かなければ全く意味がない。その理由は統計的優位性を享受することができないためだ。

この先マーケットは上がるかもしれないし、下がるかもしれない。私たちに唯一わかることは、「
マーケットは常に変動する」ということだ。どのような商品であれ、上がったものはやがて下がり、下がったものはやがて上がる。

したがって、いつまでも暴落が続くことはなく、暴落の翌年には大きく上昇する傾向が高いということだ。長期で継続していけば年次リターンのバラツキは小さくなっていき、やがて平均収益率に近づいていくことになる。

このブログを読んでいる個人投資家の皆さんは、「長期」・「分散」・「積立」の
3点を軸として投資を継続的に実行し、定期的に保有比率を機械的に再調整(リバランス)することにより、「複利効果」と「時間的分散効果」を最大限に享受しながら、ご自身の資産を市場変動リスクから切り離すことが可能となる。

そのため少しでも長く、できるだけ長く投資を続けてほしい。

*****

【資産配分の例】

一般的に、ポートフォリオの構成比率の基本は、世界各国の国内総生産(
GDP)構成比率に準拠させることで各国の経済動向に連動させることができるため、こうした資産配分が理想的であると言われている。

また、インデックスを活用することはマクロレベルでポートフォリオを管理するのと同義なので、現在のマーケットで注目されている固有の銘柄などの影響を受けることがなくなること、さらには、分散比率を定期的に調整することにより、世界経済の成長によるリターンを享受できるようになると考えられる。

アセットアロケーションは特にこれが正解というものは存在しないが、一般的には「国・地域の分散」・「アセットクラスの分散」の
2点がバランス良く分散されていることが望ましいとされている。

なお、近年ではインデックスファンドだけではなく、
ETF(上場型投資信託)も普及したことにより、世界中の不動産を間接的に保有することも可能となったため、投資家の好みに合わせて組み込んでみるのも面白いかもしれない(※私は面倒くさいので株式と債券以外はやっていない)。

アセットアロケーション1

上記は大雑把な一例だが、すでに述べたように結果の出る運用を考えるのであれば、これからは細かな企業分析などよりもアセットアロケーションに多くの時間を割いていただくことをおすすめしたい。

アセットアロケーションは運用成績の実に
80%に影響を及ぼす非常に重要な作業となるため、ご自身での作業が難しいという方はバランス型ファンドの購入も検討されてみてはいかがだろうか?

バランス型ファンドはインデックスファンドや
ETFに比べ手数料は若干割高となるものの、現在ではほとんどがコンピューターの自動売買プログラムによって定期的に配分比率を自動調整してくれるため、ほとんど手間がかからずに投資を行うことが可能となっている(市場連動型の商品はほとんどが機械による自動売買を行っているため、信託手数料が非常に安く設定されている)。

*****

【コラム③:日本から投資する場合の為替リスクについて】

日本から海外投資を行う場合、日本の投資家は非常に不利な立場にあると考えられる。
その理由は日本という国は為替リスクが極めて特殊な環境に置かれている国だからだ。

国際分散投資⑥

現在、日本国内で流通している「日本円(
JPY)」という通貨は、ひとたび不景気や国際的な経済危機が起こると円高方向に振れるパターンが多く、それが国際分散投資によるリスク分散効果を相殺してしまうことになりかねない。

主なポイントは以下の
2点に集約できる。

1.
日本が経常黒字国(貿易黒字国)であること

ひとつは、日本が経常黒字国(貿易黒字国)であるために、企業は海外で獲得した外貨をそのまま海外投資に回さない限り、円転(円の買戻し)による経常的な円買い圧力に晒されることになる。

世界的に景気が良ければ日本の企業が稼いだ外貨はそのまま海外での取引や投資に使われるため、円買い圧力は弱まり、結果として円安になる。

しかし、経済危機などで世界的に景気が悪くなると、海外での取引や投資が減少し、資金を回収して円転を進めるために、円買い圧力が高まり、結果として円高になる
[2]

世界的な好景気 → 海外取引増加 → 海外で獲得した外貨をそのまま海外へ投資

→ 円安

世界的な不景気 → 海外取引減少 → 海外で獲得した外貨を回収して国内へ還流 

→ 円高

さらには、こうした現象は日本国外だけでなく、先の東日本大震災など日本国内で危機が起こったときにも生じる。

日本国内で危機が起こった場合、日本の企業はリスク回避のために海外投資を減らし、日本国内に戻すため、経常黒字から生じる円買い圧力が強まることになる。日本の投資家も国内での損失をカバーするために海外に投資した資金の回収を進めるため、やはり円が買われ、結果として円高になる。

国内での危機 → リスク回避のため海外投資を減らす → 資金を回収して国内へ還流 

→ 円高


2.
日本が世界最大の対外純債権国であること

もうひとつは、日本が対外純債権国であるため、世界中の国が円を調達し、それを売ってドルなどに交換して経済活動を行っているということだ。

ゆえに、世界的に景気が良いときには円売り圧力が高まることになるが、世界的な経済危機が起こってしまうと、この資金の動きが巻き戻されるために円買い圧力が高まることになり、結果として円高になる。

世界的な好景気 → 世界中の国が円を調達 → ドルなどに交換 → 海外で使う

→ 円安

世界的な不景気 → 調達した円を戻すため、資金をドルなどから円に交換

→ 円高

このとき、リスク回避のために円を買うのは日本の企業や投資家だ。

投資家や企業が避けたいのはあくまでも「為替リスク」であるため、為替先物で円のヘッジ買いをすることになる(実際に海外資産を売却することはない)。このように、実際の資本移転は行われなくとも、リスク回避のための円買いは発生することになる
[3]

上記のような国際的な資本フローの原則を理解すると、日本円を使って国際分散投資を行う際の最大の敵は為替リスクだということがよくおわかりいただけると思う。

日本から海外へ投資をする場合、世界的な不景気や経済危機が発生してしまうと、「
投資対象の価値の下落」とともに円高による「通貨価値の相対的下落」もダブルパンチで損失を喰らってしまうことになりかねない(つまり、資産防衛のために投資という名目で海外に資産を逃避させても、結果として資産価値が大幅に目減りしてしまうという皮肉な結果になる可能性もあるということ)。

本来は、「アメリカドル(
USD)」を基準に投資を行うことが望ましいと言えるが、日本から投資をする場合は、ある程度の「日本円(JPY)」もキャッシュポジションとしてアセットクラスに組み込まれることを強くおすすめしたい。その理由は、世界的な景気後退局面では強力なヘッジ効果が期待できる商品だからだ。

アセットアロケーション2

もっとも、今後は人口減少により内需が縮小することを考慮した場合、日本企業の多くは国内事業よりも海外事業を拡大させていくと考えられるため、外貨需要が高まり、日本の経常黒字は減少し、徐々に円買い圧力は弱まっていくと予想される。

したがって為替リスクを許容できる投資家の方であれば、今のうちから国際分散投資を実行することには一定の経済的合理性があると言えるのではないだろうか?

2 経済危機などで世界的に景気が悪くなると、必ずこんなことを言う人がいる。「円がものすごい勢いで買われている、その理由はリスクの逃避先として日本が安全性が高いと判断されているからだ」と。また、こんなことを言う人もいる。「なんでアメリカやヨーロッパで起こった経済危機が日本の経済まで波及するのか、日本には関係ないじゃないか」と。でも上記フローを理解された方はなぜ円高になるのかがお分かりいただけたと思う。日本の国債の格付けを見てみれば日本円が決してリスクの逃避先として買われているわけではないことは明らかだろう。

3 為替リスクを回避するためには、為替先物で円のヘッジ買いを行うのが手っ取り早い。これは日本からの投資を考えた場合、円建て商品を作るのと同じ仕組みとなる。A社とB社の株式を例に考えると、「A社:5,000USDの買いポジション」、「B社:5,000USDの売りポジション」、合計1USDのポジションを保有していたと仮定する。この時、1万米ドルの為替先物を同時にショート(売りポジションを持つ)し、日本円をロングする(買いポジションを持つ)ことによって為替変動によるβリスクを完全に排除することができる。この場合、ポジション設計は以下のようになる。

「①A 5,000USD買い(ロング)」+「②B  5,000USD売り(ショート)」+「③USD/JPY 10,000USD/JPY売り(ショート)」

意味が分からない方のために補足しておくと、「A社+B社のポジション合計x」は10,000USD/JPYの買いポジションを保有しているのと同じ状態なので、為替リスクをカバーするためには10,000USD/JPYの売りポジションを取る必要があるということ。これによって為替変動によるβ値リスクをニュートラル化(相殺)することができるわけだ。B社の株式をショートする時に必要な5,000USDは、日本から投資する場合、通貨としては5,000USD/JPYの買いポジションと同じ意味になるのでくれぐれも混乱しないように。円建ての商品を購入されるときは、誰も意識していないかもしれないが、実はマーケットニュートラルの考え方を組み込んだ商品をすでに保有していることになる。外貨建て商品に比べて円建て商品を選択すると利回りが落ちるのは、こういった中間処理の手間と手数料がかかる仕組みだということがおわかりいただけると思う。なお、(日本居住者から見て)外貨建てで取引したい場合は、上記③の円買いドル売り(USD/JPY)のポジションは不要となる。ここで注意しなければならない点はFXを使う場合、使い勝手が良い一方で、スワップ金利の問題が生じることだろう。日本は政策金利が低すぎるため、スワップ金利の影響をもろに受けてしまうことになるわけだから。はぁー、困ったもんだ。


国際分散投資⑤~リバランスとモニタリング~
へ続く


*****

(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)
参考:佐々木融「弱い日本の強い円」日本経済新聞出版社、2011年) 

国際分散投資③~複利効果と時間的分散効果~


ここまで、リスクを最小化する方法として、「分散」・「積立」・「インデックス」を使った運用方法をご紹介してきたが、こうした運用方法を採用する最大の魅力は、何といっても「時間を味方にできること」にある。

リスクを極力抑えながら運用し、少しずつ資産を殖やしていくためには、「時間」は非常に有効な要素のひとつと成り得る。「複利」という言葉はすでに多くの方がご存知の通り、「
利息が利息を生む」という考え方のことだ。

資産運用は「正の複利効果」を生み出すことが期待できるため、「時間」+「金利」を味方にできる点が大きなメリットとなる。

これとは反対に、「負の複利効果」を生み出す借金は「時間」+「金利」を敵に回すことになってしまう(※資産運用が必ずしも「正の複利効果」を生み出すわけではないので注意のこと)。

*****

【複利効果と時間的分散】

資産運用の方針を考えるに当たり、「時間」という概念は良くも悪くもポートフォリオに多大な影響を及ぼすことになる。なぜなら、年々積み上がっていく運用成績は、時間の経過とともに平均収益率に近づき、収益率が発生する範囲は時間の影響に大きく左右されることになるからだ。

運用期間が長ければ長いほど、保有しているポートフォリオ全体の収益率は平均収益率に近づいていくため、収益率の変動幅が時間の経過とともに安定して行くことになる。さらには、投資家はポートフォリオのリバランス(組み換え作業)を定期的に実施することにより、銘柄の組み合わせを
最適な状態に持って行くことが可能となる。

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もし仮に、運用期間があまりにも短すぎた場合、非常にギャンブル性の高い運用方法となってしまう。
その理由は、運用年数があまりにも短すぎると良くも悪くも偶然の発生確率が上がってしまい、統計的優位性を享受することができなくなってしまうからだ。

その一方、十分な運用期間さえ確保することができれば、突然の暴落などに見舞われても、大きな不安を感じることなく運用を継続することが可能になるというわけだ。

*****

【積立てによる複利効果】

例として、元本ゼロで毎月
10,000円ずつ積み立てを行った場合、期間・利回り別の残高は以下のとおりとなる。

利回り期間
5年10年15年20年30年
元本(利回りゼロ)600,0001,200,0001,800,0002,400,0003,600,000
3%647,0001,397,0002,267,0003,276,0005,801,000
5%680,0001,549,0002,659,0004,074,0008,186,000

上図の「元本(利回りゼロ))」の数値は積み立てた元本額を示し、3%5%の利回りで運用した場合の期待収益率を示している。投資期間が長くなればなるほど、複利効果により、時間の経過とともに、資産が加速度的に増加していくことがおわかりいただけると思う。

なお、上図では
1年や2年といった短期間の利回りを掲載していないが、①「短期では複利効果の恩恵をほとんど享受できないため、資産の増加が期待できないこと」、②「どのような投資対象も短期的には価格変動リスクが大きく、期待収益率が安定しないこと」がその理由として挙げられる。

資産運用が全くの初心者の方であれば、年次リターンとしては年率
3%程度、多くても5%程度を目標にするのが理想的といえる。7%10%など、あまりにも高すぎる目標リターンを設定してしまうと、それだけリスクも高まり、変動幅(ボラティリティリスク)が大きくなりすぎてしまうためだ(※金融機関のトレーダーのパフォーマンスは、一般的に年利12%程度が契約更新の最低の目安とされている)。

こうして考えてみれば、年利
10%20%のリターン設定など、もはや論外だということがおわかりいただけると思う。著名な個人投資家であるウォーレン・バフェット氏でさえも年利22%程度なのだ。しかし、そのリターンを何十年も継続できているからこそ、彼は天才と呼ばれ、称賛されているのだから。逆に言えば、年利20%程度で運用し続ける投資家がたくさんいれば彼は凡人ということになり、これだけ称賛されることはなかったに違いない。それだけ、長期間に渡って利益を出し続けて行くというのは本当に難しいことなのだ。

投資を長く継続し、少しずつ超過リターンを確保していくためには、リスクを極力抑える運用方針を採用すべきだと考える。すでに述べたとおり、リターンの源泉がリスク(変動)である以上、高すぎる目標リターンを設定してしまうと、リスクも同様に上がってしまうからだ。

また、これとは逆に、
10年や20年と長期にわたって運用を継続することができれば、暴落などの急激な相場変動に見舞われたとしても、一定のリターンの確保が期待できるようになる。その理由は、資産を値動きが異なる複数の商品に分散して保有することにより、平均収益率が安定し、期待収益率に近づいていくためである[※1]。

図2

[※
1] 過去の暴落相場を検証してみると、ポートフォリオ全体は一時的に最大で「40%もの損失を被ることがわかっている。しかし、たとえば含み損が20%発生した場合、年利5%の配当益を確保していけば、この損失は4年で取り戻すことが可能となる。皆さんも投資信託のパンフレットに右肩上がりのグラフが掲載されているのを見たことがあるかもしれない。このグラフが右肩上がりになる理由は、配当益を再投資して積み上げていくため、ほとんどのパンフレットは右肩上がりになってしまうのだ。これは長期投資の複利効果が表れていることを示す一方で、アクティブファンドの運用成績が実はあまり大したことがないことを私たちに教えてくれる(これは完全なるデータのトリックである)。

*****

【残された時間はあと何年?】

ここでは、正の複利効果の例として「
毎月少額でも積立投資を行った場合」と「元本を貯金してから一括で投資した場合」を比較して検証してみたい。

グラフ1

上記は「元本ゼロで毎月
5万円ずつ年利5%25年間積み立て投資を行った場合」をグラフで示したものだ。時間の経過とともに複利効果が表れ、右肩上がりで運用額が積み上がっていく様子がお分かりいただけると思う。

これに対し、以下は「元本
1,000万円を貯金してから一括運用を開始した場合」をグラフで示したものだ。最大の致命点は1,000万円を貯めるまでに168ヶ月もかかってしまうため、複利効果の恩恵を十分に享受できず、元本をコツコツと積み立てて行った場合に比べて、資産の増加スピードが後半になってようやく加速し始めていく様子がお分かりいただけると思う。

るで「ウサギとカメ」の童話そのものだが、残念ながらウサギは複利の恩恵を受けるカメには絶対に敵わないのだ。

グラフ2

このように、積立投資は非常にシンプルな投資方法であるものの、毎月少額でも継続して投資し続けることのほうが、複利効果により一括で投資するよりも資産の増加スピードが加速していくことがおわかりいただけるかと思う。

たとえば、
65歳以後の老後のための資金を確保するためには、30歳の方であれば35年間、40歳の方であれば25年間もの時間的余裕があることになる。ゆえに、若ければ若いほど「時間」を味方にできるために、「資産運用は少しでも早いうちに始めた方が有利」となる。

その一方、
65歳での引退後の生活資金確保を運用の最終目標にした場合、50歳の方は15年間、60歳の方なら5年しか時間が残っていないため、時間的分散効果を享受できない点はデメリットでもある。

もっとも、
50代、60代の方々の中には、すでにある程度の金融資産をお持ちの方も多いと思うので、資産形成期とは異なり、資産を減らさない、守るという発想に切り替えて行く必要があるといえる。

このように、若年者向けの運用方法に対し、年齢が上がるにつれ、まとまった資産をお持ちの方も多くなっていることと思うが、こうした場合は、初期の元本を数回に分割しながら組み込んで行き、さらには複利の効果を活用することにより、インフレリスクを回避していく方法が有効となるだろう(※まとめて一括で元本を組み込むよりも、
3ヶ月に1度、6ヶ月に1度追加することで時間的分散効果が期待できるだろう)。

※資産運用には元本及び利息の保証がないため、必ずしも「正」の複利効果が得られるとは限らない。したがって、
2,3年といった短期の評価額は元本割れする可能性がある旨ご注意いただきたい。

*****

【コラム②:分配型ファンドは買ってはいけない】

一般的に、「元本再投資型」と呼ばれる投資信託は運用によって得た収益を元本に組み入れるため、複利効果により資産が雪だるま方式に膨らんでいく。

これに対して、分配金を毎月支払っている「毎月分配型投資信託」は運用によって得た収益から分配金の支払いを行うため、元本に組み込まれる金額が少なくなってしまう。

分配型ファンドは原則として毎月分配金の支払いを行い、基準価額を削って分配原資に充てる(「収益」でなく「元本」を分配する)ため、収益を上げられなかった場合には、元本を取り崩して分配金を支払うこともあり得る。

ここで、投資信託を活用して資産運用を開始するに当たり、最も注意しなくてはならないのが「分配金」の概念だ。

分配金という言葉のニュアンスは、どこか「元本」を運用したことによって獲得した「果実」を受け取っているかのように思ってしまいがちだが、証券用語で用いられる場合の「分配金」という言葉に関してはそのような意味は全くないので注意してほしい。

分配金は投資信託の「純資産」から支払われるため、ある期間の支払額よりも収益額が少なければ、その差額分だけ基準価格が下がる仕組みになっている(※預貯金の利子とは源泉が異なる点に注意)。

このように証券用語では、収益分配部分を「普通分配金」、元本取り崩し部分を「特別分配金」と、どちらにも分配金という名称を使うため、両者とも収益部分を源泉とした払い戻しと誤解してしまいがちだ。毎月分配型に魅力を感じて購入したものの、実際は投資家自身が支払った元本の取り崩しに過ぎないケースもあるため、分配型ファンドに投資するメリットは全くないと言っていいだろう。

こうした商品は特に引退世代の方が毎月の配当を年金とみなして購入するケースが多く見受けられるが、高い売買代金と信託手数料を取られた上、自分の元本を取り崩して配当にまわしているような商品を買うくらいであれば、普通預金を取り崩したほうがまだましである。

すでに説明した通り、投資の本質は、「なるべく長期間にわたって元本を取り崩さずに運用を継続し、複利の効果を享受することで、最終的に目標とするリターンを得ることである」といえる。

したがって、資産運用を開始される際には再投資型の信託を選択されることを強くおすすめしたい。

国際分散投資④~アセットアロケーション~
へ続く

*****

(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)

国際分散投資②~分散・積立・インデックス~


投資の世界では「大きな損失を出すリスクを極力抑えながら、少しずつ利益を増やしていく考え方(いわゆる「損小利大」)が非常に有効である。

以下の例は一見すれば金額は同じだが、比率で考えれば「
今あるものを増やす」よりも、一度失ってしまった「損失を取り戻す」ほうが難しいことがおわかりいただけると思う。

 ▼1,000円の金融商品が750円に下落した場合▼△750円の金融商品が1,000円に上昇した場合△
金額250円の下落(1,000円-750円)250円の上昇(1,000円-750円)
比率25%の下落(250円/1,000円*100[%])33%の上昇(250円/ 750円*100[%])

ここではリスクを回避する方法として、「分散」・「積立」・「インデックス」の3つのキーワードを用いて、最も基本となる運用方法をご紹介していきたい。

*****

【分散】

投資の世界には、「卵は
1つのカゴに盛るな」という有名な格言がある。

これは、「いくつかの卵を
1つのカゴに入れておくと、ひっくり返ったときに全部の卵が割れてしまうので注意しなさい」ということの教訓だ。投資においては、大切な資産をすべて1つの商品に集中して投資してしまうと、暴落など不測の事態により全財産を失ってしまう可能性が高いため、この格言は投資の教科書では頻繁に引用されている。

Don’t put all your eggs in one basket
画像:政府広報「
新しい投資優遇制度NISAがスタート」より

分散して投資を行う最大の意義は、「値動きが異なる複数の商品を保有することにより、資産全体の値下がりリスクを極力抑えること」にあるといえる。

たとえば、株式と債券は一般的に正反対の値動きをする傾向があると言われている。両者を例に考えた場合、株式と債券をバランス良く保有することにより、株式が暴落しても、株式の暴落分を債券の上昇分でカバーすることができればマーケットの変動リスク(=βリスク[1])を低く抑える効果が期待できることになる。例として「株式」は大きく上がって10%の利益を得たとしても、「債券」が10%下落した場合、両者の値動きのブレ幅は相殺されることになるからだ。

保有資産変動率相場変動による利益配当による利益期待収益率
株式のみ+10%+10%+3%+13%
債券のみ-10%-10%+1%-9%
株式と債券± 0%± 0%+4%+4%

したがって、相場変動による利益を享受することができなくなる一方で、安定した配当収入を継続的に生み出す効果が期待できるようになる(上図右下の+4%の部分)。

わかりやすいイメージとして株式の配当が3%、債券の配当が1%と仮定した場合、相場変動リスクを抑えながらコツコツと年利4%程度の配当収益を確保する効果が期待できるようになる。一般的にこのような相場変動の影響を受けない投資方法は、市場(マーケット)に対して常に中立的(ニュートラル)な立場を採るため、マーケットニュートラル投資法と呼ばれている。

このように資産を「
複数の値動きが異なる商品に分散して投資を行う」ことにより、「相場変動リスクを極力抑えながら安定したリターンを生み出す投資方法」が分散投資の本質であるといえる。

ちょっと小難しい話になるが、こうした商品間の値動きの相関性(
連動性)を測定する統計手法を相関分析という(どの程度の連動性があるかを図る指標として「相関係数」という数値を用いる)。

分散投資を行う際は、相関係数がマイナス(負)の値を取る商品のペアをバランス良く組み合わせ、グループ化することにより、相場の上下動に関わらず、安定した配当収益(α
 [1])のみをマーケットから獲得していく効果が期待できる。なお、相関係数は-1.0~+1.0の値を取り、+1.0に近づくほど両者は連動性があり、-1.0に近づくほど両者は正反対の値動きをする。

したがって分散投資は、単純にさまざまな投資商品をランダムに組み合わせればよいのではなく、必ず「異なった値動きをする複数の商品を組み合わせること」が重要なポイントとなる。同じ値動きをする商品を組み合わせてはいけない理由は、暴落などの予期せぬ相場変動が発生した場合、すべての資産が目減りしてしまうからだ
[2]。一度失ってしまった損失を取り戻すほうが難しいことはすでに説明した通りである。

もっとも、上昇相場が何年も続いてしまった場合、一方の上昇分の利益は、他方の下落分の損失で相殺されてしまうため、相場変動の恩恵が受けられず、この点はデメリットであるといえる。分散投資は相場変動リスクを回避できる一方で、相場変動によるリターンの恩恵を受けられないというデメリットがあることは覚えておいてほしい。

1 β(ベータ)とは、ベンチマーク(参考指標)に対するポートフォリオの感応度のことをいう。その一方、α(アルファ)とは、ベンチマークの動きにかかわらず生じる収益のことをいう。通常、インデックス指数がベンチマークとなるが、ここでは値動きの異なるインデックス商品を組み合わせることにより相場変動であるβを相殺するため、配当によるリターンがαとなる。

2 現実のマーケットでは、上記のような異なるアセットクラスで、全く同じ値動きをする商品も真逆の値動きをする商品も存在しない。同程度の期待リターンのアセットクラスがあった場合には、値動きの相関がより低いアセットクラスの組み合わせでポートフォリオを構成することにより、個別のアセットクラスよりもポートフォリオのリスク(変動率)が低減するということ。この点が、「期待リターンが同じであればリスク(変動率)は小さい方が好ましい」という前提があるファイナンス理論において、分散投資が推奨される理論的な背景となっている(実際は理論通りにうまくはいかないが、機関投資家はこれを巧みに営業トークに織り交ぜることになっている)。

*****

【積立】

投資とは「
良いものを買うことではなく、ものをうまく買うこと」によって成功する。

本質的価値から見て割安な価格で大量に購入し、割高になってから売れば、大きなリターンが得られるからだ。
日常生活と同様、本質的価値が同じものであればなるべく割安な価格で買ったほうが、よい買い物ができることになる。そのため「いつ買うか」「いつ売るか」について日々値動きを追っている投資家が多いのが現状のようである。

しかし、どういうわけか投資の世界においては、多くの方が正反対の行動を取ってしまいがちだ。多くの投資家が注目された銘柄に投資をするので、結果として高値掴みをして損をしてしまう。その一方、保有している商品が値下がりすればすぐに売ってしまう。

本来であれば、世間から注目されているような割高な銘柄は売り、注目されていない割安な銘柄を買うべきなのだが、どういうわけか多くの投資家は割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売るといった真逆の行動を取っているのが現状のようだ――。

しかし、売買のタイミングに悩んだところで、投資のプロでさえ最適な投資タイミングを知ることは不可能である。最安値のタイミングなんぞ、結局のところ、後になってみないと誰にもわからないのだ
[3]。

そこでおすすめしたいのが積立投資だ。答えが出ないことにあれこれ悩むよりも、継続的に積立投資を実行したほうが、時間を分散することにより、結果として取得リスクを分散することができる。毎月一定額を機械的に投資して行けば、価格が安いときに多く購入でき、平均購入価格が低くなる効果が得られることになる。

ドルコスト平均法
画像:三菱UFJモルガンスタンレー証券
ドルコスト平均法」より

これは「ドルコスト平均法」と呼ばれている。継続的な積み立て投資(ドルコスト平均法)を活用することにより、「時間の分散」によって大きな失敗を防ぐ効果が期待できるため、投資を始める方は積極的に活用してほしい [4]。

3 2013年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のファーマ教授、エール大学のシラー教授が行った「資産価格の実証研究」によれば、ファーマ教授は短期的な資産価格の予測は困難であると語っている。一方のシラー教授は35年先といった比較的長期の価格は予測可能なことを示している。

4 投資期間が一方的な下げ相場であれば、運用期間中の平均取得金額が少なくなるドルコスト平均法は有利であるが、逆に、一方的な上げ相場が続いてしまうと、ドルコスト平均法よりも一括で取得したほうが有利になる点はデメリットとなることに注意が必要。この場合、ドルコスト平均法で時間を分散したことにより、かえって機会損失になってしまうからだ。

*****

【インデックス】

インデックスファンドは市場の構成銘柄をパッケージ化した商品であるため、「
市場をそっくりそのまま再現できる金融商品である」といえる。

金融マーケットが機関投資家によって支配されるようになった現在、市場の平均値(インデックス)の値動きは投資のプロの動きをリアルタイムに反映する指標そのものとなってしまった。新しい情報が発生し、プロが判断を変えるたびに市場平均も連動することになる。

このように、市場平均そのものが投資のプロと呼ばれる機関投資家全体の判断による合成期待値となった今、世界中のトップトレーダーを含むプロの運用判断を
1つにまとめてしまうには、インデックスを活用することが合理的な選択肢であると考えられる。

また、インデックスファンドは売買手数料も安く、運営コストも安いため、わずかな手数料を支払うだけで「
プロの運用チームのスタッフを雇うのと同様のメリットが得られる」ことになる。

資産運用にインデックス投資をおすすめしたい理由は
2つある。

ひとつは、インデックスファンドは、「市場平均に連動していることにより、リスクがすでに分散されている商品であること」、「売買を頻繁に行う必要がなく、極論を言えば何もする必要がないため、手間がかからないこと」がメリットとして挙げられる。もっとも、デメリットとしては「平均点しか取れないこと」だろうか...

インデックス投資のメリット市場平均に連動していることにより、リスクが分散されている
売買を頻繁に行う必要がなく、ほとんど手間がかからない
インデックス投資のデメリット平均点しか取れない

しかし、プロの運用機関の80%が、市場平均値(インデックスファンド)を上回ることができていない現状を考えれば、彼らが市場平均を上回るために投入した膨大な調査や人件費等のコストを比較した場合、(ベンチマークを上回るために費やしたエネルギーとコストを信託報酬として1%弱支払うだけでいいのだから)、インデックスファンドを保有することは費用対効果が極めて高いと言えるのではなかろうか?

アクティブファンド売買手数料高い
運営コスト高い
インデックスファンド売買手数料安い
運営コスト安い

またコストの面でもインデックス投資はアクティブ投資に比べて優位性がある。アクティブファンドはインデックスファンドに比べ、非常に高コストである。インデックスファンドの場合、ネット証券などで販売されている商品は、多くがノーロード型と呼ばれる販売手数料がかからない商品になっているため、個人投資家の方はこうした商品を活用したほうが経済合理的である。また、信託報酬が低いファンドが多いのもインデックスファンドの特徴といえる。

すでに述べたとおり、上位
20%のアクティブファンドが市場平均を上回ることは事実であるが、それだけ優秀なファンドがあれば、それはすでにマスコミや週刊誌で注目され、私たちも知っているはずだ。しかしそれは結局のところ、「あとになってみないとわからない」のだ。

さらには、過去
23年間の運用成績が良かったとしても、510年と長期的に渡って市場平均を上回る大手の運用機関の数はさらに少なくなり、そのような運用成績のよい商品を選び出すことは簡単ではない。特に数年間だけの成績を見ても、標本データ(サンプル数)が少なすぎるため、運用方法がたまたま相場にフィットして運良く儲かったのか、実力により儲かったのか判断の見極めは難しいところだ。

これから投資を始める個人投資家の皆さんは、インデックスファンドを活用することにより、最小限の労力で平均点を取ることが可能となるため、将来の資産形成の手段として積極的に活用していただければと思う。

インデックスファンドは非常にたくさんの種類があるが、同じインデックスに連動するファンドであれば運用成績はほぼ連動するため、あまりこだわる必要はない。例えば、日本の株価指数である日経平均
225に連動するファンドであれば、日経平均が10%上がれば、どのファンドでもほぼ10%上昇するように設計されているので自分の好みで選べば構わないだろう[5]。

インデックスファンドの中には、投資対象の異なるインデックスファンドをシリーズ化しているものがあり、これらをバランスよく組み合わせることで、コストやリスクを最小限に抑えながら、世界中のマーケットに分散して投資を行うことが可能となるため、積極的に活用していただければと思う。

5 規模の小さなインデックスファンドを選択してしまうと、指数構成銘柄全てを組み込めずに本来10%上昇すべきところが、9%11%8%12%になり、本来の指数から±数%程度の誤差が発生してしまう可能性がある(これを「トラッキングエラー」という)。そのため、なるべく規模の大きなファンドを購入されることをおすすめしたい。仮にトラッキングエラーの大きな商品を購入し、本来の株価指数を上回るリターンを上げたとしても、同様に下回るリスクもあったため、結果論としては成功(結果オーライ)だが、商品選択の判断としては失敗といわざるを得ない。

国際分散投資③~複利効果と時間的分散~へ続く


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(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年) 

国際分散投資①~資産運用を始めよう~


グローバル社会はヒト・モノ・カネ・情報が国境を越え、ボーダレスに移動する時代。

世界はひと昔前に比べればだいぶ身近なものになったし、
ITインフラが発達したおかげで、私たちの生活の多くは物理的な制約から解放され、国境を越えて地球上を自由に動き回ることができるようになった。

金融の世界でも同様に、海外に資産を持つ日本人の数は、ひと昔前に比べて増加傾向にあるという。その理由としては、お金が国境を越えて瞬時に移動するボーダレス経済のなかでは、自国のみで資産を運用するよりも、経済成長が見込める他国への投資を組み合わせたほうが、より多くの利益を得ることが期待できるからだろう。これは期待収益率の観点からは正しい考え方だといえる。

さらには、日本という国家自体の将来に対する危機感も、昨今の海外投資を大きく後押ししているといえる。現在、日本は
1,000兆円を超える膨大な額の借金を抱えており、恒常的な財政赤字に陥っていることは、皆さんもよくご存じのとおりだろう。私の周りでも国家破綻への警戒感から「資産防衛」を目的として、「投資」という名目で海外に財産を移転している富裕層の方も少なくない...。

*****

【日本人よ、世界に投資しよう!】

そもそも、世界的に見れば、富裕層と呼ばれる人たちが自国以外に財産を持つことは決して珍しいことではない。
世界の富裕層の多くは、今後起こりうる経済環境の急激な悪化や自国の財政危機などを想定し、自国もしくは主要国のみの偏った資産保有を避け、分散して資産を保有する傾向にある。さらには、値動きの異なる資産をバランス良く組み合わせることで、「長期」・「安定」・「分散」を基本とした資産運用を実現させている。 

国際分散投資①

たしかに、ひと昔前までは世界中に分散投資をするためには膨大な資金が必要とされていたため、国際分散投資のイメージはどこか世界的な大富豪のみが実践できる特別な投資方法のように思われるかもしれない。

しかし、今ではわずか数千円程度の少額資金からでも複数の先進国や新興国の主要な企業の株式に分散できる商品や、国債や社債などの海外債券に分散投資できる商品も幅広く販売されており、リスクを抑えながら安定した利回りを実現できる国際分散投資が、一般の個人投資家層にまで急速に普及することになった。

日本という国の将来を考える時、国内のマーケットは少しずつ縮小し、今までのような経済成長は残念ながら望むことはできないという意見が多い。私は、―決して偉そうに言える立場ではないが―、これからは日本という国自体のポジションを経営者から投資家へと収益モデルをシフトチェンジしていく必要があると思っている。

そのためには、まずは個人投資家が積極的に海外投資を実践することにより、日本そのものを投資国家に姿形を変えていく必要があるのではないか。これによって、長期的な観点から見ても、人口減少による致命的ないくつかの問題点を海外からの配当収益によってカバーすることができるのではないだろうか?

少子高齢化

投資はしっかりとした知識を身につけることで、大きな損失を出すリスクを減らし、安定したリターンを生み出す効果が期待できる。このブログを読んでくださっている個人投資家の皆さんには、ご自身の資産を世界に分散して投資することで、世界経済の成長に貢献していただければと思う。

*****

【インフレヘッジとしての国際分散投資】

国際分散投資により、複数の国や地域、商品に資産を分散して保有することはインフレ対策としても非常に有効な手段となる。

インフレ率(%)資産を半減させる年数(年)
236
324
514
711

インフレは一般的に過小評価されているけれども、年率2%程度のインフレが続くと仮定した場合、購買力は36年で半減する。仮に年率3%のインフレが続けば、購買力は24年以内に半減し、次の24年でさらに半減してしまう。

年率3%のインフレが続いた場合の購買力
現在の価値24年後48年後72年後
10,000円5,000円2,500円1,250円

厚生労働省の「平成27 簡易生命表」によれば、現在の日本人の平均寿命が男性:80.79歳、女性:87.05歳とされていることからも、これは明らかに重大な問題といえる。

なぜなら、額面上の資産が増加してもインフレにより物価が上昇し、実質の資産価値そのものが目減りしてしまえば、何の意味も成さないからだ。

さらに、何のインフレ対策も講じなければ、贈与や相続の際、承継できる資産価値が大幅に目減りしてしまうことになる。
日本人の多くは預貯金が大好きなことは重々承知しているが、これからは現金だけではなく、インフレに強い資産も積極的に組み合わせていく必要があると思う。

*****

【資産運用を始める前に】

資産運用と聞くと、高利回りで資産を殖やすことをイメージされる方が多いかもしれない。

しかし、資産運用において大切なことは、「
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと」であるといえる。

資産運用の本質高利回りで資産を殖やすこと → ×
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと → 

これから資産運用を開始される方は、まずはご自分が取れるリスクの限界の範囲内を定め、目的を達成するための長期的な投資計画を立案されることをおすすめしたい。

そのためには、資産配分方針を策定し、市場の変動に左右されず、機械的に自らが決めたルールを守っていくことが重要であり、具体的にどれくらいの期間で、どれくらいの資産を確保したいのかを投資を始める前に逆算し、明確に設定しておく必要がある。

・20
代、30代の方々の資産設計

20代、30代の方々は、これから資産をじっくり形成し、殖やしていく世代となる。この世代の方々は、老後の準備資金や子どもの教育資金など、具体的な目標を立てる必要がある。最終的に目標金額に到達すればいいわけだから、日々の価格の変動や市場の誘惑に一喜一憂する必要はない。決して目先の短期的なリターンを追いかけるのではなく、10年、20年といった長期に渡る投資計画を立て、積立によって少しずつ元本を追加しながら資産運用を継続できる仕組み作りが重要となる。

・40
代、50代の方々の資産設計

40代、50代の方々の中には、すでにある程度の金融資産をお持ちの方も多いことと思う。資産規模が大きくなり、年齢が高くなるにつれ、資産形成期とは異なった資産運用を検討する必要が出てくる。すなわち、若い世代と異なり、これからは資産を減らさない、守るという発想に切り替えて行く必要がある。人生において最も高いリスクのひとつは、将来働けなくなった時にインフレの打撃を受けて、生活資金が目減りしてしまうことではないだろうか?

*****

【リスクとリターン】

お金のことを考えるとき、最も基本となるのはリスクとリターンの関係だ。

図1

リターンというのは「投資したとき、どのくらい儲かるかという利益」のことをいう。

その一方、リスクとは「危険性」であると誤解している方もおられるが、投資の世界ではリスクとは「変動」のことをいう(
これは投資の世界では明確に定義されている)。言い換えれば、リスクが高いというのは「変動が大きい」状態のことをいい、リスクが低いというのは「変動が小さい」状態のことをいう。

リスクが大きい(ハイリスク)変動(値動きのブレ幅)が大きい
リスクが小さい(ローリスク)変動(値動きのブレ幅)が小さい

なお、リスクとリターンには、必ず以下の関係が成り立つ。

リスクとリターンハイリスクハイリターン
ローリスクローリターン

資産運用の本質とは、「リスクをどのようにしてどこまで取るのかを予め設定し、超過リターンを狙う行為」であるといえる。

リスクを取らなければリターンは得られない。リスクを取らずしてリターンだけ得ることは不可能だ。なぜなら、リターンの源泉がリスクである以上、リスクが小さい商品からは大きなリターンの源泉が生まれるはずがないからだ(厳密にいえば無リスク裁定という行為があるが難しいのでここでは書かない)。

もっとも、リスクを取っても必ずしもリターンがあるとは限らない点には注意が必要だ。あくまでもリスクを取ることによって、高いリターンが得られる可能性が高まるということ。

しかし、残念ながら、リスクを取れば必ずリターンが得られるという保証はどこにもないことは投資の難しいところでもあるのだが
...。

*****

【短期集中投資から長期分散投資へ】

金融市場は投資家にとっては誘惑が多いのも事実であり、投資家の多くは、注目を浴びている銘柄を買いたくなるものだし、あるいは保有している商品が値下がりすれば売りたくなってしまうものだろう。

本来であれば、世間から注目されているような割高な銘柄は売り、注目されていない割安な銘柄を買うべきなのだが、どういうわけか多くの投資家は割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売るといった真逆の行動を取ってしまっているのが現状のようだ—―。

資産運用においてもっとも重要なことは、「市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続する」ことにある。市場の誘惑に惑わされないためには、まず、運用の基本方針と目標を決めること。そのためには、「どれくらいの期間で、最終的にどれくらいの資産を確保したいのか」を明確に設定しておく必要があるといえる。

*****

【投資のプロの
80%は市場平均に勝てない

資産運用には大きく分けて、アクティブ投資とインデックス投資の
2つの運用スタイルが存在している。

アクティブ投資市場平均よりも多くの利益を獲得するために銘柄を絞って集中的に投資を行い、市場平均を上回るように運用する投資方法
インデックス投資株価指数を構成する全ての銘柄に分散して投資し、市場平均と連動するように運用させる投資方法

アクティブ投資は一時的には大きく利益が出ることもあるが、その一方で予測が外れてしまった時の失敗も大きく、ハイリスク・ハイリターンな投資方法であるといえる。実際に、機関投資家が運用するアクティブファンドの80%は市場平均(インデックス指数)を下回っており、「投資のプロでさえも継続して市場平均を上回ることは難しくなっている」のが現状だ。

さらには、長期的に市場平均を上回った運用機関を絞り込むと、その数はさらに少なくなり、しかも投資家であるあなたがそれを事前に知ることは極めて難しいといえる(※ここでいう
80%とは投資のプロの全体の数値なので、個人投資家を含むと全体では95%以上が市場平均を下回っていると考えられる)。

もちろん、その中には市場平均を上回るトップ
20%のアクティブファンドも存在することは事実だが、それだけ優秀な運用機関があるとすれば、それはすでにマスコミや週刊誌で注目され、私たちも知っているはずだ。しかし、あなたにそれがわからないとすれば、やはりインデックスファンドに投資したほうが賢明な選択であるといえるのではなかろうか?

*****

【運用の基本はインデックスファンドを活用すべし】

インデックス投資は市場平均に連動する商品を保有するだけの非常にシンプルな投資方法のため、大きな成功は期待できない反面、長期的にみれば安定した収益を実現することが期待できるローリスク・ローリターンな投資方法であるといえる。

IMF(国際通貨基金)が予想する世界全体の平均年間GDP成長率は3%4%程度と言われているので、インデックスファンドを保有し、世界経済の成長率の波に連動させておけば、世界の経済成長率と同様のリターンが得られることになる。

国際分散投資④

世界の経済成長率の水準を遥かに上回る運用方法の先にあるのは奪い合いのゼロサムゲームの世界に他ならない。ここには、前提として、一部の勝者のために敗者が多数存在する必要がある。

安定した資産運用、資産保全のあるべき本来の姿とは世界経済の成長率を享受するプラスサムの世界であるといえるのではないだろうか?

これから資産運用を始められる皆さんは、インデックスファンドを活用することにより、「最小限の労力(費用対効果)で平均点を取ることが可能」となるため、積極的に活用されることをおすすめしたい。

*****

【コラム①:金融機関のトレーダーは何に投資しているのか?】

金融機関のトレーダーをしていた頃、クライアントによく聞かれる質問があった。

それは、「
あなたたちトレーダーは可処分所得を一体何に投資しているのか?」という質問だった。

個人投資家の多くは「
金融機関のトレーダーは投資のプロだから、家に帰ってもトレードに精を出しているに違いない」と思われているかもしれない。

しかし、その答えは
NOだ。そもそも、証券取引法ではフロントランニング(金融機関のトレーダーが業務でポジションを取る前に自己資金を投資して利益を得る行為)は厳格に禁止されているため、給料を自己のトレード資金に充てることはできない(一応そういうルールになっている...)。

というよりも、法律以前に金融機関のトレーダーはそもそも家に帰ってトレードをする時間が存在しない。トレーダーという職業にはそもそも残業という概念が存在しないので、起きている時間はすべて会社の利益に貢献すべく「現金製造機」になることが要求されているのだ。それができなければ翌朝出社したら、自分のデスクはなくなっているだろう。

私が知る限り、金融機関で働くトレーダーの多くは機械的に資本を積み立てながらコツコツと地味に投資をしている。なお、ここでいう投資とは一般的に言われている「
安く買って高く売る」という行為ではない(これは投機性収益の獲得を狙うトレード行為そのものに他ならない)。

何とも皮肉な話だが、金融機関のトレーダーの多くは「銘柄分析」もせず、「値動きのチェック」もせず、「売買」もせず皆さんの想像とは全く異なる投資を実践しているのだ。

これから数回にわたって国際分散投資を例に投資の超基本的な内容を書いていくが、ここでの内容は金融市場(マーケット)に対して常に中立的(ニュートラル)な立場を採用していくこととする。「どのタイミングで買うのか?」「どのタイミングで売るのか?」「何に投資したら儲かるのか?
といった内容に関しては一切触れないので、トレードがうまくなりたい方はあまり参考にはならないかもしれない。

私はトレードが趣味の方を否定はしないし、むしろ多くの日本人が積極的に金融市場に参加することは非常に好ましいことだと思っている。だけど、トレードがうまく行かない方はトレードそのものを辞めてしまったほうがいい。また、時間の無い方は平均点だけ狙って行けば十分だ。

金融市場は常に誰にでも開かれている。それは決して機関投資家だけのものではないし、フリーターの方、派遣社員の方、主婦の方、会社員の方。たとえお金がなくても、時間がなくても、投資は実践できるということを少しでも多くの方にお伝えできればと思う。

国際分散投資②~分散・積立・インデックス】へ続く

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(参考:カン・チュンド
忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)

鉄と粘土の王国


ネブカデネザルの治世第
2紀元前604、バビロニア帝国の統治者であったネブカデネザル王はある夜、不思議な夢を見た。神は夢の中でその結末を示されたが、朝目覚めた王はその夢の内容を忘れてしまった。

その結末はおろか、夢の内容さえもすっかり忘れてしまった王はバビロニア帝国の学者たちを集めたが、誰一人としてその夢を解き明かせた者はいなかった。

そんな中、バビロン捕囚によりエルサレムから捕虜として連れてこられたダニエルは、王の見た夢の解き明かしをする。
ダニエルの預言したネブカデネザルの夢の内容は以下の通りだ。

王は夢のなかで1つの巨大な像が立っているのを見ました。頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、すねは鉄でできていましたが、足の一部分は鉄、一部分は粘土でできていました。

そのうち
1つの石が山から落ちてきて、この石が像の足を打ち砕きました。すると、鉄も粘土も青銅も銀も金もみな砕かれて、跡形もなくなってしまいました。

しかし、像を打ち砕いた石はどんどん大きくなって、世界中に満ちていきました—―。


kingdom of iron and clay
画像引用元:「
Bible Study Resoures


そして、ダニエルは王の見た夢を説明した後、その解き明かしを始める。


純金でできた頭はネブカデネザル王の統治するバビロニア王国のことを指し、その後に少し劣った銀でできた第2の国が興ります。

次に青銅でできた第
3の国が興って世界を治めます。その後第4の国は鉄のように強い国で、鉄が他のものを粉々に壊すように先の国々を打ち壊します。

最後に王が夢で見たのはその一部が鉄、その一部が粘土でできていました。この国はとても強いですが、一部に弱いところがあります。つまり4の国は分裂した国家のことを指し、鉄が粘土と混じり合わないように、決して一致団結することはありません。

そして最後に、神はこれらの王たちの時代にまったく別の新しい国を建てられます。その王国はこれまでの王国を打ち砕き、永遠に滅びることなく立ち続けるでしょう。

そして、1つの石が人手に寄らず山から落ちてきて、鉄も粘土も青銅も銀も金もすべて砕いてしまいます。この夢は後世に起こる出来事を王に知らせたもので、正夢であり、その解き明かしも確かです――。

*****

【民主主義の本質は愚集政治である】

6/23に実施された国民投票により、イギリスのEU離脱(ブレグジット)が国民投票によって決定した。

今回の投票はどちらに転んでもおかしくない状況だっただけに、世界中のマーケットに与えた影響は予想以上に大きく、金融マーケットは一時的にリーマンショックを彷彿とさせる大混乱に陥った。

実際に
EU離脱が行われるのは2年後の2018年とのことだが、金融マーケットというのはいつも瞬時に価格を織り込んでしまうのが、どうも厄介なところだ。

しかも、マーケットの世界は待ってましたと言わんばかりに、いい事も悪い事も立て続けに起こる。


私は米国為替報告書を参考に1ドル=102円相当が適正と捉えてポジションを管理していたので、100円を割れて来たときはさすがに驚いた。


まぁ、為替の話はひとまず置いといて...。

今回の出来事は、良くも悪くも「民主主義」の恐ろしさを私たちに教えてくれる絶好の機会となったことは間違いない。

世界中どこの国であれ、賢い人間(有識者)と愚かな人間(無知な人)は人口比率でいえば、相対的に後者のほうが圧倒的に多くなる。

したがって、多数決という方式を採用した場合、後者の意見が尊重されることになり、誤った判断をする可能性も少なからずあるわけだ。

(※
もちろん有識者が必ずしも正しい判断をするわけではないし、無知な人が必ず間違うわけではない)

ごく一部のエリートたちが行う独裁政治も問題だが、大部分の無知な民衆の意見を尊重する衆愚政治もまた問題である。「民主主義」と言えば聞こえは良いが、その実態は「衆愚政治」に他ならないのだ。


*****


【鉄と粘土が意味するものとは?】

ネブカデネザル王の見た夢と、それに対するダニエルの解き明かしを史実に当てはめて考えてみるとどうなるか、聖書は以下のように解釈しているようだ。

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画像引用元:「Bible Study Resoures

まず、純金の頭でできたネブカデネザルの統治する第1の国はバビロニア帝国を意味する。

1の国:バビロニア帝国(独裁政治)

バビロニア帝国
は独裁君主制により完全な統治が行われていたが、ダニエルはいつの日かこの王国が滅びることを王に伝えている。事実、紀元前539年、金の頭であるバビロニア帝国は73年に及ぶ世界制覇に終止符を打ち、滅亡した。

・第
2の国:メド・ペルシア連合帝国(
寡頭政治)

バビロニア帝国に代わり、
メド・ペルシア連合帝国が紀元前539332年までの約200年間、世界を支配することになる。しかし、団結力・統一性に欠けるこの連合帝国は金の頭ほど強固でなく銀の胸と両腕である。

・第
3の国:ギリシャ帝国(貴族政治)

クロスが指導した寡頭政治は終わり
、紀元前333年頃、アレクサンドロス率いるギリシャ帝国が誕生した。ギリシャ帝国では貴族政治が行われ、寡頭政治に比べ、 団結力がさらに劣った腹とももが青銅の国家であった。この後、紀元前275年、一都市国家にすぎなかったローマはイタリア全土を拡大。紀元前86年にはアテネを陥落させた。

・第
4の国:ローマ帝国(平民政治)

こうしてローマ皇帝(
シーザー率いるローマ帝国が誕生する。たしかにローマ帝国は強力な軍事力を誇ったが、皇帝の権威や権力は元老院と民会、つまり平民政治によって相対的に劣ってしまい、 ローマ帝国はすねが鉄でできた国に例えられる。これは鉄がもっとも庶民的な金属によることに由来する。

その後、ローマ帝国は滅びるが、ローマ法はヨーロッパ文明の基礎となり、ドイツやイギリスなどヨーロッパ諸国に影響を与えた。
彼らは、アジア・アフリカ・中南米などの植民地支配、また貿易などによる外貨獲得により世界覇権を握った。

この流れは「パックス・ロマーナ
(ローマ帝国)」に始まり、産業革命後の「パックス・ブリタニカ(大英帝国)」、第二次世界大戦後の「パックス・アメリカーナ(アメリカ)」を中心とした平和の構築へと続いていくことになる。


・第
5
の国:アメリカ合衆国

さて、
20世紀後半になるとアメリカ合衆国が世界を支配するようになった。アメリカ合衆国は圧倒的な軍事力を持つが、大統領選挙に見られるように、民主主義国家であるため、投票結果はほぼ5050のイーブンに近い結果となる。

また、移民国家であるため、様々な人種と宗教が交じり合う国でもある。彼らは有事の際は、星条旗の下に一致団結するが、その日常は分裂状態であるのが実情だ。
そのため、鉄のように固い一方、いつ分断されるかもわからない粘土のような状態であり、足が鉄と粘土でできた国と呼ぶことができる。

こうして考えてみると、
現在のヨーロッパも移民国家になりつつあり、アメリカと同じように分裂しつつあることがわかる。

*****:

EU(欧州連合)は長くは続かない


そもそも歴史を紐解いて考えてみれば、ヨーロッパが統一され、平和が保たれていた時期というのはごくわずかで、そのほとんどは争いの歴史であったといえる。

現在のヨーロッパでは、互いの国同士が歩み寄り、戦争のない平和な世界を目指して、EC(ヨーロッパ共同体)やEU(欧州連合)が設立され、ヨーロッパの統一を試みてきた。

また、政治的にも体制を統一し、ユーロをヨーロッパの基軸通貨として、彼らはかつてのローマ帝国の再来を目指しているようにも見える。

しかし、分裂したローマ帝国は、再び元の姿に戻ることはないだろう。
国同士が友好関係を築くこと自体、私は不可能だと思っている。

euro
画像引用元:「endtimesresearchministry


イデオロギーがいかに素晴らしいものであれ、それを実現できないとなれば、ただの絵に描いた餅にすぎない。

そもそも、ユーロという基軸通貨を導入したことによって、誰が最も恩恵を享受しているのかを考えてみればいい。これは明らかに
ドイツとフランスだろう。


ユーロを大量に発行し続ければ、市場に出回るユーロの発行量は供給過剰に陥ることになるから、やがてユーロは相対的に通貨安になる。



ユーロを通貨安に持っていければ、労働力や資源など、ユーロ建ての生産要素を他国よりも相対的に引き下げることができる。



ユーロ建ての生産要素を他国よりも相対的に引き下げることができるということは、
国際競争力が高まるわけだから、自国の貿易収支の黒字化が期待できる。


 

国が違うのにも関わらず、通貨が同じということは、EU(欧州連合)に近隣国家を引きずり込んでいけば、必然的にユーロという通貨の発行量が増えることになり、ユーロの通貨価値は下落する。



特に、
PIGS(ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン)のようなお荷物国家を少しでも多く引きずり込むことができれば、ユーロはどんどん通貨安になっていくことになる。




赤字国債を発行しまくるような国は、足を引っ張って通貨価値を落としてくれるありがたい存在なのだから、
ドイツやフランスは労せずして、輸出で大儲けができ、貿易収支を大幅に黒字化できることになる。
 

何てことはなくて、国同士というのは、いつだってテーブルの上では握手をし、テーブルの下では足を蹴飛ばし合っているものだ。

国同士の歩み寄りなど理想論に過ぎないのであってEU(欧州連合)とはテーブルの下を覗いて見れば「鉄と粘土の王国」そのものなのだ。

*****


【世界経済はどこに向かうのか?】

イギリスはこれから大きな試練が待ち受けているだろう。

まず、金融センターとしての
ロンドンの地位は相対的に低下する、これは避けられない。スコットランドと北アイルランドは独立投票をしてEUに参加を表明する流れになるのか。イギリスは離脱派が首相になると思われるが、残留派の抵抗が待ち構えている。

こうした混乱はイギリス国民を分裂させかねず、
連合王国が崩壊する可能性さえも考えられる。特にイギリスは金融サービスのウエイトが非常に高いので、金融関係者の失業率が上がるように思う。

さらにこれに乗じて、フランスも
EU離脱の国民投票をするべきだと騒ぎだしている。経済問題よりも移民問題が論点になっているのだろう。移民によるテロ行為があったのはご存知のとおりだ。

もし、フランスが離脱した場合は、
EU(欧州連合)のツートップ体制が崩れ、ドイツとの関係が非常に複雑になる。万が一、フランスの離脱が実現してしまうと、イギリス・フランスVSドイツという、第二次世界大戦の最悪の構図に逆戻りになってしまうわけだ。

当面の間は、欧州を震源地としてリスクオフとリスクオンが交互にやって来ることになるだろうから、必然的にボラティリティは上昇局面が続く。

そうなると、アメリカは自国内の景気と世界景気のバランスを絶妙に取っていく必要があるために、金利を上げられる状況ではなくなる。むしろ利下げもありうるかもしれない。

日本は最悪
90円台まで円高が進みデフレ経済に逆戻りする。今の外部環境だと残念ながら円高の流れを喰い止めることはできない。消費税増税の延期が決まったが、むしろ減税しなければ景気が持たないかもしれない。敢えて言えば内需関連のうち、デフレ関連企業は成長が期待できそうだ。

私自身、金融取引の現場でサブプライムショックやリーマンショックを経験させてもらったが、
経済がグローバル化した現在、もはや一国の問題はその国だけの問題では済まなくなっている。

以前このブログにも書いたが、国際化と呼ばれていた時代は、各国が「桶」のようなイメージで「ひしゃく」を使って、水(お金)をすくってお互いの桶に移し合っていた。

ところが、グローバル時代というのは、地球全体が巨大な「風呂」のようになってしまったために、
浴槽の栓を誰かが引き抜いてしまうと、地球上の水(金)は栓の抜けた穴に向かって一斉に流れて消えてしまうのだ。

今や実体経済と金融経済は主従関係が完全に逆転してしまい、
実体経済は金融経済に完全に引き連られてしまっている。

マーケットで取引をされるのは構わないが、本当に暴落が襲って来たとき、約
1年遅れで景気に影響を及ぼすことを私自身、過去に学ばせてもらった。地震に例えれば、金融経済が初動のP波だとすれば、実体経済は、約1年遅れで本震のS波が到達する。くれぐれも注意してほしい。

*****

【鉄と粘土の王国】

民主主義は多数決に基づく政治であるといわれる。それは、人々が相互に検討した結果、最終決定をする場合、賛成者の多かった方をとるのが多数決の原理である、と民主主義の中では位置付けられている。

多数決の原理は少数意見を排除したり、多数の美名の下に少数意見を抑圧したりすることを意味しない。多数決の原理は必ず少数意見の尊重と不可分のものである。

たとえ、いまは少数意見であっても場合によっては多数になりうる可能性が開けているところにこの原理の特徴があるのであって、なんでもかんでも多数で押し切ることは戒められている。

なお、民主政治が成功するためには、以下の
4つの条件が必要不可欠とされている。

1に、その国の社会的・経済的条件がよくなければならない。さらに、国内において大きな脅威となるような事件が少ないということである。国民に不安感がないということが民主政治がうまく行われるための何よりの前提である。

2に、国民の心理的な態度が問題となる。つまり、国民の政治的関心が高くなければならないということである。

3に、国民の道徳的な観念と個人の責任観念の希薄なところでは民主政治は成功しない。権利ばかり主張して義務を怠るところでは秩序と平和は保たれない。

4に、平和的条件が考えられる。特に戦争においては、社会的変動性が激しくなり、民主主義と一致しなくなるからだ。民主主義は人々の平和な心の中に根ざすといえる。

そのうち1つの石が山から落ちてきて、この石が像の足を打ち砕きました。すると、鉄も粘土も青銅も銀も金もみな砕かれて、跡形もなくなってしまいました。

しかし、像を打ち砕いた石はどんどん大きくなって、世界中に満ちていきました—―。


さて、ダニエル書のなかで、像を打ち砕いた石の正体は何なのだろうか?

私は少し否定的な考え方をしていて、この石の正体は「核」ではないかと思っている。

民主主義とは非常に恐ろしい一面も持っていることはすでに述べたとおりだ。

万が一、大多数の人間が「誤った方向、誤った人間」に投票してしまったら何が起こるのか?

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画像引用元:「Mountainside Ripples

もうじきアメリカの大統領選挙が始まる。

もしアメリカの市民権を持っている方がいれば一言だけ言わせてほしい。



  

きちんと調べてから投票してくれ! 


(参考: イギリスEU離脱劇にみる「民主主義」の脅威
(参考: スコットランド独立機運再燃 連合崩壊の懸念
参考: 中西 寛、石田 淳国際政治学」有斐閣, 2013
参考: 上川 孝夫、藤田 誠一現代国際金融論」有斐閣, 2012

マイル経済圏を変えてみる~スターアライアンスからワンワールドへ~


どうも金融緩和が最近のトレンドらしい。

自国通貨を大量に発行し続ければ、市場に出回る通貨の発行量は供給過剰に陥り、やがては通貨安を招く。

労働力や資源など、自国通貨建ての生産要素を他国よりも相対的に引き下げることができれば、国際競争力を取り戻すことができ、自国の貿易収支の黒字化が期待できる。

そういえば、第二次世界大戦は「列強諸国が自分たちの植民地を経済圏として囲い込み、通貨切り下げ競争に発展したことが開戦に至る最大の要因だった」、と世界史の授業で習った記憶がある。

アメリカは「ニューディール政策」、イギリスとフランスは「ブロック経済」、日本は「大東亜共栄圏」
...

2015
10月現在、1USドルがだいたい120円くらい(USDJPY ≒ 11.2)、アベノミクスが誕生した201211月当時の1USドル ≒ 80円くらい(USDJPY ≒ 10.8)の水準と比較すると、実に50%以上も円安が進行していることがわかる。

これで戦争にならないのはマジで奇跡としか言いようがない
...
 



もっとも、名目上の為替レートではなく、上図の実質為替レートで比較すれば、まだまだ円は相対的に割高水準なので、もっとガンガン刷りまくってもいいような気もするのだが
...

どうなんだろうね
(¬_...

*****

【マイル経済圏の金融緩和】


さて、マイルの話。

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出典:「diffen.com

最近はどこの航空会社もマイルをばら撒き、自社マイルの価値を切り下げている。

すなわち、マイルは広義では「仮想通貨」であるため、ここでもかなり大規模な金融緩和が行われていることがわかる。

冒頭で「通貨切り下げ競争が開戦に至った最大の要因であった」と述べたが、現代社会においては戦争の舞台は金融・経済へと変わり、熾烈な通貨切り下げ競争は今もなお続いている。

言い換えれば、ひと昔前は経済圏を取り囲む主体が「国民国家」であったが、
21世紀では「多国籍企業」が国境を越えたアライアンスを組んで経済圏を取り囲む構図へと主体が変わっただけの話だ。

(※さらにはアライアンス内においても通貨切り下げ競争は進み、自社マイルの価値を相対的に切り下げることにより、特典航空券を他社で取らせるような思惑が見受けられる。)

こうして考えてみると、国境線の概念が姿を消したグローバル社会においては、私たちの消費行動は無意識のうちに多国籍企業の経済圏に組み込まれていることになる。

国家が中央銀行を通じて発行する「通貨」から多国籍企業が自社で独自に発行する「仮想通貨」の時代へ。

私たちが気付かないうちに、時代は少しずつ変化しているようだ。


*****

最近では日系の航空会社のマイルがハイパーインフレを起こしており、マイルの価値が目減りしてしまったように思う。

たとえば、日系の航空会社を見ると、
JALPONTAカード、ANA→楽天ポイント、Tポイント。そして各種クレジットカード利用によるマイルの付与やカード入会にともなうボーナスマイルの獲得など。

日本にいると、多種多様な「仮想通貨(電子マネー)」を利用することができ、それらを経由させて消費活動を行えば、日常生活において効率的にマイルを獲得することができる。

皮肉と賞賛を込めて言えば、日本は実に多様性に富んだ国だと思う。

だが、このようなマイルのバラ撒きが行われた結果、膨大な数の陸(おか)マイラーが誕生し、とうとう特典航空券が取りにくくなってしまった(私はだいたい空:陸 = 
73くらいだろうか)。

さらに上記に加えて、特典航空券が取りにくくなってしまった最大の要因は、何と言っても「マイルを効率的に貯める方法を陸マイラーがブログに晒してしまったから」だと思う。


①陸マイラーが効率的なマイル獲得方法をブログに晒す。

②陸マイラーがマイルを貯めやすくなる。

③陸マイラーが特典航空券に交換しようとする。

④そもそも航空会社は提供できる座席数が限られている。

⑤航空会社は止むを得ず、交換に必要なマイル数を引き上げる。

⑥マイルの価値が目減りする。

⑦アライアンス内の他社も特典航空券だけ取られると困るので、マイル価値を切り下げる

⑧クレジットカードなどマイル経済圏を拡張して金融緩和を行う

⑨さらにマイルの価値が目減りする。

①に戻る
 

考えてみれば当たり前の話だが、「一人ひとりが正しいとされる最適な行動をとったとしても、全員が同じ行動を実行してしまうと、想定とは逆の思わぬ悪い結果を招いてしまう」ということの良い事例だ。

これを経済学では「合成の誤謬(ごびゅう)」と言う。

特典航空券という「限られた座席」を奪い合う椅子取りゲームはまさに過酷なゼロサムゲームの世界であり、ゲームの参加者が増えれば増えるほどゲームの参加者は自らの首を絞めるという悪循環に陥る。

私はこの殺伐としたゲームから離脱し、最適化のパラメータを独自基準でチューニングすることにした。

ここから、組み合わせの最適化ゲームが始まる。

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出典:「HOW TO: Optimize Your Content for Social Disc

*****


Step1 スターアライアンスからワンワールドへ】


世界には大きく分けて
3つの航空アライアンスがある。

1
つはワンワールド、日本ではJALが加盟している。

2
つ目はスターアライアンス、日本ではANAが加盟している。

3
つ目はスカイチーム、日本では加盟航空会社はないが、世界最大のデルタ航空が加盟している。

上記
3つのアライアンスがマイル経済圏を形成し、凌ぎを削っている。

私は今までスターアライアンス系の
ANAマイルをメインの受け皿、シンガポール航空のKrisFlyerマイルをサブの受け皿として使っていた(飛行機に乗る頻度が羽田-シンガポールの往復が多かったこと、またシンガポール航空傘下のシルクエアーではANAの積算対象外だったため、KrisFlyerでしか加算できないからだ。少しでももらえるものはもらうべき)。

羽田-(
ANA or シンガポール航空)-シンガポール

ところがここに来て、当面はマレーシア国内を拠点に活動することになったため、成田-クアラルンプール-マレーシア国内の往復が増えると予想される。

成田-(
JAL or マレーシア航空)-クアラルンプール-(マレーシア航空)-マレーシア国内

もっとも、成田-クアラルンプールを
ANAで移動、クアラルンプール-マレーシア国内をマレーシア航空で移動するルートもあるが、クアラルンプールで荷物を一度受け取ってから預け直す手間と航空アライアンスがバラバラになるので、極めて非効率的である。ゆえに却下。

成田-(
ANA)-クアラルンプール-(マレーシア航空)-マレーシア国内

さらには、羽田
or 成田-シンガポールをANAで移動、シンガポール-クアラルンプールをシンガポール航空 or マレーシア航空で移動(飛行時間わずか40分)、クアラルンプール-マレーシア国内をマレーシア航空で移動するルートもあるが、これをやるとさらにわけがわからなくなる。ゆえに却下。アライアンスがバラバラなのと壮大なる時間の無駄使いである。

羽田
or 成田-(ANA)-シンガポール-(シンガポール航空 or マレーシア航空)-クアラルンプール-(マレーシア航空)-マレーシア国内

まぁいろいろな事情が重なったこともあり、この際、思い切ってスターアライアンスからワンワールドにマイル経済圏そのものを変えてみることにした。

ここまでが
1stステップ。


*****


Step2 どこの航空会社を選ぶのが最適か?】


さて、航空アライアンスをワンワールドに変更するとして、どこの航空会社を選ぶべきなのだろうか?

先に述べたように、日系航空会社は特典航空券が取りにくくなったのと、私は日本の居住者ではないので、JALは選択肢から除外した。マイルが貯まりやすくても日本で消費行動を行えないのであれば私には極めて不利である。

それに
...仮にマイルが貯まったところで特典航空券が取れなければ意味がないし...

「それなら特典航空券ではなく、商品券に変えて利用すればいいではないか?」という人がいるかもしれない。

これはもっともな意見ではあるが、商品券に変えてしまうと等価交換になるので
1マイルは1マイルの価値しか生み出さない。

①「エコノミークラスでチケットを取ってビジネスクラスにアップグレードする」

②「最初からビジネスクラスかファーストクラスで取る」

上記いずれかを選択しないかぎり、獲得マイル:利用マイルの交換比率は
11.xx>0)とはならないのだ。

ゆえに、この
xの値が大きければ大きいほど、経済的合理性があるといえる。


JALマイレージバンク(日本航空:日本)
jal_logo
 

enrich(マレーシア航空:マレーシア)
malaysia_airlines_logo
 

③アジアマイル(キャセイパシフィック航空:香港)
cathay_pacific_logo


上記はいずれもワンワールドに加盟しているアジアの航空会社だ。

まず、先ほど
JALは選択肢から除外したので①は消える。

次にマレーシア航空。やっぱりマレーシアを拠点に活動するのであれば、マレーシア航空が無難な選択肢となるのだろうか。

しかし、マレーシア航空が拠点を構えるクアラルンプール国際航空だが、私の個人的な考えとしては隣国シンガポールのチャンギ国際航空に完全に負けている。はっきり言って比べものにならないレベルだ。

ただし、マレーシア航空を最も使うだろうからマレーシア航空の
enrichに加入したほうが何となくいい気もする。根拠はない。う~ん、何となく...。とりあえず②は選択肢として残す。

3
番目のキャセイパシフィック航空だが、ワンワールド系ではアジアの中継点である香港を拠点としているから、ハブ空港として利用するメリットは極めて大きい。香港は、輸送や金融のハブ機能としてはダントツでアジア最高レベルだ。

香港はよくシンガポールと比較されるが、個人的には香港のほうが格段にレベルが高いと思う(余談だが、香港とシンガポールは国土が小さいために国内線という概念が存在しない。ハブ機能を充実させるしか外貨を獲得する手段がないため、ハイレベルにならざるを得ないという事情もある)。

そうなると、やっぱりキャセイパシフィック航空のアジアマイルにしたほうがいい気がする。③が最有力候補だ。

さぁ、困ったぞ。

②と③、どっちを選択するのが最適なのだろうか
......
 

hikaku

ここで、エクセルで図を作りながらある事に気付いた(ビジネスクラス以上は条件が同じなのでエコノミークラスで比較、どうせ自分の金ではビジネスには乗らないしw)。

仮にアジアマイルでマレーシア航空のマイルを貯めた場合、マレーシア国内線の割引チケットで搭乗すると、マイルの積算対象ではなくなってしまうことがわかった(私は「自分の金」では絶対に正規料金では乗らないのでこれはかなり痛い)。

同じアライアンス内であってもマイルの積算基準は航空会社各社によって異なるので、この点は注意が必要だ。

長距離フライトはともかく、私は今後
1,000マイル程度の国内線の移動をLクラス以下で年間20回以上乗る可能性があるので、アジアマイルを選択してしまうと1,000マイル×0.25×205,000マイルを放棄してしまうことになる。

仮に正規料金で乗ろうものなら、何と
20,000マイルを放棄することになる。

5,000
マイルといえば、仮に100円のショッピングで1マイル貯まるクレジットカードで決済した場合、50万円の買い物をして付いてくる陸マイル分に相当する。20,000マイルなら単純計算で何と200万円だ。


これはマジでもったいない


ゆえに、現時点で私にとってはアジアマイルで貯めるメリットはないということになる。

となると、しばらくの間、「マレーシアに在住して」主に「マレーシア国内で消費行動を取る」以上は、やはり「マレーシア航空のエンリッチ」で貯めたほうが効率的という結論になる。

ここまでが
2ndステップ。

これで空マイルは
OK、問題は陸マイルをどうするか...

*****


Step3 マイル経済圏を拡大する】

さて、今後のマイルをマレーシア航空のエンリッチで貯めていくことが決まった。

当面の間、私の空の基軸通貨はエンリッチマイルとなる。

では、最も効率的にマイルを稼げるクレジットカードはどういう条件で選択するべきなのだろうか?

ここで私がスクリーニングの条件としたのは、「マレーシア航空と提携している銀行+クレジットカードの組み合わせ」であること。

理由は、「銀行口座の引き落とし+クレジットカードの決済で利用額に応じて獲得できるマイル(リワードポイント)」よりも、「マイルの獲得に特化しているカード」を選んだほうが格段に効率が
よいからだ。

当初は「
HSBC(香港系)」、「スタンダードチャータード銀行(香港系)」、「メイバンク(マレーシア系)」と「CIMB(マレーシア系)」の4つを候補に挙げたが、上記の理由から今回はスタンダードチャータード銀行とCIMB2つに絞った。


Standard Chartered
scb_worldmiles_m

2RM(≒60円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国内)。

1RM(≒30円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国外)。

カード維持手数料:170RM(≒5,724円)/


香港系のスタンダードチャータード銀行を引き落とし口座に指定してクレジットカードを日々の支払いに充てると、
World Milesでは2RM(≒60円)の決済につき1マイル貯まる。このカードを海外で利用すると1RM(≒30円)の決済につき1マイル貯まる。

さらに、
World Milesはマレーシア航空のenrichマイルだけでなく、エアアジアのBig Point、シンガポール航空のKrisFlyerマイル、キャセイパシフィック航空のアジアマイルにも交換できるという優れものだ。これは非常に素晴らしいサービスだ。


World Miles

 

CIMB
CIMB-ENRICH-WORLD-MASTERCARD

3RM(≒90円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国内)。

1RM(≒30円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国外)。

カード維持手数料:588RM(≒17,640円)/

もうひとつはマレーシア地場銀行の
CIMBを引き落とし口座に指定してクレジットカードを日々の支払いに充てると、Enrich CIMBでは3RM(≒90円)の決済につき1マイル貯まる。このカードを海外で利用すると1RM(≒30円)の決済につき1マイル貯まる。


CIMB
thumbnail-enrich-world-elite-mastercard

2RM(≒60円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国内)。

1RM(≒30円)の決済につき1マイル貯まる(マレーシア国外)。

カード維持手数料:1288RM(≒38,640円)/

さらに、
CIMBにはWORLD ELITEカードがあり、こちらはWORLD MILESとマイル積算条件が同じである。


①スタンダードチャータード銀行+
WORLDマイル

CIMBEnrichマイル

CIMBEnrich Eliteマイル


さて、上記
3つのいずれかが選択肢となるが、どれを選べば最適なのだろうか?

*****

頭を整理しようかw


以下に
3枚のクレジットカードがある。


【クレジットカード
X(①)】

60円の決済につき1マイル貯まる(国内)。

30円の決済につき1マイル貯まる(国外)。

カード維持手数料:5,724/


【クレジットカード
Y(②)】

90円の決済につき1マイル貯まる(国内)。

30円の決済につき1マイル貯まる(国外)。

カード維持手数料:17,640/


【クレジットカード
Z(③)】

60円の決済につき1マイル貯まる(国内)。

30円の決済につき1マイル貯まる(国外)。

カード維持手数料:38,640/


まず、XZ同一の積算条件で年間維持手数料がX>Zとなるため、Zは消える。

次に、
XYは積算条件がX>Y、かつ年間維持手数料がX>Yとなるため、Yは消える。

ゆえに、Xが最も優位性があるということになる(X=スタンダードチャータード銀行+WORLDマイル)。 


Xを保有するメリットを検証する。

A
さん(私)は年間で約250万円程度をクレジットカードXで決済する。そのうち、マイル積算比率は空:陸が73くらいである。なお、陸の部分を1として考えた場合、国内と海外の決済金額比率は64くらいである。


また、マイルの積算全体を
1として考えた場合、Aさんが加重平均をした感覚として、空(フライト)が6割、陸(クレジット決済)が4くらいである(すなわち、フライト×0.6+クレジット決済×0.4)。

陸のマイルを貯めるのに使われる金額は、
250万円×0.4 = 100万円

国内と国外での比率は、
64なので、それぞれに使われる金額は、

国内:
100万円×0.6 = 60万円
国外:100万円×0.4 = 40万円


クレジットカード
Xは国内で 60 円で 1 マイル、国外で 30 円で 1 マイルたまるので、それぞれでたまるマイルは、

国内:
60万円÷60 円 = 10,000 マイル

国外:40万円÷30 円 = 13,333 マイル

ここで、小数点以下は切り捨てて考える。

となると、
クレジットカードXを利用して決済するだけで年間23,333マイルが貯まる計算となる。


では、年間いくら買い物をしたらカードの維持手数料の損益分岐点を越えられるのだろうか?

仮に 年間X円の買物をすると仮定すると、国内外でたまるマイルは


国内:
X円×0.6÷60 = X÷100 マイル

国外:X×0.4÷30 = X÷75 マイル


したがって、獲得できるマイルは、
X÷100+X÷75 = 0.023333 X

カード維持手数料5,724円と等しくなるには、0.0233333X = 5,724

X = 245,314

したがって、年間で日本円換算で
245,314円以上の決済をすればカードを保有するメリットがあるといえる。


ということで、

enrich(マレーシア航空:マレーシア)を基軸通貨」として、「スタンダードチャータード銀行WORLDマイルのクレジットカード」を使って、「年間で245,314円以上のクレジット決済をする』というのが、私が行ったチューニングの最適解ということになる。

ふぅ~、これでやっと申し込みができるぞ
v

1ヶ月で元が取れそうだ♪


もしかしたら、多くの人たちはクレジットカードの入会ボーナスマイルに惹かれてクレジットカードを選択しているかもしれない。

たしかに、ボーナスマイルだけを獲得してすぐに解約するのであれば、そういった方法は決して否定はしない。

ただし
... 

毎日、金の卵を産み続ける鶏は慎重に選んだほうがいいかもしれないよ。


*****

【追記:ちょっといい話】


私は出張するとき、
Expediaをよく利用する。
expedia-logo

海外で支払いをするとマイルが3倍貯まるクレジットカードがあるとすれば、日本のExpediaにログインして円建てで決済すればスプレッド分が無駄にはなるが、私は3倍のマイルを貯めることができる(はず)。

(注意:Expediaのサイトはドメインが.comであるのに対し、日本のエクスペディアのドメインだけはco.jpである。そのため、英語サイトと日本語サイトは別々のアカウントを取得する必要がある。ゆえにエクスペディアのポイントは共有できないので注意のこと)。

マレーシアリンギット
USドル→日本円、為替レートは基軸通貨であるUSドルを介したクロスレートが適用されるのでスプレッド分が何だかもったいない気もするが、ここでいい方法を考えた。


USドル建てのサイトでカード決済すればリンギットUSドルのスプレッド分だけを余分にクレジット決済すればマイルが3倍になる。我ながらなかなかいい方法を考えたもんだ。


ところが
...

さっそく
Expediaマレーシアのサイトからアメリカのサイトにアクセスするとリダイレクトがかかり、マレーシアのページに戻って来てしまうことがわかった(おそらくIPアドレスから判別してローカルサイトにリダイレクトされるのだろう...)。


この場合の解決策としては
2つ方法がある。

①プロキシサーバーを経由して海外のサイトに接続する。
VPNで接続して海外のサイトに接続する。

上記のやり方がわからない方はネットで検索してみてほしい。


誰かがブログに晒しているはずだからね(¬_
...



(参考・画像引用元:   ワンワールド公式サイト」)
参考・画像引用元: スターアライアンス公式サイト
(参考・画像引用元:   スカイチーム公式サイト」)
参考・画像引用元: WorldMiles Credit Card - Standard Chartered Bank Malaysia
参考・画像引用元: CIMB Enrich World MasterCard (w.e.f. 28 Aug 2015) - CIMB Bank
参考・画像引用元: CIMB Enrich World Elite MasterCard - CIMBBank」)
参考・画像引用元: Expedia.co.jp - エクスペディア

沖合に浮かぶ小さな島~ラブアン訪問記~


沖合に浮かぶ小さな島。

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シンガポールからクアラルンプールを経由してラブアン島にやって来た。

ラブアンは、クアラルンプール、プトラジャヤと並ぶ連邦直轄領のひとつで、マレーシア東部サバ州の沖合いに浮かぶ小さな島だ。

labuan

この島を訪れる人といえば、コタキナバルからブルネイに渡航するフェリーの経由地のため、せいぜい乗り継ぎのバックパッカーが立ち寄るくらいのものだろう。


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島の中心部バンダルラブアン地区

また、ラブアンは
1990年にマレーシア政府がオフショア金融センター(通称:LOFSA)を設立して以来、近年はタックスヘイブン(租税回避地)として注目され始めている場所でもある。

アジアのタックスヘイブンといえば、香港やシンガポールが有名だが、正直なところ、ラブアンはパッとしない寂れた港町という印象を受ける。

LOFSA設立当初の時代背景を考えれば、マレーシア政府はおそらく、香港の金融センター1997年の中国返還後に国際的地位を失うことを密かに期待し、新たな外貨獲得の受け皿となるべくオフショアセンターを設立したのだろう。

ところが、返還後も香港の国際金融センターとしての地位は向上し続け、さらに隣国シンガポールからも大きく引き離され、マレーシア政府の思惑は
完全に外れてしまった。

しかしここで、
2000年代に入ると、人類史上かつてないほどの大革命が起きる。


Internet-Policy
出典:「
With Great Opportunity Comes Great Responsibility: The Role Of Business In Shaping Internet Policy

そう、IT革命だ。

ブロードバンドの急速な普及とともにITインフラが発達し、商取引が電子化され、私たちの経済活動の多くは物理的な制約から解放されるようになった。

Importance-of-Information-Technology-Everywhere2-e1400336165796
出典:「
Importance of Information Technology in Business


その結果、
金融取引を初めとする電子商取引の多くは、より税率の低いオフショア地域を求め、ラブアンへと資金が移動し始めた(実効税率で見れば香港16.5%、シンガポールが17%なのに対して、ラブアンはわずか3%である)。

ラブアンは上記のようなパラダイムシフトの恩恵によってその価値が再検討され、近年注目を浴び始めたと考えられる設立から25年経った今でも、特に島自体が発展しているようには見えないが...。 


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窓を開けると亜熱帯の風、まさに南国気分だ。


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しばらくの間、ゆっくり休暇を取るにはいい場所かもしれない。

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*****

ホテルを出て、
タクシーで周囲を回ったが本当に何もないのどかな島だ。


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免税港。ここを通過する貨物は全て免税扱いとなる。

考えてみれば、資源や産業に恵まれないラブアンのような島国は、税率を低くすることにより外資系企業を誘致し、外貨を獲得する戦略を取るしか生き延びる術はないのだ。


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こちらは倉庫街。日中は暑いので、ほとんど人影も見当たらない。

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関税が全くかからないのでアルコールやたばこ、香水などが非常に安く購入できる

*****

この島は、注目され始めているとはいえ、周辺諸国の経済発展から完全に取り残されてしまったかのように見える。

クアラルンプールから飛行機で
2時間余り、沖合に浮かぶ小さな島。

ケイマン諸島やバミューダ諸島など、たまに新聞紙面を賑わすタックスヘイブンの実態は、おそらくどこもこんな感じなのだろう。

とはいえ、法人設立候補地としてせっかく視察に来たので、金融センター(
LOFSA)に足を運んでみることにした。


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ラブアンオフショア金融センター(LOFSA

一般的にタックスヘイブンは、マネーロンダリングの温床とも言われており、正直なところ暗いイメージしかなかったが、実際に足を運んでみると想像していたよりまともな場所だった。

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ここが受付

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ここは会議室

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ラブアン法人の設立・管理を代行するトラスト(信託会社)の一覧表

LOFSAの担当者にオフショア法人設立を検討している旨を伝えると、設立代行業者の一覧表をくれた。

1990年から2015年現在までに延べ1万社以上の法人が設立されている実績を考えると、年間の設立数は単純平均で400社くらいだろうか。

全部でトラストが40社くらいあるので、1トラストあたり平均で250社程度を管理していることになる(世界有数の大手会計事務所もラブアンで設立代行サービスを行っているようだ)。

これからもっと増えていくのだろうか。

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LOFSAの周辺は何もない集落だ

昼食後にトラストをいくつか訪問しようと金融センターに戻り、受付で入居テナントの一覧表を見せてもらった。


ところが
...


ここで驚愕の事実が発覚する。

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なんと世界中の大手金融機関が、この小さなビルの中に拠点を構えているではないか!

可能なかぎり金融機関を回りインタビューを受けたが(何とも迷惑な話だ)、法人口座に限ってのみ口座開設が認められているようで、個人口座の開設をするには莫大な預金をしなければならないとの回答だった。

大手会計事務所を含むトラスト業者と世界中の大手金融機関の見事な連携プレー。

それらは決して胡散臭いペーパーカンパニーではなく、現地の人々を雇用し、賃金を支払い実体のあるオフィスを構えて法人向けの業務を行っている(ここがポイントだ)。

人口わずか
9万人足らずの小さな島、香港やシンガポールと違ってローカルの人々がここに来ることもないだろう。

では、彼らはここで一体何をやっているのだろうか?


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おそらくだが、
トラストは法人の管理業務によって世界中から集めた資金を、別のフロアにある銀行のオフショア口座で管理させているのだろう(このビルの中だけで取引が成立する)。

それと同様に、オンショア法人はオフショア法人を使い、アジア諸国で得た利益を本国には戻さずに、ラブアンのオフショア口座にプールする(本国に戻さないかぎり課税タイミングが猶予されるため、ほとんど税務コストをかけずに合法的に再投資に回せることになる)。

このスキームが合法とされるのは、

まず前提として、
マレーシアは二重課税の防止策として、諸外国との間で租税条約を結んでいる。




ラブアンはマレーシア連邦直轄領のため、当然ながらマレーシア本土との租税条約が適用される。



マレーシアが諸外国と租税条約を結んでいるということは、
租税条約は当然ラブアンにも間接適用される。



マレーシア本土とラブアンの間に租税条約が適用されると、二重課税の防止策として、ラブアン法人はマレーシア本土ではなく、ラブアンに法人税を納める。



ラブアンはタックスヘイブンなので
法人所得はマレーシア本土の25%に比べて、わずか3%の低税率で税務コストを削減できることになる



ゆえに、ラブアン法人は
3%の税金さえ払えば、マレーシアと租税条約を結んでいる他国に法人税を納めずに済む(※正確には3%2リンギットのいずれかを任意選択できる)。


まるでアリストテレスの弁証法のようだが、彼らは上記のような租税回避スキームを利用して法人業務を行なっているのだろう(※日本居住者の方はオフショア法人を安易に設立したところで、取締役を含む現地従業員の雇用や賃金の支払い、ビジネスとしての実体がないと租税回避が無効となるので注意のこと!)。

※日本とマレーシアは租税条約を締結しているが、ラブアンは対象外となっているため、このスキームが有効かどうかはわからない。 

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上記のような取引はラブアン島内というよりも、厳密に言えばこのビルの銀行内の、さらにオフショア口座という電子空間の中だけで、莫大な金額の資金移動が行われているのだ。

一見すれば、「島自体が発展しているようには見えない」と先に書いたが、私はどうやら大きな勘違いをしていたようだ。

考えてみれば金融経済と実体経済は全くの別モノであり、この島で暮らすローカルの人々にとっては無縁の世界の出来事なのだ。

というのも金融経済にとって、ラブアンの果たす役割は、ただの帳簿上を行き来する電子データの通過点にしかすぎず、
LANケーブル(ホース)の中を通過する電子データ(水)が島に潤いをもたらしてくれるわけではないからだ。

HoseLeak
出典:「Outdoor Conservation Tips 

タックスヘイブンは実体経済と金融経済の交差点であり、

しかしそれは皮肉にも、決して交わることのない立体交差点となっている。

両極が物理的に
最も近づくはずの場所は、決して交差することがないのだ。
 

*****
 

私はこの島に滞在して、「今までの自分の常識が間違っていたのではないか?」と考えるようになった。


多くの人々が行き交う大都会のオフィス街を歩いていると、ここが金融経済の中心地だと思うことがある。

だけど、もしかしたらそれは私の単なる錯覚だったのかもしれない。

私たちが
今まで中心だと思わされていた都会という場所は、単に労働者を効率的に囲い込むために用意された快適な収容所であり、一見すれば何の変哲もないような小さな島の一角に、本当の中心地があるのかもしれない。

おそらく、こんな話を誰かにしたところで「お前は気が狂った」と言われるだけだろうけど
...


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自転する地球の裏側まで領土を拡げることができれば、いつもどこかが太陽に照らされている「日の沈まない国」を創ることができる。

かつて世界屈指の海軍力と自由貿易主義政策のもと、地球上を
植民地として領土化し、ユニオンジャックを掲げさせた大英帝国。

彼らはかつての支配力は失ってしまったように見えるが、独立した多くの島国はその後タックスヘイブンとして姿形を変え、現代も金融経済に強い影響力を持ち続けているようだ。


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ラブアン島の夕暮れ。陽は沈み、またどこかの領土に陽が昇る

現在、タックスヘイブンと呼ばれる地域には数百兆円ともいわれる莫大な富が蓄えられていると聞く。

人口がわずか数万人、平均月収が
6万円程度の人々が暮らすこの小さな島で、日々いったいどれだけのお金が動いているのだろうか?

もっとも、ここでいうお金とは、
物理的な紙幣のことではなくて、帳簿の上にコンピュータが書いたり消したりしている数字の羅列データがあるだけの話だ。

実体経済と金融経済の立体交差点、いろいろ考えさせられる視察旅行だった。


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沖合に浮かぶ小さな島。

しばらくの間、ここに住んだらいろいろな発見があるかもしれない
...

居住地選択について考える


シンガポールは今日も暑い...


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ここは常夏の島国
...

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今年に入ってから面白そうな商売のお誘いが来たので、ジョインさせていただくことにした。

早速、今回のパートナーを組む投資家の
Kさんとミーティングをした。

私:「さぁて、何から始めましょうか?」

K:「まずは居住地決めようか」

私:「ええっ、引っ越しですか!?」

K:「そう、①税金が安くて、②治安が良くて、③交通インフラが整っていて、住みやすそうなとこ。まぁ、どこでもいいよ~」

私:「
OK、探してきます~」

人生はノリと勢いと少しばかりの運さえあれば何とでもなる。


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早速、行ってきた。



*****



ドバイ(アラブ首長国連邦)】(
2015.05.30~06.05


シンガポールから飛行機で約
7時間。

まずやって来たのは、近未来都市ドバイ。

チャンスがあれば住んでみたい憧れの場所だった。

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市街地へ

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現在、ドバイは建設ラッシュ真っ只中、世界中のクレーンの
1/3が結集しているとも言われている。

隣国アブダビは言わずと知れた世界有数の産油国、オイルマネーを猛烈な勢いで流し込み、イスラム金融の中心地として発展させる計画なのだろう。


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ブルジュハリファ、世界一の超高層ビル20155月現在)

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ドバイモール、世界最大のショッピングモール20155月現在)

ドバイの人々は世界一の○○という称号が好きなのだろうか?

オイルマネーで潤う金融都市ドバイだが、街を移動して思ったのは、何とも言えない無機質で不自然な計画都市という印象だ。

金の力にモノを言わせて、灼熱の
砂漠のど真ん中に豪華な建築物をひたすら並べているだけのように思うのは私だけだろうか?

さらにもう
1つ感じたのは、幹線道路であるシェイクザイード通りに沿ってドバイ国際空港~ジュベルアリ間を結ぶドバイメトロが並行して走っているものの、環状線がないために、交通の便が非常に悪く感じた。

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赤い線がドバイメトロ、空港とジュベルアリ間を結ぶ。アナウンスを聞いても駅名が聞き慣れない名前なので、現在地を点灯させるなどツーリストへの配慮が望まれる。

これだと車を持っていないと、郊外に移動する際は、タクシーで移動するか、歩いて街を移動するしかない(とてもじゃないが暑すぎて街を歩けないよ)。

実直な感想として、ドバイは観光するにはいいかもしれないが、住むには適さないかもしれない。

もっとも、ヘリコプターに乗ってトイレットペーパーを買いに行くようなお金持ちにとっては住みやすいかもしれないけれど。

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こちらはシンガポールのメトロ。現在地を点灯させ、次の駅が点滅表示されているため非常に親切だ。

だいぶ辛口評価ではあるが、東京や香港・シンガポールなどの交通インフラが発達した街に慣れてしまった人間にとっては、この街で生きて行くには慣れるまで非常に時間がかかると思われる。

さらに、自動車の移動について言えば、とにかく信号が少ない。これにより、信号待ちのストレスからは解放されるメリットがある一方で、ひとたび曲がる道を通り過ぎてしまうと、だいぶ遠くまで行かないと
Uターンして元の位置まで容易に戻ることができないというデメリットがある。レンタカーを借りて街を移動される方はこの点、注意が必要だ。

もっとも、悪い評価ばかりしてきたドバイではあるが、産油資源に乏しく、観光産業に力を入れている国だけあって、空から眺めは人工美に酔いしれる最高の街並みだったことを付け加えておきたい。

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パームジュメイラの幹を通ってヘリポートへ向かう

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離陸!

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アトランティス・ザ・パーム

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人工衛星からも目視できる人工島パームジュメイラ

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ブルジュ・アル・アラブ、海上に浮かぶ7つ星ホテル(アゴダで宿泊費を調べると1泊何と38万円!w

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300以上の人口島で構成されるザ・ワールド。まさにハンドメイドの世界地図であり、世界中の富裕層たちが別荘を建て、ヘリコプターやボートで遊びに行くらしい...

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どうでもいいが、ドバイはナスカの地上絵でも作るつもりなのだろうか(笑)


*****


さて、地上に戻り会社登記候補地のジュベル・アリへ向かう。


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フリーゾーンに到着

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おい

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何もないぞ


現地の人たちから「何もないから行くだけ無駄だよ」と言われていたのだが、本当に何もなかった。

メトロの駅を挟んだ向こう側は倉庫街になっていた(そちら側がメイン、休日で入れなかった)。


*****


ドバイの中心街を離れて、下町のデイラ地区を散策してみたが、治安の良さに驚いた。
リゾート気分は全く味わえないが。

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裏道に入っても特に身の危険を感じる場所はなかった

出稼ぎと思われるインドやパキスタン、スリランカ系の住人が多く見られ、物価も非常に安いので、食事やホテル代の
コストを抑えて滞在したい方にとってはおススメのエリアだ。

ドバイは全般的に
物価が非常に高いので、あっという間に財布からお金が出て行ってしまう。

おそらく今まで訪問した国の中ではスイスと同様か、あるいはそれ以上に物価が高い印象を受けた(もちろんシンガポールもかなり物価が高いが
...


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アブラと呼ばれる渡し船、アラブらしい雰囲気が残る

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夜のデイラ地区、ナイトクラブに行けば諸外国との下半身外交ができる(らしい
w

政府に頼らず、民間レベルでの国際交流はとても大切なことだ。

と思う。

なお、コーディネートしてくださったドバイ在住の日本人の方から「ドバイのジュベルアリよりも隣国にアジュマーンという国があるから、そちらで会社登記したほうが税制も緩いし物価も安く生活コストを抑えられるため、検討してはどうか?」とアドバイスをいただいた。

せっかくだから行ってみよう、タクシーでアジュマーンへ向かった。



アジュマーン(アラブ首長国連邦)2015.06.02~06.03



タクシーでドバイから
30分ほど北上すると、シャルジャ首長国を越えてアジュマーン首長国に入る。

アラブ首長国連邦は
7つの首長国が合併して1つの国家を形成しているが、アブダビの国土が全体の8割くらいを占めており、他の首長国は少しタクシーで移動すれば到着してしまうくらいの小さな国土だ。

しかも各首長国の間には出
国審査がないため、アメリカのように気軽に移動できる。この点は非常に便利。


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アジュマーン市街地

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ペルシャ湾沿いの倉庫街、世界中の貨物がこのフリーゾーンに集まる(ジュベルアリもこんな感じだった)

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フリーゾーンの受付、貿易商人が多いのだろうか。ここで金融業やコンサル業をやる人は少ないだろう。

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アラブの人たちは気さくな人たちが多い、写真撮ってるとみんな寄ってくるw

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ペルシャ湾沿いのビーチ、砂漠なのか砂浜なのかよくわからない。海に入るまでに熱中症で倒れてしまいそうだ。

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とにかく食料品全般の物価が非常に安く、生活コストを抑えられそうな街だ。


*****


余談だが、ここで手元の
UAEディルハムが底をついてしまったので両替所を探すことにした。

ところが、土地勘がないことに加え、両替所がそもそも少ないらしく、おまけに暑くて街を歩けないのでタクシーで両替所に連れて行ってもらうことにした。

結論から言うと、アラブはやはり遠い国だ。

ドバイから遠く離れたこの街では、日本円やシンガポールドルは超マイナー通貨であり、両替可能な場所を探すだけで
1時間近くかかってしまった。

マイナー通貨は当然、換金レートが悪いので、たかだか
2万円くらいの両替に手数料が8,000円近くもかかってしまった(為替手数料+タクシー代)

ドバイを離れて他の首長国に移動する方は、
USドルを持って行くか、ドバイ空港で事前に両替しておくことを強くお勧めしたい。

アラブはやはり遠い国だ。



ラアス・アル=ハイマ首長国(アラブ首長国連邦)2015.06.02~06.03



アジュマーンからドバイに引き返せばよかったものを、妙な冒険心が芽生えてしまい、さらに北上してラアス・アル=ハイマ首長国まで行ってみることにした。

ただでさえ日本人がいない場所、タクシーの運転手は
ラアス・アル=ハイマに向かうクレイジーな日本人を不思議そうな顔で見ていた...

タクシーは北へ北へと進む。

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どこまでも続く灼熱の砂漠地帯。

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砂漠...途中ラクダの親子が歩いていたような...

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砂漠...

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砂漠......

人間というのは想像力が働く生き物なので、ここに住んだ場合、自分のライフスタイルがどのように変化するのかイメージできる。

仮に、ドバイ在住の友人から「今からご飯でもどう?」と誘われた場合、この延々と続く砂漠の中をドバイまで遊びに行けるのかと想像してみたが、私はおそらくここには住めないだろう。

しばらく経ってからタクシーの運転手に告げた。

「もういいよ、戻ろう...


もしかしたら、この砂漠の先には美しい楽園があるのかもしれない。

ただ
...私にはこれ以上進む忍耐力がなかったようだ。

中心部にたどり着けず滞在先のホテルに戻った。

もうここへ来ることはないだろう。


*****


中東の視察から得たものは、とりあえず「中東は暑すぎて住むのには適さない」という確信だ。

さらに時差の問題もある(この点でヨーロッパとアメリカは選択肢から除外した。また、税率が高すぎるため東京も選択肢からは除外した)。

グローバル社会といえども、日本の顧客が過半数を超えるような商売をするのであれば、アジア圏内で居住地を探したほうが、電話対応などを考えれば大幅なメリットがある。

中東圏と日本の時差は5時間、アジア圏との時差は34時間なので許容範囲だと思っていたが、このあまりにも微妙すぎる時間のズレは後々大きなストレスになるように感じた。

もっとも、多言語のコールセンターを設置して、
24時間営業ができるくらいのスタッフを確保できる規模であれば、世界中で人件費が割安な国に拠点を構えればよいだろう。

ただ、単身で乗り込んでゼロベースから商売を始めるには、軌道に乗るまで自分一人で全ての業務をこなす必要があるので、このズレは大きな負担となりそうだ(仕組み作りから手探りで始める創業メンバーはこういうところが大変であり、同時にやりがいでもあるのだが)。

ちなみに、アジュマーン首長国は法人登記において現地で従業員を駐在させる義務はあるものの、帳簿作成不要・会計監査義務不要のため、タックスヘイブンと同様、規制に縛られることなく柔軟な経営を実現できそうである(
UAEは税金という概念は存在しないが、タックスヘイブンに分類されるかどうかは定かでない)。

アジア圏にもこういった場所があればよいのだが。

ひとまずシンガポールに戻ることにした。


*****


シンガポールから東京に調査を依頼したところ、アジア圏の中でも低税率国、あるいはほとんど無税国といったタックスヘイブンは多数存在しており、マレーシア直轄領のラブアン、パラオ、サモア、バヌアツなど、いくつか
UAEと同様のメリットを享受できる候補地があるようだ(香港・シンガポールは低税率国に含まれる。これらの国々は税率は存在するのでタックスヘイブンというよりもタックスプリファードといったほうが適切な表現かもしれない)。

この中で私が住めそうな場所はマレーシアくらいだろうか。マレーシアにはマレーシア法人とラブアン法人があり、ラブアン法人は就労ビザを確保できれば、取締役は非課税扱いとなり、マレーシア本土にも住めるらしい。

これはすごい話かもしれない

さっそくラブアン行きの航空券を確保して、ひとまずシンガポール海峡の向こう岸、ジョホールバルへ日帰り視察に行くことにした。



ジョーホールバル(マレーシア)2015.06.07



ジョホールバルへはバスかタクシーで行くのが便利だと思う。マレー鉄道でも移動できるようだが、
1日に23本しか運航していないので何かと不便だ。

今からちょうど
2年前、友人の車でご飯を食べに連れていってもらったことがあるが、発展著しいイスカンダルの地を視察したいこともあり、タクシーで国境を越えることにした。

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MRTブギス駅を降りて少し歩くとバス停の隣にタクシー乗り場がある。

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タクシーは相乗りで一人当たり
1,200円程度、所要時間は40分くらいだったと思う

ウッドランドのチェックポイントを越えてシンガポール海峡を越えるとマレーシアに入る。

なお、相乗りした華僑系のオジさんに「遅くても
17時くらいまでには帰ったほうがいいよ」とアドバイスをもらった。

後で、この発言が何を意味していたのかを身をもって体験することになる
...

人の話は最後まで聞かないといけないね...

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市街地へ向かう

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至る所にクレーンが見える、イスカンダル計画に向けての建設ラッシュ真っ只中だ。

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そうかと思えば、道路の反対側は集落が続いている。何だかアンバランスな街だな
...

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JBセントラル駅構内、マンション販売会社の勧誘がとにかくしつこかった。

イスカンダル計画の土地や物件は、果たして本当に売り手市場なのだろうか?(物件を売り捌くのに必死のように見えた...

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やっぱりマレー鉄道は本数が少ないみたい

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ケンタッキーのセットで
300円くらい、こりゃあ安い♪

ジョホールバルはシンガポールに比べて相当に物価が安いので(
6割くらいか)、JBセントラル駅前に住んでマレー鉄道に乗って必要な時だけシンガポールに移動できれば、かなりの生活コストが削減できるだろう。

と思ったが、マレー鉄道で移動することを考えると現実問題としては難しそうだ。本数が少なすぎる。

もっとも、2019年にシンガポールのMRTジョホールバルまで延伸予定なので、その後は住みやすい街になるのだろうか?

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JBセントラル駅前

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ショッピングモールも充実している、日本料理もあった


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なお、ジョホールバルには日系スーパーのジャスコがあり、現地の人たちで賑わっていた。

しかしこのショッピングモール、とてつもなくデカい。

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ジャスコがあるので日本の食料品が容易に調達できるのは居住地選択としては大幅なプラスだ。

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日系テナントが多数入居する
シンガポールのリャンコート

シンガポールにもリャンコートという明治屋など日系企業が多数入居するビルがあるが、ジョホールバルのほうが遥かに物価が安いのは魅力的だ。

しかし、マレー鉄道に乗れば国境を越えてシンガポールにも移動できるものの、本数が少ないのはマイナスだ。

もっとも、ジョホールバルは鉄道網がないため、車社会であるから、タクシーの移動がメインと考えると、
MRTが開通するまでは、私にはちょっと住めないかもしれない。

タクシーでグルグル街中を回ったが、自転車で食料品を買い出しに行くにはちょっと距離的に遠すぎるかな。

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シンガポールへ戻るため、国際タクシー乗り場へ向かう

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海岸沿いもクレーンの数がすごい!

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海峡の向こう岸がシンガポール、すぐに帰れるはずだったが...

旅にトラブルは付き物、帰り道にとんでもない目に遭うことになるとは夢にも思わなかった。

まず、国際タクシー乗り場に着いてタクシーを待つが、肝心のタクシーが来ない(日曜日の夜のせいなのか?)。


30分に一度くらいタクシーが来るが日本のパスポートを見せると、なぜか相乗りさせてくれない(シンガポールのパスポートを持っている人間が優先されていたように思う。これじゃあ順番待ちの意味がないじゃないかよ~)。

何人かのドライバーに「シンガポールに戻るなら乗せて行ってやる」と言われるが運賃が何と
100SGD9,000円くらいか)、果たしてボッタクリと言うべきなのか、市場原理による需要と供給が正しく作用していると言うべきなのか...

早く帰りたいので、仕方なくバスで帰ることにした。

ドライバーたちが
80SGDまで値切ってきたが無視!(正規料金は50SGD

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バス乗り場は反対側

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とんでもない行列
...

想定外はなおも続く。

バスに乗ったはいいが、シンガポールに戻るにはマレーシアの出国審査とシンガポールの入国審査を別々に受ける必要がある(タクシーであれば車内からパスポートを提示するだけ)。

以前、フランスからスイスにバスで国境越えをしたことがあるが、その時はバスに乗ったまま出入国管理官が一人一人のパスポートをチェックしていた記憶がある。

ところが、このバスはマレーシアの出国審査で全員が強制的に降ろされ、
バスのドアが開いた瞬間に、全員が猛ダッシュでゲートに向かう。ゆえに審査待ちの大渋滞が起こる。出国ゲートの出口で早い者順にバスに乗れるからだ(とんでもないローカルルールだ!)。

さらに、ゲートから出た順にバスに乗っていくため、ジョホールバルで乗ったバスとは違うバスに乗り込んでシンガポールの入国審査場に向かうことになる(ジョホールバルではキレイなバスに乗れたが、
出国ゲート~入国ゲートはボロいバスに乗るハメになった)。

同様にシンガポールの入国審査で全員が降ろされ、上記と同様のことが起こる。

こうして考えてみると、ヨーロッパとアジアの国境に対する概念の違いがよくわかる。

ヨーロッパの国境線の感覚とアジアの国境線の感覚では、ヨーロッパのほうが国境線は実線というよりも点線に近いのかもしれない。

今年
2015年は記念すべきASEAN統合の年、もう少し出入国審査の簡略化が望まれるところだ。

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ここはマレー鉄道のウッドランド駅だと思う

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ウッドランドチェックポイントからクランジ駅までローカルバスで移動、その後
MRTに乗り継ぎ、帰宅したのがAM2時前...

軽い気持ちで視察に行ったはいいが、帰りは
4時間以上もかかってしまった。

しかも、この22時間後に再度マレーシア出国が控えているw

郷に入りては何とやら、華僑系のオジさんのアドバイスに従うべきだった。


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海峡の向こう岸がシンガポール、マレーシアは近くて遠い国だった...


たしかに、イスカンダル計画の舞台となっているジョホールバルは膨大な数のクレーンが立ち並ぶ、まさに発展途上の街であり、強い熱気を感じる街だった

Singapore

しかし、その一方で、シンガポールのMRTが延伸された2019年以降のことを想像すると、国境線を跨ぐ以上は、出入国審査や税関手続きが必要となることから、手続を簡素化しないかぎり、ヒトやモノの移動はスムーズにはいかないのではないか?という印象を強く受けた。

Hong Kong

イスカンダル計画は香港とカオルーンをロールモデルにしていると言われているが、国境線の障壁があるため、個人的な印象としては経済圏の統合実現には懐疑的にならざるを得ない。

海峡を渡るのに
4時間...

もう行かねぇよ
...



ラブアン(マレーシア連邦直轄領)
2015.06.09~06.11


沖合に浮かぶ島ラブアン。

シンガポールからの直行便がないため、クアラルンプールを経由してやって来た。

おそらく、こんな事がなければ人生で来ることはなかったであろう場所。


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一見すると何の変哲もないこの小さな寂れた島は、私に「大きな衝撃」をもたらすことになる。

ラブアン島の訪問記は、後日改めて書くことにしたい。

※「沖合に浮かぶ小さな島~ラブアン訪問記~
2015.07.07追記

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ひとつだけ書いておきたい。

食事中、飛んでくるハエを手で払い除けながらあることに気付いた。

そういえば、ドバイには虫がいなかったように思う。

砂漠というのは、やはり動
物にとって生存には適さない場所なのだろう...



クアラルンプール(マレーシア)】(2015.06.15~06.19



シンガポールから飛行時間わずか
40分程度。

LCC(格安航空会社)を使ってクアラルンプールに視察に行くことにした。

ラブアンで、「ある」衝撃を受けた私は、この時点でマレーシアに移住する決意が固まりつつあった。

今にして思えば、ラブアンからシンガポールに戻らずに、そのままクアラルンプールに滞在するべきだったのかもしれない。


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LCC初体験だったが、近隣諸国を視察するには非常に便利な乗り物だ。

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ペトロナスツインタワー

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ブキット・ビンタン周辺、信号の存在意義について本気で考えさせられた...

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クアラルンプールは
交通機関が充実しているため、極めて移動がしやすい街だ。

さらに、日用品から、タクシー代、ホテル代に至るまで全般的に物価がとにかく安い。


日本人の海外移住ランキング上位に選ばれる理由がわかる気がする。

もしかしたら、シンガポールよりも住みやすい街かもしれない。

信号がもっとしっかりと動いてくれれば
...


*****


クアラルンプール郊外にも足を運んでみた。

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セガンバット駅より(KLコミュニケーター

クアラルンプールは少し電車で移動すれば、あっという間に郊外になる。

ASEAN諸国の首都に比べると、東京がいかに巨大な都市であるかということがわかる。

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打ち合わせのため、タクシーに乗って高級住宅地のモントキアラに向かう

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ここは何というか、クアラルンプールとは別物と考えたほうがいい

東京でいえば、田園調布とかそういう場所に該当するのだろうか。

モントキアラのような閑静な街は、家族持ちなどの落ち着いた方々が住むにはいい場所だと思う。

繁華街好きの私には退屈すぎて住めないかもしれないが
...

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インターナショナルスクールもある

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鯉が泳いでる♪

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夕方の移動は絶対に避けるべき、大渋滞に巻き込まれた
...

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夜のペトロナスツインタワー、メッチャきれい!

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ラジャチュラン付近でクラブ
ZOUK発見!

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もちろん入る
w

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マレーシアは戒律が緩いのだろうか、イスラム教国家の割にはナイトスポットが充実している

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ブキットビンタン駅近くのHSBC10...

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毎晩お世話になってしまった
...

賛否両論あれども、ゲイランのようなガス抜きの場所は男性にとっては必要だと思う。

下半身外交は世界を救うのだ
w

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参考までにシンガポールのゲイラン地区

ドバイ、マレーシア、そしてシンガポール。

夜の治安状況はとりあえず問題なし。

日本は風営法が改正(改悪)されて、ナイトスポットが非常につまらなくなってしまった。

クラブ営業を深夜
0時で閉店させてしまった今、若者たちはエネルギーを発散させる場所がなくて困っているのではないだろうか?

何でもかんでも規制をかけて
厳しくしてしまうのはいかがなものか...


*****


世界中どこの街でも言えることだが、観光スポットというのは通常、化粧をしたキレイな側面しか見ることができない。

街の本当の姿を知るためには、ありのままのスッピンの街も併せて視察したほうがよいと思う。

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プドゥ駅の駅前、環状線沿いとは思えないほど町並みが前近代的だ

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お分かりだろうか、インフラに対して街の再開発が追い付いていないということ

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アジアっぽいっすね~♪

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クアラルンプールは総合的に判断して、だいぶ住みやすい街だと思う。

治安も良く、②物価も非常に安い

おまけに、③交通インフラもしっかりと整備されている

ASEAN諸国全般について言えることは、日本と比べるとまだまだ発展途上の国であり、あらゆる点において粗い印象を受ける。

逆に言えば、それだけ日本という国が完成された成熟国家になっているということなのだろう。

人生は一度きり、上昇気流が吹く成長期の街でしばらく暮らしてみるのもいい経験になると思う。


最後に、④税制について調べてみたところ、マレーシアのラブアン島に法人を登記し、取締役である自分自身に就労ビザを発行することによって、以下2つのメリットが得られることがわかった。

ひとつは、取締役は所得税が免除される

もうひとつは、ラブアン法人から発行された就労ビザによって、マレーシア本土に居住することができる(ただし、マレーシア本土での商取引は不可)。

デメリットとしては、マレーシア本土に在住してラブアン法人の取引をネット上で遠隔操作してしまうと、マレーシア本土の租税を回避できなくなる可能性があるため、実体のあるビジネスオフィスをラブアン島内に構える必要があるかもしれない(ラブアンオフィスは設立業者であるトラストの住所がレジスタードアドレスとなるため、
ビジネスアドレスは任意となる)。これにより所得税が低税率どころか免税扱いになる。


*****


ラブアンに法人を登記し、取締役となって自分宛に就労ビザを発行し、税金コストを免除する。

就労ビザを使って、比較的治安が良く、物価の安いクアラルンプールに在住する。

システム開発は
BPOを通じて、人件費の割安なベトナムやタイに発注し、経費を節約する。

シンガポールへのミーティングは、必要に応じて
LCCを使えば片道40分程度、1万円もあれば往復できる。

夕食後に英会話を勉強したいと思えば、ネットから
アクセスをすればフィリピンの語学学校に通える。

休日はマッサージを受けにバリ島へ遊びに行く、等々。

ひと昔前なら夢のような世界が、ITインフラが整備され、LCCで気軽に国家間を移動できる今日のようなグローバル社会では、いとも簡単に実現させることが可能になった。

本当に便利な時代が来たものだ。


*****


何だかんだ言っても旅は楽しいし、人を成長させる。

もちろん辛い時もあるけれど。

まぁ、人生と一緒だな。


さて、冒険の準備をしようかな
...

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※今回は趣向を変えて写真をたくさん載せて書いてみた。

やってみてわかったけど、
これは書く側も読む側も相当疲れるよ...

グローバル社会と日本経済の未来について思うこと

 

【世界規模の裁定取引】


グローバル化の本質を一言で説明すれば、「山を崩し、谷を埋め、世界が均衡化すること」だろう。


世界を大きく二分割すると「豊かで恵まれた
A国」と「貧しくて恵まれないB国」に分けられる。

「豊かで恵まれた
A国」の企業は、利潤を最大化するために、「貧しくて恵まれないB国」に工場を作り、労働者を雇用する。

「貧しくて恵まれない
B国」の企業は、自分たちの生活水準を上げるために、「豊かで恵まれたA国」から仕事をもらい、必死になって働く。

人件費が割高な「
A国」から、人件費が割安な「B国」に仕事が流れた結果、

A国の労働者の仕事はB国に奪われるため、仕事が減り、生活水準も下がる。

B国の労働者の仕事はA国から奪うため、仕事が増え、生活水準も上がる。


したがって、

(「豊かで恵まれた
A国」 + 「貧しくて恵まれないB国」) ÷ グローバル化

のように表現できるだろう。


グローバル化とは、割高な
A国と割安なB国が平均に向かって収斂していく、壮大な世界規模の裁定取引ということになるだろうか。




それは、国境・言語・文化の壁を越えて、すべての労働者の能力は、すべての国の、すべての地域で均一化することが要求され、
すべての人間は、同じ賃金で同じマニュアルを見ながら同じ結果を出すことが要求される。

また、年齢・性別・国籍・生い立ち・肌の色は違えども、個体間の誤差(個性)は是正され、強制的に均一化されていく。

これはまるで、巨大なコンビニやファーストフードのチェーン店のようではないか...
 

「自分の生産物の販路をたえず拡張していく必要性にうながされて、ブルジョアジーは全地球上を駆けまわる。彼らはどこにでも腰をおろし、どこにでも住みつき、どこにでも結びつきをつくらなければならない。 ―省略― 古来の民族的な産業は滅ぼされてしまい、なおも日々に滅ぼされていく。それらの民族的な産業は新しい産業によっておしのけられ、これらのあたらしい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活問題になる。それはもはや国内の原料ではなくて、はるか遠い地域で産出される原料を加工する産業であり、これら産業の製品は、自国内だけではなく、同時にあらゆる大陸で消費される。国産品で充足されていた昔の欲望に代わって、はるかに遠い国や地域の産物でなければ満たされない新しい欲望が現れてくる」

「共産党宣言『マルクス=エンゲルス全集』第
4巻」より


グローバル社会を冷静に眺めてみると、すでに多国籍企業や金融経済は世界地図から国境線を消しており、世界は均衡点に向かって収斂し始めている。

かつて、マルクスが予見した資本主義の未来は、グローバル社会そのものに見えるのは気のせいか――。 




【グローバル社会と日本経済の未来について思うこと】


21世紀はグローバル社会、ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて相互に行き来する時代。


たしか小学校
4年生くらいだったと思う(だから1992年くらいかな)、

社会科の授業で、「近い将来、中国が巨大経済大国になる」、「
NIESASEANと言った新興諸国(発展途上国)が経済発展を遂げて日本は追い越されてしまうかもしれない」みたいな事を先生が真顔で言っていたのを思い出す。

 

私は笑いながら言い返した。

 

「そんなバカな、中国ってチャリンコ乗ってる人しかいないじゃないですか。東南アジアってエビとかしか特産品がないじゃないか」、と。



あれから
20余年が経った。

あの頃とは、すっかり世界が変わってしまった
...



中国は
2010年にGDPで日本を追い越し、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に発展を遂げた。


NIESは、韓国を例にとればSAMSUNGLG電子などの企業が輸出額を伸ばし、日本の家電メーカーに甚大なダメージを与えた(NECの株価が98円を付けたときは株価ボード眺めながらマジで泣きそうになった)。

かつて、「東を見よ、日本を見習え!」と当時のマハティール首相がルックイースト政策を掲げた
ASEANの一角であるインドネシアは、今やIT起業家たちにとって、オフショア開発の重要な拠点となりつつある。

そして、香港・シンガポール。

都市国家という属性を持つこれらの国家は、自国で輸出資源を持たないため、世界中から優秀な頭脳という人的資源を輸入、アジアの金融センターというサービス財を輸出し、外貨を獲得するというビジネスモデルを構築していった。

ビジネススクールの設立を積極的に誘致し、そこで
MBAを取得した学生に就労ビザを付与し、国内で引き続き働いてもらい、国家の発展に寄与してもらう。まさに都市国家ならではの国家戦略だなと驚くばかりだ。

今や、香港とシンガポールは多国籍企業にとって、アジアの最重要拠点となり、東京の地位は相対的に低下してしまった。

また、かつては、世界の
3大証券取引所といえば、東京(アジア)・ロンドン(ヨーロッパ)・ニューヨーク(アメリカ)であったが、今や香港・シンガポール(アジア)にその座を明け渡してしまったように思う。


一方、日本を見てみると、

出生率の低下と医療制度の発達による少子高齢化社会の到来、それによる労働人口の減少、さらに労働人口の減少と増加する高齢者のアンバランスな比率が引き起こす年金問題など、様々な課題に直面している(まぁどこの国でも厄介な問題はあるんだけど...)。

たしかに、
1980年代後半のようなバブルの時代は、株を買って長期保有しているだけで含み益が出た時代もあった。

どこまでも続く一方通行の上昇相場。

その波にうまく乗ることができれば、テクニカル分析の教科書どおり売買シグナルに従って売買をするだけで、極端な話、誰がやっても面白いくらいに利益を上げられる相場だ。まぁ数年ごとにこういう相場がある。

しかし、
2020年の東京オリンピックが終わった後の日本の成長戦略を考えると、私は個人的に日本の株式市場全体が緩やかに下降していくような気がしてならない。長期戦略が読み取れないのだ[1]。また、外国人投資家の日本株に対する興味も低下し、取引高が減少していくように思う[2]


日本という国は、そもそも発展途上国から資源を調達して、それらを加工して製品を作り、それに付加価値をつけて先進国に売る、すなわち「世界の工場」になることによって、サヤ取りを行い、外貨を獲得してきた国家だ。

いわゆる「加工貿易」というビジネスモデルによって、経済を発展させてきた経緯がある。

しかし、
1973年の変動相場制の導入以来ドル円のチャートを眺めると年々、少しずつ円高が進行していることがわかる(最近は円安になっているけど。どこまで持つのかな?[3])。[4]




円高になると何が起こるかというと、モノを海外に売る時に、粗利率が減ってしまうこと、そして相対的に通貨安の国家と勝負したときに、価格競争で負けてしまうことだ。

そこで経営者は次のように考える。

「安く人件費を調達するために、円と比較して相対的に通貨安の国に工場を作ってモノ作りをすれば、原価を抑えて粗利を増やすことができるようになる」、と。

すなわちそれは、日本国内の工場が閉鎖され、そこで働く労働者の人たちが就業機会を失うことを意味する。言い換えれば、「失業輸入国」・「雇用輸出国」になってしまうということだ。

今の日本人の平均所得が年々下がり続けているのは、グローバル化により、「失業輸入国」になってしまい、圧倒的多数の労働者の仕事が奪われたことで、労働力が割高になってしまったことが一因だろう。

また、その一方で、年々所得格差が広がっていくのは、グローバル化により、「雇用輸出国」になったことで割安な労働力を使って利潤を増やした資本家が増えたことが一因だろう。

東京の街を歩いていると、昔と比べて、いわゆる「中流」という人たちが減っているのを感じる。


世界規模で見ると、社会は均衡に向かって収斂していく。

国家規模で見ると、社会は平均から乖離し、二極化していく。

何とも不思議なねじれ現象。

富める者と貧しき者、もはやグローバル化は遠い世界の物語ではないのだ。


残念ながら将来、日本が「モノづくり国家」として再び世界の工場の地位を取り戻すことは難しいだろう。さらにこれから先、予想される人口減少は、国内のマーケットの縮小をもたらすことになるだろう。

日本の企業は(内需産業も含めて)、国境・言語・文化の壁を越えて世界を相手に販路を拡大し、商売をしていくということを、もっと当然のごとく考えていかなければならないと思うのだ。


アメリカはかつてモノ作り国家であったが、今はその国家戦略を知的財産輸出国家にシフトしている。

特許権や商標権、著作権などのライセンサーとなり、
OEM契約(委託生産)によってライセンシーであるNIESASEAN国家の工場でモノ作りを進めさせ、そのまま海外へ売ってライセンス料という名目で利益を得る。

そのようにして、アメリカという国家は、自国にヘッドオフィスを構えながら
[5]、遠隔操作によって遠く離れた諸外国からライセンス収益を得るビジネスモデルを構築させ、多くの多国籍企業を育んできた。


幸いにも、日本には多くの素晴らしい技術力を持った企業が数多くあり、そこで働く優秀な人材がたくさんいる。

そう、名前もあまり知られることなく、業務の成果が適正に評価されず、定年間際に子会社への片道切符を受け取ることになるであろう旧態依然の仕組みの中に埋もれてしまっている優秀な人材が。

そういった人たちを掘り起し、彼ら(彼女ら)を登用し、社内ベンチャーなどの仕組み作りをもっともっと活発に推進し、民間レベルでの構造改革を進めていかなければならないと思うのだ。

 

 

こんな言葉があったと思う。
 

「最も強いものや最も賢いものが生き残るのではない。

最も変化に敏感なものが生き残るのだ
[6]

 
生物の進化法則の中にも、企業存続の条件も見出せるのではないだろうか。


日本の政治家や企業幹部の方々が、柔軟な発想力を持ち、優秀な人材を活用して、時代の変化に取り組んでくださるよう心から願いつつ...



[1] 個人的に、メタンハイドレイトの採掘や再生可能エネルギーの活用には大いに期待している。

[2] 私は経済音痴の短期トレーダーなので、長期予想はあまり当てにしないでほしい...
[3] 現在の円安になっている原因が、①「原発停止→火力発電フル稼働→化石燃料の輸入量増大→貿易赤字の発生⇒円安」にあるとすれば、原発再稼働を転換点として、「化石燃料の輸入量減少⇒円高」となるだろうか。また、②「日銀による金融緩和→インフレ率2%上昇目標→2年後の達成⇒円安」にあるとすれば、2年後(つまり来年2014年の1112月頃)の金融緩和政策(継続⇒円安、中止⇒円高)が転換点になると考えられるだろうか。
[4] 赤:1973年の変動相場制導入後のドル円チャート、アメリカがいかにドルの通貨発行量増やしまくっているかがわかるだろうか...
[5] 実際には、本社所在地をタックスヘイブン(租税回避地)に登記して、税率をコントロールしている企業が多い。
[6] 出典は「ダーウィンの進化論」ではないようだ。

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