柱の裏の落書き

ひまつぶしにぶつぶつ書いてみる

狂喜乱舞か狂歌自滅か?~ビットコイン相場はバブルか~


ビットコインがヤバイ

ついにチューリップバブルを越えて、歴代トップになってしまったらしい。

CONVEY

出典:「convoyinvestments.com」

というか、もはやキチガイの領域だと思う

しょせん取引の手段のひとつに過ぎない仮想通貨がなぜこんなに高騰しているのか?

完全にマネーゲーム化していて、なぜ上がっているのか合理的な説明をすることは不可能だ。


バブルというのはいつもそうだ。

買うから上がる、上がるから買う


それだけのことだ、理論的根拠は何も無い。。。

果たして、

ダンスフロアのライトが消灯した時、最後まで踊り続けているのは誰なのだろうか?


BTCUSD
↑BTC/USD(1212日現在

BTCJPY
↑BTC/JPY(1212日現在


ビットコインは今年(
2017年)に入ってから10倍の値上がり、先週(12月第1週)だけでも2倍の値上がりを果たした。

201712月現在、株式や為替などの伝統的な資本市場が比較的穏やかな動きを見せる一方で、ビットコイン市場は明らかに異常な変動率を記録している。わずか数日で価格が2倍にも3倍にもなり、その後平気で3040%下落したりする。

ビットコイン相場をモニタリングしていると、もはや株式や為替などが止まって見えてしまうレベルだ笑

***

さて、歴史を紐解いてみると、

まず、先物取引が始まりレバレッジ規制が緩和され、大口参加者による空売りが可能となる。

次に、それまで投資に縁がなかった一般人がこぞって話題にし、取引を始める。

最後に、現状はバブルではないと唱えだす者が急増し、大衆から一定の支持を集める。


現在のビットコインの状況を見ると、バブル終焉の時期に見られる特徴とすべて重なる(ような気がする)。

現在のビットコインの現状を考察すると、「通貨」というよりも、一部の素人による投機目的でのトレーディングが主体であり、チューリップバブルというよりもチューリップそのものだと考えたほうが適切な表現ではなかろうか...。

"ビットコインは通貨ではない、チューリップだ" 

ECB副総裁


以下、何点かビットコインについての考察。

その前に...。

***

【貨幣の本質とは】

まず、貨幣の本質は「商品」ではない。貨幣の本質とは「信用」である。

各国が発行する法定通貨には「金利」がつき、長期で保有することにより一定のリターンが期待できる。なので配当益(インカムゲイン)を目的とした保有目的で活用することができる(日本円は相変わらず低いが)。

一方、ビットコインは現在「貨幣」として認められる段階には至っていない。ビットコインの本質は「商品」であり、金利という概念が存在しないため、長期的に保有していても利子がつかず、売買益(キャピタルゲイン)狙いの取引が主体とならざるを得ない。これはゴールドだって同じだ、ただ持っているだけでは金利がつかないのだから、どこかのタイミングで売却する必要がある


1929
年にニューヨークのウォール街から始まった世界恐慌の影響により、1931年に日本政府は紙幣とゴールドとの交換を停止した。その後、1942年に公布された日本銀行法により、名実ともに金本位制を離脱し、現在につながる管理通貨制への移行を果たした。

つまり、今日ではもはや紙幣や硬貨はゴールドとの交換は約束されなくなってしまったわけだが、今でも
1万円札には1万円の価値がある。なぜなら、私たちがその紙切れに1万円の価値があると本気で信じているからだ。

1万円札で1万円分の買い物ができる理由は、私たちみんながそれを1万円の価値があると信じているからだ。ビットコインは「商品」であって「貨幣」ではない。果たしてビットコインはその段階まで到達できるのだろうか?

ヒトは本来的には物々交換をする生き物だ。

しかし、物々交換が社会と経済の根幹をなしていた時代は経済史を読む限り、一度もそのような事実は存在していない。
もっとも、私たちがまったく物々交換をしないわけではない。交換手段として物々交換を行ってきた民族は一定数存在するし、私たちだって時には物々交換を行う。


人類が進化の過程で記録を残すようになったのは、決して歴史や文学を記録するためではなかった。

それは経済的な取引履歴を残すために、記録システムと、そして文字を発明したのだ。


もしかしたら、ブロックチェーン(
分散型台帳技術)はそれらに代わる新たな価値を創造しようとしているのかもしれない。


***


ビットコインの概要】


ビットコインは非中央集権型の通貨であるため、発行体が存在しない。発行体が存在しないということは金融政策が存在しない。金融政策が存在しない以上、ビットコインを始めとした仮想通貨は国が金融政策に一切介入できない仕組みとなっている。

つまり、市場原理のもと、
需要と供給のみで価格が形成されていくことになる。

国家による影響を受けないということは、ゴールド(金)と同じような「性質」といえる、ゴールドもビットコインも国家が供給量を調整できないからだ(こんな事を書くと怒られるかもしれないが「本質」とは言ってない)。※国家は供給量を調整できないが、規制をかけることで対抗しようとする。

金価格は今から約20年以上前の1998年当時から比較すると10倍以上に暴騰しているが、誰もバブルと言わないところを見ると、ビットコインもバブルではなく適正価格に向けて価格調整をしているという解釈も可能である。もっとも、ゴールドには信用担保があるが、ビットコインには裏付けとなる担保が存在しないことには注意が必要だ。

ビットコインはしょせん電子上の数字が増えたり減ったりしているだけだ。無事に法定通貨に変換し、無事に取引所から出金確認できるまではね...。

***

【ビットコインの上昇要因】


ビットコインには一定の実需があるということは事実として認識しておく必要がある。

世界の圧倒的多数の人口比率を占める新興諸国では、「自分がお金を預けている銀行が倒産するかもしれない」と考える人や「自国の政府が発行する紙幣が信用できない」と考える人の割合が圧倒的に多い。

伝統的にみれば、このような人たちは自国通貨を米ドルに変えたり、スーツケースに詰めて庭に穴を掘って埋めておくことで、自分たちの資産を保全していた。しかし、これでは盗難リスクが伴うし、そもそも米国経済が破たんしてしまえば、スーツケースの中身はただの紙くずになってしまう。

また、同じく新興国の政府官僚などには、汚職によって得た違法収益を誰にも知られずに隠ぺいしたいというニーズが一定数存在する。これはマネーロンダリングを行うテロリストたちにも同じことがいえる。これまでの彼らの上等手段はタックスヘイブンの秘密口座に隠しておくことだった(少なく見積もっても世界経済の10%くらいは地下経済で成り立っていると思う)。だが、最近ではタックスヘイブンはCRS(=情報交換協定、各国の非居住者口座を居住国の税務当局に自動交換する仕組み)の運用開始により非常に使い勝手が悪くなった。うっかりしていると、いつ口座が凍結されるかもわからない。

そんな中で登場したのが仮想通貨ビットコインである。ビットコインは彼らのニーズを見事に汲み上げてみせた。

ビットコインを構成するブロックチェーンはその仕組上、全ての取引台帳が記録されてしまうものの、全てがナンバリング(数字と文字の羅列)によって管理されるため、あっという間に匿名口座が開設でき、資産を保管するには安全性の高い仕組みが出来上がるというわけだ。

実際、ビットコインの実需は圧倒的に新興国に多く偏在し、インターネットさえ接続できる環境さえあれば、世界中どこからでも取引所にアクセスでき、またどこの国でも保有することができ、低コストで資金移動をすることができるわけだ。つまり、将来的にはさらにビットコインの実需が波及する可能性は十分にあり得る(実際にジンバブエがハイパーインフレになった際、法定通貨が日々目減りするのにあわてて、ビットコインの実需買いに走り、市場価格より割高な価格でも取引が成立したという。仮想通貨は国家に信用がない新興国にこそ価値を発揮するということの一例である)。

もっとも、これらの要因以外にも店舗でビットコイン決済ができたり、海外留学中の子弟に送金したり、といったニーズもあることはあるが、実需と呼べるほどの経済規模はないと思う(現時点で誰も決済に使っている人を見たことがない)。


***

【ビットコインの下落要因】


ビットコインの下落要因は大きく2つあり、ひとつは国家介入によるカントリーリスク、もうひとつは代替通貨への転換が挙げられる。

ひとつはビットコインの取引量はアメリカと日本、中国の3ヶ国で相当の市場シェアを占めているため[※1]、これらの国が徹底的な規制を入れて来たときは一時的な暴落が起こることは間違いないだろう(結局、非中央集権型の通貨であれ、完全に国家の中央政府からは切り離すことはできないのだ)。

しかしながら、ビットコインはそれらの政治圧力を跳ね返すだけのエネルギーを持っていることも事実だ。今年の9月中旬には中国政府が国内の取引所を停止し、その結果大きな不安が走りビットコイン価格が一時的に大暴落した。しかし、暴落相場はわずか3日足らずで元の水準を回復してしまった。さらには中国は11月からビットコイン取引を再開させたことで、さらなる相場加熱状態を演出した(マイニングプール大手はほとんどが中国勢なので、利益を上げさせて自国から出させないやり方が賢明と判断したのだろうか)。

日本だけで取引量が4割を超えるとも言われている、日本国債の大半を日本の金融機関が買っているのと同じようなイメージ。というか、中国系企業のマイニングプールで採掘したビットコインを日本人が高く買っているのが高騰原因ではないのかw(元建て取引はほぼゼロ状態になっている、下記参照)


もうひとつの下落要因はビットコインが他の仮想通貨に取って代わられる可能性があるということだ。
仮想通貨には現在1,000種類以上もあるといわれているが、世界の資金が集中するのは、今のところ圧倒的にビットコインである(仮想通貨マーケットの市場規模から概算して、ビットコイン、正確にはビット系の市場占有比率はすでに6割の市場占有率を持っている)[※2]

つまり逆説的に考えると、どれだけ新しい仮想通貨が出てきたところで、世界の多くの人々がビットコインを支持しているということが仮説として成り立つことになる(この点がビットコインの優位性であり、先行者利益であるともいえる)。

現在の仮想通貨市場ではビットコインが実質的に仮想通貨の世界では仮想通貨となっている。しかし、それが他の通貨に取って代わられるようなことがあれば、ビットコインの相対価値は下落していくことだろう。

(個人的にはイーサリアムにがんばってほしい)

(個人的にはイーサリアムにがんばってほしい)

サイバー攻撃で大量のビットコインが紛失した場合は逆に値段が高騰する。この場合、紛失したわけではなく、誰かのもとに渡ったのと同義なので、盗んだ人間が一気に売却せずにホールドした場合は、浮動比率が低下し、価格は上がる要因となる(供給量をコントロールできないため)。

***


◇ ビットコインはこれから上がるのだろうか?それとも下がるのだろうか?

私の考えでは、もし、ビットコインが仮想通貨の基軸通貨としてでなく、現実世界の国際通貨として成長すると仮定した場合、ビットコインの時価総額が20兆円前後であることを考えると、通貨供給量としては不十分である。

さらに予め埋蔵量が決まっている通貨なので、供給量は先細りとなり、需要が増えれば必然的に価格は上がって行くだろうと思う。

ビットコインはまさに今この領域に到達できるか、通貨としての本質的価値を提供できるかどうかに全てがかかっているともいえる。


◇ ビットコインは今はバブルなのか、それとも適正価格なのか?

私の考えでは、これはわからないと回答せざるを得ない。だってわかんないんだもん#$%&☆§。


なぜならば、ビットコインには相場感というものがなく、適正価格(フェアバリュー)が計算できないからだ。

感覚的には「よぉー、バブってんな~」とは思うが、これまで幾多のトラブル(マウントゴックス取引所の破たんや
ハードフォーク問題、中国の取引所問題など)で下落を繰り返しながらも価値を落とすどころか、逆に価値を上げてきた経緯があることを考えると、これらを広義の調整局面とみなすこともでき、緩やかに適正価格(?)に向けて、上昇しているという解釈(拡大解釈)も成り立つ。


だから、バブルバブル!といいつつも、正直なところはわからない。

***


【世紀の空売りチャンス到来か?】

去る1210日にCBOEに上場、初日から24%も値上がり、ビットコインは華々しくウォール街デビューを飾った。


ビットコイン先物の値動きは、これまでと変わらない乱高下そのもので取引を終えた。サーキットブレーカーが2回も発動する事態に陥り、値上がりには一層の弾みがついた一方で、投資家にはさらなる不安を増幅させる結果となった(原資産価値を13%も上回るプレミアムが付いた、もはや意味がわからんw)。


現在、ビットコインが史上最高値であることは言うまでもない。10日からCBOEが上場し、この後18日にはCMEへの上場が、来年にはNASDAQへの上場が控えている。

今まで現物市場しかなかったところに、複数の先物市場に多元上場したらどうなるのだろうか?

今回の先物上場は、投資家に空売りの手段をもたらすが、ほぼ素人だけで構成されているマーケットに圧倒的資金力を持つ機関投資家が参入してきたらどうなるのだろうか?

私の知る限り、大多数の素人で構成されている市場に、後から機関投資家が参入するパターンは始めてみるケースだ。しかも、その商品の現物は発行体を持たないのだという。

とても興味深い。

ビットコインの現在のマーケットは、約6割の投資家がホールドし浮動比率は4割程度と言われている。現在のマーケット規模が20兆円程度と仮定し、その4割だと8兆円が浮動比率となる。

これくらいのマーケット規模だと、機関投資家レベルであれば十分に市場操作(切り崩し)ができてしまうレベルだ。

私の予想では、上場直後にいきなりショート(空売り)で仕掛けてくる可能性もゼロではないが、おそらく機関投資家の多くはいったん大きく買い上げる。そして、90°に近い角度の急騰劇を演じ、その後本格的なショートで切り崩しにかかるのではないかと思う。

少しでも高い位置から値崩れさせたほうが、買い玉のロスカットを巻き込みながら暴落相場を形成することができ、膨大な利益を手にすることができるからだ(※予めプットオプションを敷き詰めておき、上から先物のショートで切り崩せば、インザマネー(ITM)で収益が数百倍に跳ね上がる。むしろこっちのほうがバブルだな笑)。

マーケットの世界にモラルは通用しない、" Winner takes all(勝てば官軍)"がこの世界の鉄則だ。

***

ビットコインは短期的には急騰→大暴落、その後長期にわたって緩やかに上昇を続けていくように思う。

ビットコイン先物が上場し、投資環境がようやく整おうとしている。だから一時的に値崩れを起こすことは前向きに捉えれば好転反応だと思うし、機関投資家が本格的に参入すれば、ビットコイン価格はむしろ高値圏で安定していくのではないかと思う。


これがチャンスだと思えば空売りの準備をすればいいし、怖くて手が出せないなら下がった時に買えばいい。また、何もせずに見送るという選択肢もありだと思う。あくまでも投資は、いや投機は自己責任でお願いしたい...。

マーケットは常に変動する。上がったものは下がり、下がったものはやがて上がる。

そしてバブルというのは手を変え、品を変え、何度となく私たちのもとにやって来る。

いつの時代もそうだろう、人々の過度な期待感からこの奇妙な現象は生まれ、人々の欲望によって育てられていくのだ―

 

アベノミクスとトランプノミクス~調整局面?~


眠れないのでメモ、ふぁ~あ(/ 0 ̄)~゚.


ドル円の強弱レシオが1時間足で逆ザヤになりそうな件

20170510_013424

【日本】:当時の民主党の野田首相が衆議院を解散したのが2012/11/16、政権交代によるアベノミクスの期待感から株式が全力で買われ始めたのが週明けの2012/11/19からだったと記憶している。


【アメリカ】:トランプ大統領がヒラリー女史を破って当選したのが
2016/11/09、サプライズで株式相場がいったん下落したがトランプノミクスの期待感で翌々日の2016/11/11から上昇に転じた。


信用取引の決済期限は
6か月、これはマーケットのルール。


アベノミクスの期待感から買われた株式市場では何が起こったか。


2012/11/19
から6か月と4日後の2013/05/23に日経平均株価が大暴落。


***

アメリカでは
2016/11/11くらいから買われ始めた信用取引の決済期限が間近に迫っている。今日は2017/05/10。明日でちょうど6か月...



ドル円も先ほど
114円を超えたが(シカゴ先物は日経平均2万円を回復)、両通貨の強弱レシオを見る限り、ドルが買われているわけではなくて、円が売られているのが原因のようだ。



まぁ、日本は何だかんだ言っても純債権国なので、海外の企業や投資家は円を売って外貨を調達して(外貨に化けた円を使って)企業活動や投資活動を行っている。


つまり、、、為替は交換比率の取引なので外貨を調達するためには相対的に円が売られるわけだけど、どこかで必ず手仕舞う(外貨に化けた円を元に戻す)タイミングが来るので円転(円の買戻し)が起き、結果として円高にならざるを得ないという運命にある。

何だかなぁ~、マーケットの動き方があの頃と類似している、、、

変な胸騒ぎがするのは私だけだろうか
...

【アベノミクスの調整局面】:2012/11/19 → 2013/5/23

6か月と4


【トランプノミクスの調整局面】:
2016/11/11 → 2017/5/XX

明日でちょうど6か月、今週末はSQだね...。


Sell in May...


あ、深夜の独り言です
w


※この先マーケットがどうなるかは私にはわかりません、マーケットのことはマーケットに聞いてください。

※私が一時帰国するとどういうわけかいつも円高になります。私は、、、これから日本に帰ります♪♪♪

※飛行機
6時フライトですが、無事に起きれるかどうかわかりませんw


(参考:「実体空間と電子空間」)
(参考:「国際分散投資④~アセットアロケーション~」)


国際分散投資⑤~リバランスとモニタリング~


ここまで主に投資初心者の方を対象に国際分散投資についてインデックスファンドを活用する投資方法を紹介してきたが、インデックスファンドは投資初心者から上級者まで幅広く応用できる優れた金融商品であるといえる。

インデックスファンドを活用することにより、投資家自身の運用目的や長期投資方針といった最重要課題にだけ専念すればよく、費用対効果が非常に優れているというのがその最大の理由だ。

このブログを読んでくださっている個人投資家の皆さんは、以下にご紹介するリバランス・モニタリングといったメンテナンス作業を定期的に実施していただくことを強くおすすめしたい。

国際分散投資⑦

*****

【リバランスとモニタリング】

投資を開始してから一定期間が経過すると、それぞれの商品が別々の値動きをし始め、当初設定したポートフォリオから構成比率が少しずつ変化していく。

このように運用資産の配分比率が、目標とする資産配分から乖離した分を一定の期間ごとに是正していく作業をリバランス(再調整)という。

リバランス1

リバランスは「相対的に高くなったアセットクラスを売り」、これとは逆に「相対的に安くなったアセットクラスを買う」作業となるため、いわゆる逆張り型の運用戦略となる。

上昇局面が続いた商品は実質価値より割高に評価されているため、いずれ価格が下落方向に転じ、
それとは反対に、下落局面が続いた商品は実質価値より割安に評価されているため、いずれ価格が上昇方向に転じることになる。

リバランスを実施する最大の理由は、多くの投資家が陥ってしまいがちな「割高な銘柄を買い、割安な銘柄を売る」といった、本来とは真逆の行動(最悪の行動)を取ってしまうことを防止することに他ならない。

リバランスを定期的に実施することにより、資産配分が当初の構成比率から誤差が生じた際、比率の大きなものを売却し、比率が低いものを組み入れることにより、理想的な配分比率に修正することが可能となるわけだ。

リバランスの役割

割高になった商品を売る(値上がりして最初の構成比率よりも大きくなったものを減らす)

割安になった商品を買う(値下がりして最初の構成比率よりも小さくなったものを増やす)

複利効果と時間的分散効果」の項目でも説明したが、長期にわたる運用を継続することができれば、ポートフォリオ全体のリターンは、時間の経過とともに平均収益率へと近づいていくことになる。

リバランス②

このような統計的優位性に加え、リバランスを定期的に実施していけば、平均収益率の変動(ブレ幅)は時間の経過とともに非常に高い精度で安定していくことになる。

割安な商品を買い、割高な商品を売る。リバランスは非常にシンプルで地味な作業ではあるが、運用の基本ルールが機械的に実行できることに加え、運用結果の実に
80%もの多大な影響を及ぼすことになるため必ず実施してほしい。

感情的な投資

・注目されている割高な銘柄を買い、結果として高値掴みをしてしまう

・下落相場に耐えられず損切りを実行したところ、再び上昇に転じた

機械的な投資

・運用比率を調整し、割高な銘柄を機械的に処分する(リバランス)

・運用比率を調整し、割安な銘柄を機械的に組み込む(リバランス)

ただし、リバランスは頻繁にやれば良いというわけではない。ポートフォリオの組み換えに伴う売買には、手数料などのコストがかかる点には注意が必要である。

その理由は、わずかな誤差の微調整を繰り返してしまうと、取引コストのほうがかえって高くついてしまう可能性があるからだ(頻繁に銘柄の組み換えを勧めてくる営業マンがいれば手数料稼ぎ以外の何者でもないだろう
...)。

過去データの検証によれば、年
1回程度のリバランスはリターンにプラスの作用をもたらすことがわかっている。運用を始めたばかりの方であれば、始めは3ヶ月ごとに、慣れてきたら半年ごとを目安にご自身の資産構成比率の変化をモニタリングし、初期の投資比率と現時点の構成比が23%程度ずれてきたときに、リバランスを実施すれば十分だろう。

*****


【インデックス投資のメリット】

最後に資産運用にインデックスを活用するメリットを再度掲載したい。

投資家の多くは目先の利益を追い求めた結果、「感情的に投資をしてしまい、高値掴みをしてしまった」、「高利回りの商品に飛びつき、投資詐欺に遭ってしまった」など、欲望をコントロールできずに資産を目減りさせてしまった方が数多く見受けられる。

しかし、このような投資方法では、資産運用は確実に失敗に終わる。確実に
...。

資産運用の本質高利回りで資産を殖やすこと → ×
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと → 

すでに述べたとおり、資産運用において大切なことは、「資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと」であるといえる。そのためには、「市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続できるかどうか」に全てかかっているといっても過言ではない。

このブログを読んでいる皆さんが市場の誘惑に負けそうになった時、以下に記したインデックス投資の優位性を思い出していただき、長期に渡る資産運用を実現させてほしい。

① 相対的に高いリターンが得られる

長期的に見て、アクティブファンド全体の80%は市場平均に勝てず、どのアクティブファンドがトップ20%なのか事前に見極めることはほとんど不可能となっている。インデックスファンドを保有するだけで投資のプロの80%以上の成績を出すことができる。

② アクティブファンドに比べてコストが低い

インデックスファンドの運用報酬と管理費用は、年率で0.1%程度。一般のアクティブファンドでは12%程度となっている。さらにインデックスファンドは年間を通してポートフォリオの1割程度しか売買されないため、取引回数が少なく、結果として売買手数料が安く抑えられることになる。一方のアクティブファンドでは、毎年ポートフォリオ全体が入れ替わるため取引回数が多くなり、売買手数料が高くなる。また、インデックスファンドは複数銘柄の平均値(ベンチマーク)の取引であるため、値動きが小さく、実現損益も小さいため、結果として課税額も安く抑えられることになる(オープンエンド型=再投資型のバランスファンドを購入すれば、リバランスを自動的に実施してくれるため、利益を確定させるまで課税タイミングを先送りすることが可能となる)。

③ 無駄な労力をかけずに平均点が採れる

インデックスファンドは、あまり運用実績を管理する必要がない。インデックスファンドは無駄な労力をかけずに市場の平均点を取っていく投資方法であるといえる。

④ 相場動向や投資戦略を考える必要がない

インデックスファンドはアクティブファンドのように運用機関を選択する必要がなく、どのファンドを選択してもインデックス指数にほぼ連動するように商品が設計されている。そのため、値動きの異なるインデックス商品を複数保有することで、相場動向や投資戦略を考える必要がなくなる。さらにはインデックスファンド自体が、複数の商品に分散された商品であるため、特定個別銘柄・地域への投資割合も低く、株式であれば倒産リスク、債券(国債・社債)であれば国家破綻リスクや特定の会社の倒産リスクを低く抑えることができる。

*****

【コラム④:おすすめの証券会社】

国際分散投資を行うにあたり、おすすめの証券会社をご紹介したい。

カブドットコム証券

ひとつは「カブドットコム証券」だ。

現在、株式投資をすでに行っている方であれば短期投資(
Buy & Sell)を行う証券会社と長期投資(Buy & Hold)を行う証券会社は必ず分けていただくことをおすすめしたい。

その理由はアセットアロケーションを行う際に、長期で保有しているポートフォリオ比率の調整が短期のポジションと混同してしまうため、比率計算がとんでもなく大変になるからだ。

したがって、売却益(
キャピタルゲインβ)を確保する証券会社と配当収益(インカムゲイン=α)を確保する証券会社は必ず分けて考えるようにしてほしい。

マネックス証券

もうひとつは、「マネックス証券」だ。

こちらは実際の取引を行ってももちろん
OKだが、「MONEX VISION βという機能を使えば外国株口座の資産分析ができるため、ぜひ活用されることをおすすめしたい(取引しなくても分析機能は使えるのでご安心を笑)。

なお、上記の口座開設をする際には公式サイトから直接申し込むのではなく、ポイントサイトの【
ハピタス】を経由して申し込みをすると自己アフィリエイトでポイントが還元されるので、事前に登録されることをおすすめしたい(ハピタス以外にも自己アフィリエイトはあるが、還元率があまりにも低すぎるのでおすすめできない)。

*****

以上、長々と5回に渡って国際分散投資についてまとめたが、投資の本体の目的とは世界の経済成長の恩恵を受けながら少しずつ資産を殖やしていくプラスサムのゲームだと思っている。

以前、「集中と分散」でも書いたが、私自身は集中投資に向かない性格のため、分散投資の道を選んだ。

もちろん集中投資と分散投資、どちらにも優位性と欠点がある。

集中投資が得意な方はそもそもこのブログを読んでいないだろうし、集中投資をすればいい。

集中投資が苦手な方はトレードなんぞ止めてしまって、のんびりと分散投資をすればいい。

ご自身のお金を使って投資をされている個人投資家の皆さんを、私は心から尊敬している。

ただ、お金はしょせん手段にすぎず、目的にはなりえない。

お金とは経済の血液であって、誰かで止めてしまってはいけない。

だから皆さんが利益を出すことができたならば、その一部でいいから世界を良くするために使ってほしい。

それでは、また!



*****

(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)  

国際分散投資④~アセットアロケーション~


人類は歴史上、同じような過ちを何度も繰り返してきた。

投資の世界でも同様に、これまでに何度となくバブルや暴落を繰り返してきていることは周知のとおりだろう。実際に大暴落が起こるたびに、マーケットから退場していく投資家があとを立たない。

資産運用においてもっとも重要なことは、「
市場の誘惑に惑わされず、機械的に運用を継続する」ことにある。市場の誘惑に惑わされないためには、まず、運用の基本方針と目標を決めることである。

そのためには、「
どれくらいの期間で、最終的にどれくらいの資産を確保したいのか」を明確に設定しておく必要があるだろう。

アセットアロケーションの検討項目・現在の年齢
・運用の目的(何のために運用するのか)
・運用期間(いつまで運用するのか)
・リスク許容度(どの程度のリスクが取れるのか)

ここでは、運用成績に最も影響を与えるアセットアロケーションについて説明して行きたい。

*****

【アセットアロケーション】

資産運用の結果を決める要因は主に以下の
3点に集約される。

1.銘柄選択どの商品を買うのか
2.投資タイミングいつ買うのか
3.アセットアロケーション資産をどのように配分するのか

米国バンガード社が2003年に発表した「5年以上の運用実績を持つ420本のアクティブ運用バランス型ファンドを1962年~2001年(40年)の過去データをもとに分析した研究」によれば、「アセットアロケーションの違いが月次リターンの77%の差異を決める」という大変興味深い調査結果が出ている。

つまり、この調査結果によれば、ポートフォリオが投資リターンに与える影響は非常に大きく、リターンの実に
80%はポートフォリオの内容で説明できるとしている[1]。

なお、多くの方が重視する投資タイミングはわずかに
8%程度、ポートフォリオをどのような個別銘柄で実現するかの銘柄選択はわずか6%程度しか投資リターンに影響を与えないことがわかっている。

投資リターンに及ぼす影響力
ポートフォリオの内容月次リターンの約77%
投資タイミング月次リターンの約8%
銘柄選択月次リターンの約6%

多くの投資家の方を見ていると、「どの商品を買うのか」「安く買える投資タイミングはいつか」に多くの時間を費やしているが、結果の出る運用を最優先に考えるのであれば、これからはアセットアロケーションに多くの時間を費やしたほうが合理的であると言えるのではなかろうか?

アセットアロケーションが「リターンへの影響度」を高めるためには、多くの銘柄に幅広く分散投資が行われていることが前提条件となる。つまり、少数の銘柄に集中投資を行った場合は、事業継続リスクが高まり、企業の倒産確率が上昇するなど、「銘柄選択の影響度」が高くなると考えられる。したがって、集中投資には上記の理論は適用されない。


*****

【資産配分を考える】

現在では、株式、債券、商品等、それぞれのアセットクラスに対応するインデックスファンドが存在しているため、それらを組み合わせることによって、誰でも簡単に運用を開始することができるようになった。

国際分散投資③

すでに、リスクとは投資の世界では「変動」を意味することは説明したが、それぞれの性質に合わせ、資産を地域や商品、時期を分散することにより、リスクを低減させる効果が期待できることになる。

さらに、値動きが異なる商品同士を組み合わせることにより、全体としての運用の安定性を確保することが可能となるわけだ。

もちろん、しっかりとアセットアロケーションを実行したとしても、短期間では価格は大きく上下に変動してしまうことは覚えておいてほしい。

確率統計上、どのような投資方法であれ運用開始直後の数年間はブレ幅が非常に大きく、利益や損失が予想以上に拡大してしまうこともあるだろう(「複利効果と時間的分散効果」の説明を思い出してほしい)。

図2

しかし、長期で継続していくことにより、年次リターンのブレ幅は次第に小さくなり、やがて平均収益率へ近づいていくため、資産運用は最低でも
10年は続けて行かなければ全く意味がない。その理由は統計的優位性を享受することができないためだ。

この先マーケットは上がるかもしれないし、下がるかもしれない。私たちに唯一わかることは、「
マーケットは常に変動する」ということだ。どのような商品であれ、上がったものはやがて下がり、下がったものはやがて上がる。

したがって、いつまでも暴落が続くことはなく、暴落の翌年には大きく上昇する傾向が高いということだ。長期で継続していけば年次リターンのバラツキは小さくなっていき、やがて平均収益率に近づいていくことになる。

このブログを読んでいる個人投資家の皆さんは、「長期」・「分散」・「積立」の
3点を軸として投資を継続的に実行し、定期的に保有比率を機械的に再調整(リバランス)することにより、「複利効果」と「時間的分散効果」を最大限に享受しながら、ご自身の資産を市場変動リスクから切り離すことが可能となる。

そのため少しでも長く、できるだけ長く投資を続けてほしい。

*****

【資産配分の例】

一般的に、ポートフォリオの構成比率の基本は、世界各国の国内総生産(
GDP)構成比率に準拠させることで各国の経済動向に連動させることができるため、こうした資産配分が理想的であると言われている。

また、インデックスを活用することはマクロレベルでポートフォリオを管理するのと同義なので、現在のマーケットで注目されている固有の銘柄などの影響を受けることがなくなること、さらには、分散比率を定期的に調整することにより、世界経済の成長によるリターンを享受できるようになると考えられる。

アセットアロケーションは特にこれが正解というものは存在しないが、一般的には「国・地域の分散」・「アセットクラスの分散」の
2点がバランス良く分散されていることが望ましいとされている。

なお、近年ではインデックスファンドだけではなく、
ETF(上場型投資信託)も普及したことにより、世界中の不動産を間接的に保有することも可能となったため、投資家の好みに合わせて組み込んでみるのも面白いかもしれない(※私は面倒くさいので株式と債券以外はやっていない)。

アセットアロケーション1

上記は大雑把な一例だが、すでに述べたように結果の出る運用を考えるのであれば、これからは細かな企業分析などよりもアセットアロケーションに多くの時間を割いていただくことをおすすめしたい。

アセットアロケーションは運用成績の実に
80%に影響を及ぼす非常に重要な作業となるため、ご自身での作業が難しいという方はバランス型ファンドの購入も検討されてみてはいかがだろうか?

バランス型ファンドはインデックスファンドや
ETFに比べ手数料は若干割高となるものの、現在ではほとんどがコンピューターの自動売買プログラムによって定期的に配分比率を自動調整してくれるため、ほとんど手間がかからずに投資を行うことが可能となっている(市場連動型の商品はほとんどが機械による自動売買を行っているため、信託手数料が非常に安く設定されている)。

*****

【コラム③:日本から投資する場合の為替リスクについて】

日本から海外投資を行う場合、日本の投資家は非常に不利な立場にあると考えられる。
その理由は日本という国は為替リスクが極めて特殊な環境に置かれている国だからだ。

国際分散投資⑥

現在、日本国内で流通している「日本円(
JPY)」という通貨は、ひとたび不景気や国際的な経済危機が起こると円高方向に振れるパターンが多く、それが国際分散投資によるリスク分散効果を相殺してしまうことになりかねない。

主なポイントは以下の
2点に集約できる。

1.
日本が経常黒字国(貿易黒字国)であること

ひとつは、日本が経常黒字国(貿易黒字国)であるために、企業は海外で獲得した外貨をそのまま海外投資に回さない限り、円転(円の買戻し)による経常的な円買い圧力に晒されることになる。

世界的に景気が良ければ日本の企業が稼いだ外貨はそのまま海外での取引や投資に使われるため、円買い圧力は弱まり、結果として円安になる。

しかし、経済危機などで世界的に景気が悪くなると、海外での取引や投資が減少し、資金を回収して円転を進めるために、円買い圧力が高まり、結果として円高になる
[2]

世界的な好景気 → 海外取引増加 → 海外で獲得した外貨をそのまま海外へ投資

→ 円安

世界的な不景気 → 海外取引減少 → 海外で獲得した外貨を回収して国内へ還流 

→ 円高

さらには、こうした現象は日本国外だけでなく、先の東日本大震災など日本国内で危機が起こったときにも生じる。

日本国内で危機が起こった場合、日本の企業はリスク回避のために海外投資を減らし、日本国内に戻すため、経常黒字から生じる円買い圧力が強まることになる。日本の投資家も国内での損失をカバーするために海外に投資した資金の回収を進めるため、やはり円が買われ、結果として円高になる。

国内での危機 → リスク回避のため海外投資を減らす → 資金を回収して国内へ還流 

→ 円高


2.
日本が世界最大の対外純債権国であること

もうひとつは、日本が対外純債権国であるため、世界中の国が円を調達し、それを売ってドルなどに交換して経済活動を行っているということだ。

ゆえに、世界的に景気が良いときには円売り圧力が高まることになるが、世界的な経済危機が起こってしまうと、この資金の動きが巻き戻されるために円買い圧力が高まることになり、結果として円高になる。

世界的な好景気 → 世界中の国が円を調達 → ドルなどに交換 → 海外で使う

→ 円安

世界的な不景気 → 調達した円を戻すため、資金をドルなどから円に交換

→ 円高

このとき、リスク回避のために円を買うのは日本の企業や投資家だ。

投資家や企業が避けたいのはあくまでも「為替リスク」であるため、為替先物で円のヘッジ買いをすることになる(実際に海外資産を売却することはない)。このように、実際の資本移転は行われなくとも、リスク回避のための円買いは発生することになる
[3]

上記のような国際的な資本フローの原則を理解すると、日本円を使って国際分散投資を行う際の最大の敵は為替リスクだということがよくおわかりいただけると思う。

日本から海外へ投資をする場合、世界的な不景気や経済危機が発生してしまうと、「
投資対象の価値の下落」とともに円高による「通貨価値の相対的下落」もダブルパンチで損失を喰らってしまうことになりかねない(つまり、資産防衛のために投資という名目で海外に資産を逃避させても、結果として資産価値が大幅に目減りしてしまうという皮肉な結果になる可能性もあるということ)。

本来は、「アメリカドル(
USD)」を基準に投資を行うことが望ましいと言えるが、日本から投資をする場合は、ある程度の「日本円(JPY)」もキャッシュポジションとしてアセットクラスに組み込まれることを強くおすすめしたい。その理由は、世界的な景気後退局面では強力なヘッジ効果が期待できる商品だからだ。

アセットアロケーション2

もっとも、今後は人口減少により内需が縮小することを考慮した場合、日本企業の多くは国内事業よりも海外事業を拡大させていくと考えられるため、外貨需要が高まり、日本の経常黒字は減少し、徐々に円買い圧力は弱まっていくと予想される。

したがって為替リスクを許容できる投資家の方であれば、今のうちから国際分散投資を実行することには一定の経済的合理性があると言えるのではないだろうか?

2 経済危機などで世界的に景気が悪くなると、必ずこんなことを言う人がいる。「円がものすごい勢いで買われている、その理由はリスクの逃避先として日本が安全性が高いと判断されているからだ」と。また、こんなことを言う人もいる。「なんでアメリカやヨーロッパで起こった経済危機が日本の経済まで波及するのか、日本には関係ないじゃないか」と。でも上記フローを理解された方はなぜ円高になるのかがお分かりいただけたと思う。日本の国債の格付けを見てみれば日本円が決してリスクの逃避先として買われているわけではないことは明らかだろう。

3 為替リスクを回避するためには、為替先物で円のヘッジ買いを行うのが手っ取り早い。これは日本からの投資を考えた場合、円建て商品を作るのと同じ仕組みとなる。A社とB社の株式を例に考えると、「A社:5,000USDの買いポジション」、「B社:5,000USDの売りポジション」、合計1USDのポジションを保有していたと仮定する。この時、1万米ドルの為替先物を同時にショート(売りポジションを持つ)し、日本円をロングする(買いポジションを持つ)ことによって為替変動によるβリスクを完全に排除することができる。この場合、ポジション設計は以下のようになる。

「①A 5,000USD買い(ロング)」+「②B  5,000USD売り(ショート)」+「③USD/JPY 10,000USD/JPY売り(ショート)」

意味が分からない方のために補足しておくと、「A社+B社のポジション合計x」は10,000USD/JPYの買いポジションを保有しているのと同じ状態なので、為替リスクをカバーするためには10,000USD/JPYの売りポジションを取る必要があるということ。これによって為替変動によるβ値リスクをニュートラル化(相殺)することができるわけだ。B社の株式をショートする時に必要な5,000USDは、日本から投資する場合、通貨としては5,000USD/JPYの買いポジションと同じ意味になるのでくれぐれも混乱しないように。円建ての商品を購入されるときは、誰も意識していないかもしれないが、実はマーケットニュートラルの考え方を組み込んだ商品をすでに保有していることになる。外貨建て商品に比べて円建て商品を選択すると利回りが落ちるのは、こういった中間処理の手間と手数料がかかる仕組みだということがおわかりいただけると思う。なお、(日本居住者から見て)外貨建てで取引したい場合は、上記③の円買いドル売り(USD/JPY)のポジションは不要となる。ここで注意しなければならない点はFXを使う場合、使い勝手が良い一方で、スワップ金利の問題が生じることだろう。日本は政策金利が低すぎるため、スワップ金利の影響をもろに受けてしまうことになるわけだから。はぁー、困ったもんだ。


国際分散投資⑤~リバランスとモニタリング~
へ続く


*****

(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)
参考:佐々木融「弱い日本の強い円」日本経済新聞出版社、2011年) 

国際分散投資③~複利効果と時間的分散効果~


ここまで、リスクを最小化する方法として、「分散」・「積立」・「インデックス」を使った運用方法をご紹介してきたが、こうした運用方法を採用する最大の魅力は、何といっても「時間を味方にできること」にある。

リスクを極力抑えながら運用し、少しずつ資産を殖やしていくためには、「時間」は非常に有効な要素のひとつと成り得る。「複利」という言葉はすでに多くの方がご存知の通り、「
利息が利息を生む」という考え方のことだ。

資産運用は「正の複利効果」を生み出すことが期待できるため、「時間」+「金利」を味方にできる点が大きなメリットとなる。

これとは反対に、「負の複利効果」を生み出す借金は「時間」+「金利」を敵に回すことになってしまう(※資産運用が必ずしも「正の複利効果」を生み出すわけではないので注意のこと)。

*****

【複利効果と時間的分散】

資産運用の方針を考えるに当たり、「時間」という概念は良くも悪くもポートフォリオに多大な影響を及ぼすことになる。なぜなら、年々積み上がっていく運用成績は、時間の経過とともに平均収益率に近づき、収益率が発生する範囲は時間の影響に大きく左右されることになるからだ。

運用期間が長ければ長いほど、保有しているポートフォリオ全体の収益率は平均収益率に近づいていくため、収益率の変動幅が時間の経過とともに安定して行くことになる。さらには、投資家はポートフォリオのリバランス(組み換え作業)を定期的に実施することにより、銘柄の組み合わせを
最適な状態に持って行くことが可能となる。

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もし仮に、運用期間があまりにも短すぎた場合、非常にギャンブル性の高い運用方法となってしまう。
その理由は、運用年数があまりにも短すぎると良くも悪くも偶然の発生確率が上がってしまい、統計的優位性を享受することができなくなってしまうからだ。

その一方、十分な運用期間さえ確保することができれば、突然の暴落などに見舞われても、大きな不安を感じることなく運用を継続することが可能になるというわけだ。

*****

【積立てによる複利効果】

例として、元本ゼロで毎月
10,000円ずつ積み立てを行った場合、期間・利回り別の残高は以下のとおりとなる。

利回り期間
5年10年15年20年30年
元本(利回りゼロ)600,0001,200,0001,800,0002,400,0003,600,000
3%647,0001,397,0002,267,0003,276,0005,801,000
5%680,0001,549,0002,659,0004,074,0008,186,000

上図の「元本(利回りゼロ))」の数値は積み立てた元本額を示し、3%5%の利回りで運用した場合の期待収益率を示している。投資期間が長くなればなるほど、複利効果により、時間の経過とともに、資産が加速度的に増加していくことがおわかりいただけると思う。

なお、上図では
1年や2年といった短期間の利回りを掲載していないが、①「短期では複利効果の恩恵をほとんど享受できないため、資産の増加が期待できないこと」、②「どのような投資対象も短期的には価格変動リスクが大きく、期待収益率が安定しないこと」がその理由として挙げられる。

資産運用が全くの初心者の方であれば、年次リターンとしては年率
3%程度、多くても5%程度を目標にするのが理想的といえる。7%10%など、あまりにも高すぎる目標リターンを設定してしまうと、それだけリスクも高まり、変動幅(ボラティリティリスク)が大きくなりすぎてしまうためだ(※金融機関のトレーダーのパフォーマンスは、一般的に年利12%程度が契約更新の最低の目安とされている)。

こうして考えてみれば、年利
10%20%のリターン設定など、もはや論外だということがおわかりいただけると思う。著名な個人投資家であるウォーレン・バフェット氏でさえも年利22%程度なのだ。しかし、そのリターンを何十年も継続できているからこそ、彼は天才と呼ばれ、称賛されているのだから。逆に言えば、年利20%程度で運用し続ける投資家がたくさんいれば彼は凡人ということになり、これだけ称賛されることはなかったに違いない。それだけ、長期間に渡って利益を出し続けて行くというのは本当に難しいことなのだ。

投資を長く継続し、少しずつ超過リターンを確保していくためには、リスクを極力抑える運用方針を採用すべきだと考える。すでに述べたとおり、リターンの源泉がリスク(変動)である以上、高すぎる目標リターンを設定してしまうと、リスクも同様に上がってしまうからだ。

また、これとは逆に、
10年や20年と長期にわたって運用を継続することができれば、暴落などの急激な相場変動に見舞われたとしても、一定のリターンの確保が期待できるようになる。その理由は、資産を値動きが異なる複数の商品に分散して保有することにより、平均収益率が安定し、期待収益率に近づいていくためである[※1]。

図2

[※
1] 過去の暴落相場を検証してみると、ポートフォリオ全体は一時的に最大で「40%もの損失を被ることがわかっている。しかし、たとえば含み損が20%発生した場合、年利5%の配当益を確保していけば、この損失は4年で取り戻すことが可能となる。皆さんも投資信託のパンフレットに右肩上がりのグラフが掲載されているのを見たことがあるかもしれない。このグラフが右肩上がりになる理由は、配当益を再投資して積み上げていくため、ほとんどのパンフレットは右肩上がりになってしまうのだ。これは長期投資の複利効果が表れていることを示す一方で、アクティブファンドの運用成績が実はあまり大したことがないことを私たちに教えてくれる(これは完全なるデータのトリックである)。

*****

【残された時間はあと何年?】

ここでは、正の複利効果の例として「
毎月少額でも積立投資を行った場合」と「元本を貯金してから一括で投資した場合」を比較して検証してみたい。

グラフ1

上記は「元本ゼロで毎月
5万円ずつ年利5%25年間積み立て投資を行った場合」をグラフで示したものだ。時間の経過とともに複利効果が表れ、右肩上がりで運用額が積み上がっていく様子がお分かりいただけると思う。

これに対し、以下は「元本
1,000万円を貯金してから一括運用を開始した場合」をグラフで示したものだ。最大の致命点は1,000万円を貯めるまでに168ヶ月もかかってしまうため、複利効果の恩恵を十分に享受できず、元本をコツコツと積み立てて行った場合に比べて、資産の増加スピードが後半になってようやく加速し始めていく様子がお分かりいただけると思う。

るで「ウサギとカメ」の童話そのものだが、残念ながらウサギは複利の恩恵を受けるカメには絶対に敵わないのだ。

グラフ2

このように、積立投資は非常にシンプルな投資方法であるものの、毎月少額でも継続して投資し続けることのほうが、複利効果により一括で投資するよりも資産の増加スピードが加速していくことがおわかりいただけるかと思う。

たとえば、
65歳以後の老後のための資金を確保するためには、30歳の方であれば35年間、40歳の方であれば25年間もの時間的余裕があることになる。ゆえに、若ければ若いほど「時間」を味方にできるために、「資産運用は少しでも早いうちに始めた方が有利」となる。

その一方、
65歳での引退後の生活資金確保を運用の最終目標にした場合、50歳の方は15年間、60歳の方なら5年しか時間が残っていないため、時間的分散効果を享受できない点はデメリットでもある。

もっとも、
50代、60代の方々の中には、すでにある程度の金融資産をお持ちの方も多いと思うので、資産形成期とは異なり、資産を減らさない、守るという発想に切り替えて行く必要があるといえる。

このように、若年者向けの運用方法に対し、年齢が上がるにつれ、まとまった資産をお持ちの方も多くなっていることと思うが、こうした場合は、初期の元本を数回に分割しながら組み込んで行き、さらには複利の効果を活用することにより、インフレリスクを回避していく方法が有効となるだろう(※まとめて一括で元本を組み込むよりも、
3ヶ月に1度、6ヶ月に1度追加することで時間的分散効果が期待できるだろう)。

※資産運用には元本及び利息の保証がないため、必ずしも「正」の複利効果が得られるとは限らない。したがって、
2,3年といった短期の評価額は元本割れする可能性がある旨ご注意いただきたい。

*****

【コラム②:分配型ファンドは買ってはいけない】

一般的に、「元本再投資型」と呼ばれる投資信託は運用によって得た収益を元本に組み入れるため、複利効果により資産が雪だるま方式に膨らんでいく。

これに対して、分配金を毎月支払っている「毎月分配型投資信託」は運用によって得た収益から分配金の支払いを行うため、元本に組み込まれる金額が少なくなってしまう。

分配型ファンドは原則として毎月分配金の支払いを行い、基準価額を削って分配原資に充てる(「収益」でなく「元本」を分配する)ため、収益を上げられなかった場合には、元本を取り崩して分配金を支払うこともあり得る。

ここで、投資信託を活用して資産運用を開始するに当たり、最も注意しなくてはならないのが「分配金」の概念だ。

分配金という言葉のニュアンスは、どこか「元本」を運用したことによって獲得した「果実」を受け取っているかのように思ってしまいがちだが、証券用語で用いられる場合の「分配金」という言葉に関してはそのような意味は全くないので注意してほしい。

分配金は投資信託の「純資産」から支払われるため、ある期間の支払額よりも収益額が少なければ、その差額分だけ基準価格が下がる仕組みになっている(※預貯金の利子とは源泉が異なる点に注意)。

このように証券用語では、収益分配部分を「普通分配金」、元本取り崩し部分を「特別分配金」と、どちらにも分配金という名称を使うため、両者とも収益部分を源泉とした払い戻しと誤解してしまいがちだ。毎月分配型に魅力を感じて購入したものの、実際は投資家自身が支払った元本の取り崩しに過ぎないケースもあるため、分配型ファンドに投資するメリットは全くないと言っていいだろう。

こうした商品は特に引退世代の方が毎月の配当を年金とみなして購入するケースが多く見受けられるが、高い売買代金と信託手数料を取られた上、自分の元本を取り崩して配当にまわしているような商品を買うくらいであれば、普通預金を取り崩したほうがまだましである。

すでに説明した通り、投資の本質は、「なるべく長期間にわたって元本を取り崩さずに運用を継続し、複利の効果を享受することで、最終的に目標とするリターンを得ることである」といえる。

したがって、資産運用を開始される際には再投資型の信託を選択されることを強くおすすめしたい。

国際分散投資④~アセットアロケーション~
へ続く

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(参考:カン・チュンド
 忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術)アスカビジネス、2009
参考:山崎元、水瀬ケンイチ「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド朝日新書2015年)
(参考:内藤忍「内藤忍の資産設計塾【第3版】あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」自由国民社、2015年)
参考:チャールズ・エリス「敗者のゲーム(新版なぜ資産運用に勝てないのか」日本経済新聞社、2003年)
参考:ハワード・マークス「投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識」日本経済新聞出版社、2012年)

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